「パディントン発4時50分」★列車から見た殺人の行方は?
「パディントン発4時50分」 アガサ・クリスティ著 早川書房 パディントン発4時50分の列車に乗ったミセス・マクギリカディは、途中併走する列車の中で、殺人現場を目撃する。男が女の首を絞めていたのだ。 すぐに通報する彼女だが、車掌も警察も、彼女の言うことを信じず、自体も発見されない。 旧友のミス・マープルは、推理をめぐらし、証拠探しのために、頭もよく有能な家政婦、ルーシー・アイレスバロウに現場近くの屋敷を調べてもらうことにする。 そして、ルーシーはやがて死体を発見し、この屋敷、クラッケンソープ家の人々に衝撃が走る。彼女は誰なのか?犯人は?そして続いて起こる殺人事件。 吝嗇で陰険な当主、いずれも性格の悪い3人の息子たち、父の世話をする娘、そして、亡くなった娘の夫と、その息子など、登場人物のほとんどが、疑わしく思われるが、クリスティらしく、相変わらず思いがけない犯人が隠されている。 クリスティの作品の多くで、いいメイド、家政を取る人が不足している、という話が出てくる。ここに登場するのルーシーは、数学専攻でオックスフォードで首席、という頭脳の持ち主ながら、重要な人手不足である家事労働の分野へ入ってきた変り種である。 その彼女が持ち前の頭のよさと機転で、難しい老人や面倒な家政を切り回しつつ、ミス・マープルの片腕として推理する。 そして、これもまたクリスティ作品らしく、ロマンスの気配もある。 最後の場面で、「彼女はどちらを選ぶのか?」ミス・マープルはわかっているようだが、いったいどちらなんだろう?私は彼だと思うのだが、当たっているのかな?★★★