テーマ:グルメな仕事(992)
入れ忘れたとんかつを届けに行っての学び
もう20年以上前の話になるので、相当前の話です。 (あの頃お世話になっていた人たちは今、どうしているのでしょうか・・) 本日、ちょっとしたできごとがあり、この古いできごとを思い出したので書いてみたいと思います。 今でも、その記憶は、私の経営哲学として、胸に刻まれております。 私が『新宿さぼてん』のスーパーバイザーをしていたころの話です。 たまたま臨店した店舗に、お客様から入れ忘れのクレームの電話がありました。 忙しい時間ということもあり、その電話をアルバイトさんからかわりました。 今から考えると、どうなんだろうという対応ですが、入れ忘れがあった場合、そのお客様の次回来店時に入れ忘れをした商品をお渡しするように導くというオペレーションをしておりました。 私もそういう対応をしました。 ほとんどの場合、それで済んでしまうのですが、そのお客様はそういう簡単なお客様ではありませんでした。 「バカヤロー、とんかつが1枚なかったら、食事ができないだろう!」 やむなく、タクシーでそのご家庭にお届けにあがりました。 苦情の電話は旦那さんだったのですが、玄関口に出てみえたのは奥様でした。 そして、お子様です。 「とんかつ、来た~」とお子様です。 その時、気づきました。 家庭での夕食は、「たった一枚のとんかつ」無しでは、成立しないことを。 4人で食事で、楽しみにしていたとんかつの夕食。 それが3枚だったら・・ この気づきがあって、私の担当のエリアでは、業務を止めてもいいから、入れ忘れがあったお客様にタクシーで届けることにしました。 なぜ、とんかつを買っていただけるのか・・ たかがとんかつ、されどとんかつ。 今から考えると、お客様に喜んでいただくというのは、こういうことなんだと、ふと思います。 お客様が購入前に考えたことも含めて約束であり、どれだけこの広義の約束を守ることができるかが信用となる、そして、信用が渦を巻き、未来をつくる。 面白かったのは、そうすると入れ忘れは極端に減ることです。 なぜ、入れ忘れてはいけないのか、 日常業務には「残念」の素がいっぱいあります。 そして、私はあまり、目標ということに固執したことはないと思います。でも、私の担当のエリアは三十数店舗ありましたが、全店黒字、全店売上目標達成、全店利益目標達成の離れ業をなしとげました。そうなるのは、多分、こういうことをたくさん積み上げたからだと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.06.03 16:59:18
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