|
カテゴリ:カテゴリ未分類
大阪から転勤で東京へ来た関学君。仕事も順調、プライベートでは彼女も。悪くない東京ライフ。
そして、去年の年末、まさに今頃、彼女に聞かれた。「お正月どうするの?」「ん?大阪帰るで。」「私も一緒に行こうかな~。」「ほな、どっかホテルでも予約しよか?」「関学君ちでいいよ。」「向こう帰ったら、一人暮らしちゃう、実家で家族も一緒。」「いいよ、一緒で。」「!!」 キタ~!!この展開!間違いなく・・・結婚!彼は舞い上がった。いよいよ、俺も年貢の納め時かぁ~。まいったな~。 そして言葉通り彼女は彼と共に大阪へ行き、実家に泊まり友人達に紹介され、正月は祝賀ムード一色だったそう。まさにこの世の春。 東京に戻ってからも、彼の幸せは続いた。そしてそれから数ヵ月後のとある春の日。そろそろ、いろいろ決めていかないと・・・と、彼女に話を持ちかける彼。なのに彼女は浮かぬ顔。 「どうしたの?」「・・・。」「なにか心配事でもある?大丈夫、僕がついてる。」「・・・、あのね・・・。」「?」「私・・・他に好きな人が出来たの!!」「!?」「ごめんなさい!!」去って行く彼女。立ち尽くす彼。 「そんなわけで・・・」うなだれる関学君。「いや~、ひどい目にあって、可哀想・・・」と、神戸女が、彼の背中をなでる。 「ばっかじゃない?」「それで『はいそうですか』って、すごすご引き下がってきたの?」「情けないわね。」「ほんとに彼女のこと愛してたの?」酒の入った関東女は辛らつ。 「だって、そう言われたらどうしようもないじゃないですか!」「どうしようもなくないでしょう!」ガン!とグラスを置く私。「何であがかないのよ!結果が一緒だとしても、どんなにみっともなくあがいても、手放したくないのならその手を離しちゃいけなかったんじゃないの?!」ヲタちゃんが続ける。「大阪までついて行って、実家に泊まったりしてるんだから、少なくとも彼女は君と結婚する気はあったと思うわよ。結婚前は揺れるからね~。気持ちを確かめたかったのかも?」「試されたんだ。で、ミスチョイスだ。」「そんな~」肩を落とす彼。「ふたりともあんまり彼をいじめないで」と、神戸女。「ひとりだけかわいこぶるな!」「いや~マスター、このふたりいじめるんです~。」「おい!!」 「まあまあ・・・」と、マスターが割ってはいる。私は氷で薄まったバーボンを飲み干し、『♪センチメンタルな旅に出よう。気持ちを落ち着かせよう。懐かしい想い出を、新たにするために・・・』と、ドリス・デイの名曲、センチメンタルジャーニーを歌いだす。 ヲタちゃんは実はピアノ弾き。お店のグランドピアノを拝借。軽く伴奏を入れる。私の歌に関学君が続く。『♪センチメンタルな旅に出よう。支度もすませたし、予約もとった。胸を弾ませる子供のように・・・』 おっ、やるじゃない。だてにジャズ好きの集まるお店の常連じゃない。酔っ払いの素人ジャムセッションが始まった。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|