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“飲食店の勉強代行業”大久保一彦の勉強録

2018.03.30
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テーマ:日本料理(150)
《東京の和食界に新たな風》五十嵐@六本木 その1 
 六本木の交差点にひっそりと、でもネット上では騒然とオープンした『五十嵐』を紹介しましょう。
 30年和食店を研究してきた“友人”の通称“クロダンボネ”(以降、ダンボネ)氏が満を持してオープンさせました。割烹でもなく、料亭でもなく、新しいスタイルの“東京和食”で、新しい風を吹き込みました。
まず、予約の仕方がユニークです。予約をするには、まずFacebookでダンボネ氏と友人関係になる必要があります。そして、初回の予約は一人のみで、来店して共感した客人は2名まで予約をすることができます。
 店と客人は本来、フィフティフィフティ。生きる糧を得るためにふさわしくない客人にこびて、店の雰囲気を壊すのであれば、生涯の友となる客人は心地良さを感じません。そのため、ダンボネ氏は、敢えて客人を選び、よい雰囲気を作ることに心意気ある姿勢で臨んでいます。例えば、誰も求めてないのに何故か場を仕切ろうとする人、誰も聞いてないのに自分がグルマンであることを誇示しようとする人、ワイワイガヤガヤばか騒ぎすることだけが店の楽しみ方だと思っている人、自分の価値観を店に押し付けようとする人、酔っ払って気が大きくなってしまう人、このような人で目に余る場合には、お代をいただかず、お帰りいただくのだそうです。その心意気は半端ではないです。そのたった一人のせいでその夜の雰囲気が台無しになってしまいますからね。

 早速、お店に入りましょう。見たこともない一枚板の扉を開けるとそこには四方漆喰で仕上げた非日常の異空間が広がります。贅をこらした漆喰の壁の息吹を感じ、心からくつろげます。その空間で永遠の友達となる店主ダンボネ氏が熱く語ります。(何を語ったかは中略とします)
その空間で、洗練された食を楽しみ、くつろぎ、リフレッシュして、エネルギーをチャージしてまた普段の生活に戻っていただく、それがサンボネ氏の想いなのだと想います。

 さあ、『五十嵐』劇場の幕が開きます!
こちら『五十嵐』のコース料金は4万円(税別)。この料金にアルコールサービス料込みという大サービスです。


この空間でこの価格設定はオーナーのダンボネ氏がポケットマネーで始めたからできることで、永遠の友達に喜んでいただこうという気持ちが伝わります。

 最初に供せられるのは一番だしです。




「これが『五十嵐料理』の原点」で「『五十嵐』のスペシャリテ」とダンボネ氏が豪語します。じっくり水出しした利尻昆布に削りたての鰹を入れてさっと出汁を引き、まったく味をつけていなそうです。温度にも細心の注意を払っていて86度弱まで加熱してできるだけ速やかに提供します。『五十嵐』がこだわる後をひく旨さの余韻というキーワードをこめたスタートです。

 二皿目は、焼きふぐ白子の茶碗蒸しです。


炭火でじっくりと火を通したふぐの白子の白と黒と緑のコントラストが鮮やかで見ただけで食欲をそそります。緑は、新若布のすり流しです。そして、飾りとしてだけではなく、味わいの上でもいい役割を果たしているのがキャビアです。余韻ある味わいで、美的センスは器だけでなく、料理の味わいとしてもすばらしいです。私も、料理屋の家庭教師をするときに、力を入れる茶碗蒸し、とても勉強になりました。


あわせるお酒は雄町100%の「磯自慢 純米大吟醸」です。

 テンポよく三つ目のお皿が供せられます。


焼き蛤と焼きミル貝の春菜ゼリー寄せです。
二品目が濃厚な味わい温かい白子であったため、三品目はすっきりと春野菜や山菜のお浸しにして緩急をつけています。まずは、上に重ねた炭火焼きの蛤とミル貝をいただくと貝独自の深い味わいを感じます。あしらった野菜は、シンプルな味付けなのかと思いきや、かなり複雑です。聞けば、蕨は出汁、醤油、味醂でさっと炊き、こごみやたらの芽は湯通して塩をふってバッテラ昆布で昆布締め、違う調理アプローチをして、最後の合流。下には春菜と柑橘ゼリーがあります。
 おお、これはいつぞやライヨールの『ミッシェル・ブラス』にレンタカーを飛ばして食べに行ったあのアプローチですね。昨今は鶯菜の皮も剥いていない店が多い中、誰も気づかぬ見えないところに手間をかけています。この料理は、食べ歩いた美食家を唸らせるだけでなく、長いおつきあいで未知を既知にするという自身の“伸びしろ”を伸ばしてくれる料理だと想います。すばらしい。
私の塾では、料理人の塾生に「味のわかるお客はいないと思え!」という経営哲学を示します。
この言葉にこめた意味ですが、外部の講話ですと「わからないんだから、手を抜いてうまくやれ」と申しています。一方、塾生にはわかるようになったらそのお客様は永遠の友となれる、と付け加えます。どちらを選ぶかは、その人の境遇や想いで変わるでしょう。この料理を食べて、ダンボネ氏は、私と同じ哲学をお持ちなかと感じました。店なのだと思慮ます。




あわせるワインは、「甲州FOS」です。マセラシオン発酵させており、ミネラルと酸が山菜と相性がよく、複雑なアロマが、春菜と柑橘ゼリーに驚くほど合い、料理の味わいを膨らませてくれます。

 焼き蛤と焼きミル貝の春菜ゼリー寄せに続いて、ダンボネ氏らしい新しい試みとうか提案があります。


“ダンボネプレート”と呼ばれるおつまみプレートです。冒頭でこちらの料金設定でおかわりができるアルコールが込みというお話しをしましたが、この“ダンボネプレート”もおかわりができます。これは、人によって食べる量やペースが違うことへのバッファーになり、ダンボネ氏の心配りが伝わる品々です。食べ混んだダンボネ氏らしい心憎いサービスです。
ただし、行儀が悪い食べ方をすると出禁になりますのでご注意を願います。


写真右が、人参と大根と金柑の紅(くれない)サラダで、紫人参、紅しぐれ大根、金柑を塩、胡椒、黒酢、フランス産のヘイゼルナッツオイルで和えたサラダです。


真ん中が私の好きな氷魚(ひうお)です。氷魚とは鮎の稚魚で、琵琶湖の貴重な材料です。塩、醤油で炊き上げて木の芽をふっています。


左が、叩き胡瓜です。出汁をとった昆布、お酒、梅干し、醤油で炊き上げてすりつぶし胡瓜を和えたものです。
氷魚は少し甘めでおいしくお酒のあてにダンボネさんが何度もおかわりさせていただきました。

 さて、お料理に戻りまして、ダンボネプレートに続いては、当店のスペシャリテ海老真丈のお椀が供せられます。





 ダンボネ氏はこう説明します。
「この海老真丈の味わいは、吉兆から『青柳』の店主小山さんに受け継がれ、『小十』の店主奥田さんと継承され、そして今『東京和食 五十嵐』で完成の時を迎えています」
ふっくらした真丈は、海老の旨味が際立っています。もちろん、臭みなどみじんもなく、とてもクリアな味わいです。そして、吸い地との相性がすばらしいです。温度もいい状態で供せられています。このような大きな真丈を使うと、椀だねが温度を吸収して吸い地の温度下げしまいます。私も料理旅館で苦心する部分ですが、そこは心意気あるダンボネ氏。細心の注意を払ってはられた吸い地が冷めぬよう可及的速やかに客人に届けられます。


本日こちらがご希望で追加できます。

次回に続く






Last updated  2018.04.18 12:41:20
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