テーマ:日本料理(368)
カテゴリ:世界のベストレストラン&ホテル100
《素晴らしい設えと奇をてらわぬ粋な料理、そしてサービスのバランスの良い料理宿》料理石葉 (せきよう) @神奈川県湯河原
“飲食店の勉強代行業”の大久保一彦は湯河原に出没しております。 本日は日本料理協同研究所のお仕事で料理のお勉強のお手伝いでございます。 清明の末候・「鴻雁北(こうがんかえる)」で、名残雪の今宵、勉強するのは全国の旅館の中でも評判が高い『石葉 (せきよう)』です。 同じ湯河原でも、一昔前、料理人が勉強に行っていた現野口観光グループ傘下の『海石榴(つばき)』(買収後は評価が芳しくないようです)が雅の旅館であるなら、こちらは詫び(正確には富士山を越えていないので粋かもしれませんが)の旅館と言えるでしょう。 現在、『食べログ』で全国旅館中4位、4.10点でございます。 じっくり勉強しましょう。 本日は、我々研究所はメンバーの素性を明かして訪問しています。 お宿に到着しますと、まずは、少し葉も見えている素晴らしい桜が見えるお部屋に案内いただきました。 こちらで、お茶とお菓子をいただき、食事の準備ができるのを待ちます。 伊豆大島の明日葉茶と湯河原、小梅堂の桜餅です。 桜餅は道明寺ではございませんが、桜の香りがよく大変おいしいです。 さて、二階の大広間の準備ができたということで、お部屋を後にします。 夜桜を演出した食卓の演出です。 かつて、銀座の『壬生』では石田女将が蛍でお部屋を演出していましたが、今宵の演出もたいへん素晴らしいです。さすがは名旅館といったところでしょう。 また、反対側にある舞台も素晴らしい演出となっています。 こちらは外の風景です。 お酒は、不在となる亭主の心入れで『初亀 中汲み 大吟醸』でございます。 湯川ということで静岡に面した神奈川ということで、隆、丹沢山、磯自慢、初亀、そして私の好きな喜久酔などの品揃えです。 ワインリストも見てみましょう。 クリュグかなり安いですね。 次回はワイン好きと来たいって感じですね~ 都内の“痺れる”リストとは違いかなりリーズナブルですね。 こちらが本日のお献立です。 黄身酢かけをかけた平貝の酒炒りと杏酒 酢加減を抑えた柔らかい黄身酢で、白アスパラとこごみがあしらっています。 お花見に見立てた八寸 鯛子のうま煮、車海老、たんぽぽを使った卵焼きは花見の団子に見立てており、夜桜の設えに併せています。 鮒寿司浜防風、穴子八幡巻き、空豆、飯蛸が漆器に、実に品良く盛り付けらており、見事な八寸であります。 鮎魚女の葛打ちの椀、椎茸、柚子の花。 葛打ちが見事です。 脂ののった鮎魚女ですから、椀だねを食べるとお出しの印象が変化するかな、と思っておりましたが、そうではなく、お出しの印象が最後まで変わらない煮物椀です。 お造りは、淡路真鯛です。 焼き霜した真鯛と二種同時対比となっています。 山葵は実生(みしょう)で、多分伊豆の天城か・・ まずは塩で・・ まだ活った状態の真鯛の切りつけが良く、噛みしめると香りとうまさがあります。 焼き霜にした真鯛は、香ばしい香りが広がります。 甲乙つけがたいですね。 醤油で食べても大変おいしいです。 それもそのはず、醤油は私も新橋水産アカデミーでも愛用の伊豆大島『海の精』です。 『海の精』が埼玉県児玉郡神川町(旧神泉村)の『ヤマキ醸造』に海の精を使った醤油をOEMでつくっていただいているものです。 実は醤油の原料で海塩を使っているのはとても珍しいです。 それは、塩の歴史に由来するわけです。 詳しくはこちら(https://plaza.rakuten.co.jp/yumeakinai/diary/201511140000/)をごらん下さい。 ※ヤマキ醸造 桜鱒の木の芽焼きが続きます。 皮目がかりっとした食感の桜鱒です。 お凌ぎは北海道のそば粉で手打ち蕎麦です。 粘りが出るまで叩いた蕨がのせてあります。 炊き合わせは、京都の白筍と若布と蕗です。 しっかりしたあたりの筍と蕗です。 ここからは個人的なメモです。 最近、東京でも京都の塚原や北九州の合馬から朝堀りした筍が届くようになりました。 自分でも塾生に取り次いでいるのでなんなんですが、筍は時間勝負だと思うんです。 掘った筍をいかに早く処理するか、つまり時間勝負だと思うのです。 これは活蟹も同じことが言えるとおもうのですが、夕方到着した筍で「おお!」という感動の筍はなく、鰺の追っかけ輸送のようにはなりませんね。 あの福岡の『稲垣』の大将でも朝10時に合馬で受け取け取りに行って昼の営業に間に合わせると言っています。ということで、そのうち、京都まで若い衆に新幹線で行かせて、現地で処理して手持ちで持ち帰るという日本料理店も現れるかもしれませんね。 でも、今まで食べた筍で一番感動したのは『あ三五』のノーマークの筍でした。 正直、私も香り、甘さ、味わいのすごさに驚きました。 相州牛ヒレ肉、山椒醤油、スライスにして揚げた野蒜と独活 とても火入れの加減とあしらいの揚げた野蒜のテクスチャの良いお皿でした。 うすい豆のご飯 昆布出汁で炊いているそうです。 途中で桜エビの佃煮をのせていただきます。 自家製蓬餅 あいこ、あまおうのシャーベット ごちそうさまでした。 奇をてらうことなく、全国から時期の食材を取り寄せて、素晴らしいお料理をいただくことができました。 サービスしていただいた女性の所作がすばらしく、またおもてなしが大変素晴らしかく、亭主の心意気を感じました。 素晴らしい料理宿です。 大変勉強になりました。 石葉 (せきよう) 神奈川県足柄下郡湯河原町宮上749-59 電話 0465-62-3808 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.04.12 00:09:17
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