1994050 ランダム
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風光る 脳腫瘍闘病記

すいか

朝、起きるとやっぱり気分が悪い。そんな時、看護婦さんがストレッチャーみたいな寝台をベット横につけてきた。

「今から体重はかるんでちょっとこっちに移動してくれる?」

体重?そっか、これで抗がん剤の量とか決めるんだな、きっと・・。私は気分が悪い事を伝えた。

「気分が悪い?何でだろうね?」←こっちが聞きたい。

しばらくして放射線の治療時間がきたらしく若い看護婦さんが知らせに来てくれた。

「すごい気持ち悪いんだけど行かなくちゃダメなの?」私はすがる様な気持ちで聞いた。

「行きます!月~金の平日は毎日治療します!」撃沈。返す言葉もなかった。

車イスをこぐ力も無かったので送り迎えを看護婦さんに頼んだ。

治療が終わって私は廊下で看護婦さんが来てくれるのを待っていた。
「やばい・・吐きそう・・」死ぬほど気持ち悪くなっていった。
「駄目だ、ここで吐いちゃ駄目だ」自分でそういい聞かせた。

「誰か、私に気づいて・・・」その時には体はもう前かがみになって今にも車イスから転げ落ちそうだった。

その時、診察室から出てきた放射線科の先生が気づいてくれた。駆け寄ってきてくれて

「大丈夫!気持ち悪い?」
「吐きそう・・。」
「頑張って、あと2~3日したら良くなるから」

「は?」2~3日って・・・。

「放射線酔いって言って、初めて照射する人はどうしても気持ち悪くなっちゃうんだよね・・・」

うそでしょ?コレが2~3日も続くの?私は死にそうになった。そんな時、
放射線科の技師さんが吐いてもいいように受け皿を持ってきてくれた。

今にも吐きそう・・。やっと看護婦さんが迎えに来てくれた。天使に見えた。病室に帰るまでかなりの距離がある。

私はついにガマンしきれず2度も吐いてしまった。

「サイアク・・・」そこからは殆ど記憶が無い。気がつけばベットに戻っていた。今日は月曜日、木曜には一回目の抗がん剤が投与される。ダブルで気持ち悪くなるのかと思ったらとてもヘコんだ。

次の日の朝は思ったより体調が良かった。
「おはようございます」研修医が朝一で採血しにきたのだ。

「いきなり白血球の数値が下がるとは思えないけど一応検査しときましょう」治療前の私の白血球は5000だったが検査結果では3000にまで下がっていた。

夕食の時間になってカーテン越しに声が聞こえた。
「愛ちゃん、今日のフルーツすいかだよ」
「ほんと?今年、初じゃん」しかし配膳された私のトレーの上にはすいかがなかった。代わりに缶詰のももが入ってた。

「看護婦さん、何であたしだけすいかじゃないの?」
「治療中は白血球の数が減るでしょ?だから過熱食しか食べちゃ駄目なの」

「マジで?」すいか好きの私にはいささかショックな出来事だった。
すいかを加熱してくれと真剣に思ってしまった。





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