《緑山の都市伝説になりそうな一軒家フレンチ》緑山 松田家
緑山の都市伝説になりそうな一軒家フレンチ 「先生のご自宅の近くに一軒家フレンチがあるのをご存知ですか?」それは、私のスクール卒業生の一通のFacebookメッセージから始まった・・・・・(中略)・・・ てなわけで、緑山の都市伝説になりそうな一軒家フレンチレストランの『緑山 松田家』に出没することになった。“億クション”と言われたバブルのころ、三輪緑山住宅は栄華を極めた。大きなお屋敷が多く、人気があったようだ。今は、駅からの不便さ故、高齢化し、空き家も目立つ。そんな、三輪緑山の中心地の“バスターミナル”のそばに当店はある。 こちらはシェフのご実家のようで、ご両親は定年後山梨県北杜市に移り住み農業をやっているようである。北杜市というとなかなかの別荘地帯、シェフのご両親のコンディションの想像がつくのであーる。 扉をあけると、長嶋茂雄のように髭の濃いシェフがお出迎えをしてくれる。中にを抜け、ダイニングに入ると、贅沢な客席がある。その横に、キッチンが、これまた贅沢にある。プライベイトレストラン。料理人なら誰しも夢見るもの。そして、多くの場合、苦行となる。 シェフは、一昨年訪れたエマニュエルの『Flocons de sel』などで修行されたそうだ。エマニュエルはMarc Vayratのレストランに長年おり、フランソワとの親交も厚いわけで、ご縁のつながりというのは実に面白い。 早速、食事としてみよう。こちらのコースは魚、肉が両方つく12,000円のコースとどちらかをチョイスする10,000円のコースのふたパターンとなる。まずは、自家製パンから。鴨と赤ワイン煮にした洋梨。続いて、名物の野菜いろいろ。他のレビュアさんのレビューによると、これは『シェ トモ』のスペシャリテでもあるようだ。その皿に山梨でご両親が作っている野菜をそれぞれ別のアプローチをしているとのことだ。トマト、冬瓜、蓮根、赤玉ネギ、ヤーコン、椎茸、こうしんだいこん、里芋、ラデッシュ、南瓜、ハヤトウリ、黒大根、日野菜と言う蕪菜、ジャガイモ、落花生、カリフラワー、ブロッコリー、蕪、大根、牛蒡、芽キャベツ、山芋、赤ピーマンがのっている。そう言えば、山梨の星野リゾート系のリゾナーレの『オットセッテ』でも似たような料理が出ている。見た目美しい、女性が喜ぶ料理。いろいろなアプローチをしているので、おいしいことはおいしい。ただ、ライヨールで食べたブラスのガルグイユのような感動はない。ワインはこちらで。Domeine Gros Fere et Soeur Bourgogne Hautes Cotes de Nuits モンサンミッシェルのムール貝これはなかなかおいしい。オリビエ・ロランジェの『Les COQUILLAGE』を思い出すね。ブダイのポアレ 春菊のソースおいしい。それ以外の言葉は見当たらない。カナダの猪ヒレ、ロース、バラマスタードグリーンを添えて。「シェフが味わいが薄いです」と説明があったが、まさにその通りかな。パートフィロで作ったミルフィーユ最後にコンサル目線一軒家レストランというと、同じ(と言っていいのかは別だが)Marc Vayratから『レリダン』を名乗ることが許された札幌の橋本シェフの『メゾン ド アッシュ レリダン』を思い出す。橋本シェフと比べると一皿一皿、驚きに欠ける印象を受けた。料理はおいしいのだが、シェフのポテンシャルが引き出されていないような印象を受けた。それは、駅から遠いこのエリアにお客様が流れてこないからなのだろうが、もっと遠方からお客様を引っ張れないともったいない。もっつ強気な値付けをして、飛び抜ける食材を使ったほうが良いというのが私の率直な感想。時間とお金をかえて移動する対価に見合う値付けをして欲しい。そんな印象を受けた。緑山 松田家東京都町田市三輪緑山3-18-20 電話 044-572-4820