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“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

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2014.01.23
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カテゴリ:食を考える
前回の続き

店内に入ると、独特な雰囲気が漂う店主がいる。
 ひとまず、名刺を差し出し身分を明かすと店主は私の能力を試そうと考えたのか、禅問答を始めた。私は所詮、修行の身である。

 カウンターに座りガラスのふたをのせたネタ箱を見ていると「私は陰と陽を大切にしている」と話してきた。「陰陽とはどんなことですか?」と聞き返すと「自然に逆らわないと言うこと」とおっしゃった。
 私が陰陽について興味をもったのが、1990年代、久司道夫氏のところでマクロビオティックを勉強している生徒さんとの出会いがあったからだった。
しかし、陰陽五行はとても奥が深く、多忙な生活を常に送ってきた私は仕事に感けて深く勉強することが無かった。

 そうこうすると料理が次々に出てきた。
 気難しそうな店主に「写真はとってもいいですか?」と尋ねると、承諾した。
ただし、店主はあまり好きでないのかもしれない。それはあとから、見た目ではなくその裏にある背景があるからだとわかった。その料理の背景の一環に塩でのキュイがある。

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 あわただしく料理が出てくるために、食べ終わった器の場所も適当に逃げ、手帳をカウンターに手帳を置くと店主は怖い顔で言った。
「マナーでしょ(行儀が悪い)」
確かに私は成り上がり故行儀が悪い。
私の行儀の悪さに別れた女性がいる。いつまでたっても人間の本姓は変わらないものだ。
先生と呼ばれる身分故、そのようなことを言われることはあまりなくなったが、この言葉を引き寄せているのは自分自身、身を引き締めないといけない。

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茶碗蒸しの食べ方についても、「縁をスプーンで周りをきれいに縁取って食べるのがマナー」とおっしゃった。確かに茶懐石を食べるのに何度かマナー講座に行ったときに、ならった。
勉強しても繰り返さないと身につかないものだ。
店主は他の客の前で恥をかかせて荒療治をしようというのか、その気合はすごい。

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こちらは糠と濃口醤油に漬けた牡蛎

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こちらは7日塩をしたショウサイフグ。
熟成したことで旨みが増し、淡白なふぐとは思えない味の厚みだ。
「海水の成分に近い天然塩は素材に塩をすると水だしがいい」これによって、タンパク質の変性を起こし、腐敗を防ぐ。まさに塩によるキュイだ。
腐敗の原因が水分であるため、より水だしがいい塩のほうが腐敗が少ないという理屈だ。

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対馬沖の鰤。鰤はこの時期、対馬沖から北陸に向かう。
魚の大きさは12キロくらい。
その鰤を塩をして20日くらい寝かせてある。
表面はねちょっとしているが、その表面を落とさずそのまま軽く炙る。
タンパク質のアミノ酸への分解が進み、かなりの旨みである。

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イイダコの真子

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『小山』では魚は最低でも五日は寝かせる。
この太刀魚も5日熟成している。

私は『ラフィネス』の杉本敬三シェフとの出会いによって、魚の塩によるキュイに興味をもったが、塩のキュイには日本料理の特徴、枯淡、すなわち薄口でも素材の持ち味を引き出す何かがあるようだ。

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ボラの白子
小山さんは「魚をすべてつかいこなし無駄をつくらない」おっしゃるWholefoodはバランスがいい。すなわち、陰陽。

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鰤。

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「そうか!へしこか」

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イズシ。関西の鮓の原点。
そう言えば、実家が滋賀で農家をやっていて自給自足の生活をしている西川さんの実家から鮒ずしが送られてきて、持っててきてくれた。

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烏賊 熟成6日目

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サヨリ 熟成5日

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ノドグロ 昆布〆 熟成5日

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ボラを二カン
10日熟成とそれを酢洗いして塩したもの

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イワシ 酢洗いして22日熟成

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豊前キノコエビ

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トリ貝
殻つきで軽く茹でる。そのためワタも一緒に握る。
その海の味を感じるという落としどころ。

豊前の赤貝
小さ目剥きたて、やはりワタ入り
香りがよい

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一夜干した地牡蛎

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養殖うなぎ
小山先生は養殖か天然かはこだわらない

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小肌 熟成感あり身の柔らかさはシンコのよう

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鰤と大根

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太刀魚白みそで熟成

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マナガツオとサワラ 味噌漬け

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金太郎鯖

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振りなまこ
※ナマコは中国では、腎機能(じんきのう)や肝機能を促進させるとされ、血行促進効果も期待できるといわれています。
 調理をする際は、下ごしらえが必要です。二とおりの方法があり、1つは、わたを取り除いたあと、振りナマコといって多量の塩で生ナマコをもみ、ざるで振り落とします。もう1つは、茶振りナマコといって、塩をふり置いたあと70度~80度の番茶に入れて塩を抜く方法です。干しナマコなら、水でもどしましょう。ダイコンおろしとともに二杯酢にしたりスープ、煮ものなどにするとおいしくいただけます。
http://kotobank.jp/word/%E3%83%8A%E3%83%9E%E3%82%B3より

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タイラギ 上30年熟成赤酢

小山先生、今日もたくさん勉強できました。
ありがとうございました。

追伸
『小山』はある程度寿司を食べ尽くしてか、陰陽や塩のキュイの勉強してから行った方がいいかもしれません。東京のレビュア仲間で言うところの“変態”中の“変態”に向いている店です。

小山
福岡県北九州市小倉北区京町3-5-5 2F
電話 093-531-8311





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Last updated  2014.01.25 19:03:42


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