テーマ:おいしい【お鮨】めぐり(344)
カテゴリ:すし協同研究所
小鰭の仕事
小鰭はそのまま食べてもそんなにおいしい食材ではありません。 しかし、振り塩をして、浮き出た水分を拭き取り、酢洗い(生酢に塩〆した小鰭を入れる)して生酢に漬けるだけでがらっと変わります。 塩をするのは脱水するためで、脱水の目的はふたつあります。 まず、腐敗の原因になる水分を浸透圧を利用して抜き取ることで保存性を高めることです。 そして、嫌な臭いをトリメチルアミンなどの成分を浸透圧で浮き出た水分ととも取ることです。 酢洗い、酢漬けの目的はもふたつあります。 ひとつは、殺菌です。 もうひとつは、小鰭はお酢と非常に相性の良い材料で、酢の味わいを加えることで、脂と独特な臭みがある小鰭をさっぱりとおいしくすることができ、それがもうひとつの狙いだと思います。 もともと小鰭がもっているポテンシャル(脂の量や状態)、塩の量、塩〆の時間、酢の選定、酢洗漬けの時間などがあり、それでがらっと味わいが変わってしまいます。 この〆加減の感じ方(評価)は、食べ手の経験と好みので評価が変わります。 食べ込めば食べ込んだ人ほど、この〆加減の違いがわかります。 それ故、小鰭は鮨職人にとって命と言える握りのネタなのです。 ちなみに、オボロは仕込んで数日経った酢がたってきた小鰭の味わい調整するために用います。 中骨を抜く下処理をしたときに脂抜きをしっかりしておけば一ヶ月くらい使える小鰭ならではの仕事ですね。 『行天』の2015年2月のオボロを入れた小鰭。 最後に加筆します。 インスタ映えが重視される時代ですから皮目に飾り包丁をやたらする店が多いように思います。 小鰭は皮目もおいしさを考えるに重要なポイントだと思います。 しかし、皮目に包丁も入れず、でも皮目の食感が軽くあり、かつ、やわらかい皮目の小鰭が私は好みであります。 材料としての小鰭の説明はこちらをご覧ください。 本日のおすすめはこちら! ◆◆すし技術教科書 江戸前ずし編 / 全国すし商環境衛生同 / 旭屋出版 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.06.04 19:27:25
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