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《運が良ければ、食べ込んだプロでも“未知”との遭遇ができる鮨屋で清明のとり貝の勉強会》めくみ鮨@石川県野々市市
“飲食店の勉強代行業”の大久保一彦は石川県は野々市市に出没しております。 清明の末候となります「虹始見」のもあと数日となるころ、七尾のとり貝は解禁します。 そのとり貝の“本当のおいしさ”と“感動”を体験して欲しいと思い、塾生向けの“スペシャル勉強会”を開催することになりました。 遠くは熊本、大阪、東京、名古屋、群馬、名だたる名店、名旅館のマスターが勉強会に来ていただきました。 本日というかこの時期、本日の勉強先、『すし処めくみ』の大将、山口尚亨さんは、能登まで2往復します。本日の走行距離、450キロと言いますから凄いですね。 これは、とり貝のセリの時間が微妙に遅いためでして、朝5時仕入れに出かけ、一旦店に戻り、仕込みをして、また、七尾にとり貝のセリに出かけることになるのです。 なんとも足で稼ぐ仕事ですね。 なぜ、山口さんはそこまでするのでしょうか? それは、水上げしてからスピード勝負のメロンの香りのする当たりのとり貝を食べていただくためです。 ポテンシャルのあるとり貝を仕入れて、素早く処理をしないとこのメロンの香りはしません。 ましてや、水槽に入りっぱなしになると、メロンがキュウリのように変貌します。 生息する土壌に由来するこのメロンの香りは天然のとり貝の良さではありますが、諸刃の剣の面があるのです。悪いものを選べば、メロンの香りどころか悪い個性となってしまうからです。 まあ、このメロンの香りは、食べたことがなければわかりませんが・・・ さて、本日は“メロンの香り”はあのでしょうか? 店内に入ると、森本の深山八重桜に飾られた見事な演出がされています。 本日は勉強会の趣旨の説明をして、特別に撮影の許可をいただきました。 まずは、何も味付けず、蒸した能登島で取れた 岩牡蠣から。 あわせるのは手取川大辛口 続いては、6時間を蒸したものを1分蒸し直してゼラチンを戻した敦賀の黒鮑です。 鮑のうまさの大きな要員は、そのコラーゲンと香りです。 アワビの主な旨み成分はコラーゲンのグルタミン酸とアデニル酸で、タウリン、グリシン、ベタインなど、甘味を感じさせる成分も豊富です。 コラーゲンの95%がグルタミン酸、残りがアデニル酸です。食べている褐藻類のグルタミン酸がアワビの身に移っていると言われます。 鮑の香りも同様に、生息域で何を食べたかです。 真昆布、アラメを食べると香りも良いわけですが、アラメが最上です。 最近、都会で出てくる鮑にはこの要素はほとんどありません。 香り良く、コラーゲンが唇にまとわりついて旨いです。 食のプロたち、絶句しています・・ おい、おい! 続いては、お造りです。 山陰の赤烏賊と雄の能登島鮃、とり貝 能登島のとり貝 今年は極端に雪が少なかったので、身が薄く、昨年のように見た目からのおおっという感動はないです。昨年は私の掌のようでした。 今日のとり貝のお味はと、・・・ 早速、いただいてみましょう。 おお、メロンの香りです。 当たり!です。 お酒と合わせるとと甘くフルーティーになります。 とり貝のおいしさは、香りと食感とじわじわくるうまさでしょう。 冒頭にも述べましたが、天然のとり貝は生息域の土壌由来の、当たりはメロンのような香りが出ますが、生息域によって、良くも、悪くもなります。 一方、養殖とり貝はメロンの香りはないものの、外れもないです。 確実にメロンを仕入れるには、貝の柄や重さ、ついている土を港で見極める必要があり、これは山口大将にしかできないことなのです。 真ふく焼き ポン酢がけ 茶碗蒸しのようですね。 お酒は五凛を燗酒にて・・ 九州の深場のノドグロ きれいな脂がのっていておいしいです。 生のクチコ 丸めただけで焼いています。 串のとり貝 あたりです~ こちらが当たりの品。 さて、握りに入ります。 5分昆布〆の鮃 本日のシャリはいつもより3度ほど高くしてほぐれやすくしています。 そのため、いつもより粒感があります。 赤烏賊 白海老 羽立のスペシャル海胆 10トンの雲丹からこの1パックしか作れません。 だから、このお値段~ 羽立さんは二段目、三段目も良く、ズルがない、そう。 鱈の白子軍艦 海苔がうまい~ 能登島の湾の入り口の深いところの桜鱒 綺麗な脂がのっていてうまいです。 湾内の蛍烏賊!! 握りは珍しいですね。 長年の研究で常識を覆したそうです。 焼いた香ばしさがきて、口の中で濃厚なミソがトロッとさます。 おお、うまっ。 とり貝の握りです。 シャリの温度と酸味と、シャリシャリしたテクスチャとメロンの香り、余韻。 となりの生ハム王子が悶絶しています。 能登島の赤貝 とり貝よりさらにテクスチャがあり、サクサクしたテクスチャと磯臭さのない、繊細な旨さ。 これも、スピード勝負ですね。 この味わいは都会ではないですね。 能登島の特大牡丹海老 たぶん、角島の水深250メーターの深海で高橋さん獲った15年もの。 藁炙りのノドグロ シャリの酸味と藁とノドグロの脂のバランスが絶妙です。 煮鮑 ツメで・・ ツメに合わせて、オーク樽で萬寿泉をば・・ 隣で生ハム王子が反則だな、とぼやいてます。 能登のあごだしと蜂蜜の能登の名古屋コーチンの卵 能登大きな穴子、干瓢 いやぁ。凄かったです。 参加者は未知との遭遇にやる気がみなぎったことでしょう。 参会できなかった塾生の皆様へ・・ 次回は7月にセッティングしました。 と言ってもかなり埋まりました。 お気軽にご連絡ください。 すし処 めくみ (すしどころ めくみ) 石川県野々市市下林4-48 電話 076-246-7781 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2019.11.17 21:15:00
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