読んだ本に語ること。

『パルムの僧院』 Byスタンダール を読んでいました。今はちょいと放り出していますが、上巻の2/3くらいまで読んだかな。まだパルムの「僧院」が出てきていないです。なかなか、魅力的な主人公……だというファブリスは今は20歳くらいなのかなぁ。彼を庇護している叔母君が30前。ファブリスよりもこの叔母様の行き方がカッコ良くて小気味良くて、女主人公なのではないかと思うのですけど、後半はファブリス君が頑張るのかしら。『赤と黒』みたいなジェットコースター感はないけれど、物語は壮大なのではと思いマス。なんだろう、細かい設定ががちがちしていなくて、想像も創造も可って感じなんだよね。舞台を見ているような、場面は飛んで、みたいなことを平気でやるし、最近の小説よりも勢いがいいのかも。物語の物語を楽し
むわけだから、リアリティはあまり必要ないわけだし。(いや、歴史には沿ってると思うけど) そうそ、私はファブリスよりも50に手が届いてしまうと終始嘆いている、けど策士なモスカ伯が好きかもしれない。おそろしくダンディな気配が濃厚(笑) 20040531

久しぶりに出かけた古本屋で『パルムの僧院』下巻をゲット。上下ものって新旧問わず上巻ばかりが出ているものなので、『パルム』も下巻は定価で買うんだろうなと思っていたのでこの出会いは嬉しい♪ こういうことがあるから古本屋さんはやめられないー、のですのよね~。でもこの日記を読んでいる人は私の「古本屋久しぶり」発言にツッコミとか入れるんだろうな……。だよな……。
20050613

 以前から気になっているコバルトの「マリア様が見ている」シリーズを古本屋さんでゲットしたいものなのですが、なかなかないですな……(笑) 買っている世代的に古本屋さんには売らない? やっぱり。うーむ。(←こんなことで悩むな) いやー、いつぞや久しぶりに買ったコバルトでアニメ化の特集を組んでいたのを見てちょっと気になって。制服のスカートの長さとか保守的でいいですね、名門ぽいし。て、おまえは森島恵子か。 20040712

 上野正彦先生の『死体は語る』をつらつらと読んでいますの。大学時代には裁判化学の授業において、サブテキストのように先生がコピーして配ってくれてたこの本を、どうやらおねいちゃんがブック○フで購入してきたよーです。ところどころ知っているエピソードが顔を出すけれど、やっぱり初めて読むところの方が多いなー。オモシロイ。こういうの好きなのでいろいろと本など読んでいろいろ仕入れているワタシだけれど、書き方が素人さんにもわかりやすいよ、上野先生のは。掲載されていた雑誌の雰囲気なのかわかんないけど、飲み会お食事会なんかでゆっくりと話してくれる、職業独特のオモシロ話みたいな感じアリ。知識系というよりは実体験からの文だからかもしれないし、理数学者さんなのに「勘」と堂々と言える方だからかもしれない。好き。医だって職人なのだ。 20040804

「フランス宮廷の悪の華・王妃マルグリット・ド・ヴァロア」桐生操著、を寝る前本にしていました。久々の歴史上の人物書読み。読み始めて思ったのは、あ、映画の「王妃マルゴ」の人だ……とか、おぉ、ヴァロア家、ジャンヌのアレね、などベルバラ知識なのでした。この時代の女性て、奔放! みたいな話なのですけど、結構記録とかって残っているものなのね。手紙とか日記とか会議の記録とか。そこから見えてくる一人の女性を追いかけるのですが、桐生さんの本てみんなそうだけど、読みやすいけど、やっつけ仕事みたいな誤字脱字が多いし文章も変なとこありますですね。あまり作者の思い入れが入らなくて、推測がつるりとヨコシマでそれが読みやすいんだろうけど。ワイドショー的な感じなのかな。でも概要を知るには入りやすくて便利な本だと思うです。感想としてはマルグリットは、そうですね、他の人物たちも、あんまし考えていない? もしかして(笑) とか、人の命って軽いわ、とか。さすがフランス人は歴史事件もすべてが色恋ね。なんて。むしろすっきりしていて良いかもしれない。そいで、フランスはこの時から、ヴァロア⇒ブルボンに移り変わっていったわけね。ふむむー。20040816

 最近どっぷり時間をかけて『黎明の王 白昼の女王』を読んでいました。イアン・マクドナルド作、ハヤカワ文庫でございます。100円棚にあった分厚い本で(笑)タイトルに惹かれて引っ張ってみたらきたのじゅんこさんのイラストが表紙だったので、こら良い話やろと、裏の説明もケルトの妖精世界や15歳の少女という文字が並び、中を覗けば1913年なんて日付もあって、これは好みの話やろと思って、久々の長いファンタジー読み♪ とうきうき読み始めたわけっす。――時間かかりました!! もう少し解説に書いて欲しかったですよ。この話、3部構成なんです。エミリー編・ジェシカ編・イナイ編と子孫へと継がれて行くのですね。書簡と日記だけで構成されているミステリアスにてグロテスクなインタレストな1部はかなりわくどきします。思春期の感受性最高潮の娘がアイルランドの名門の屋敷で妖精を待ち続け、接触
しだす展開。果たして「彼ら」の意図するものは? そして不可思議な大事件が起こり、仮説が披露され、姿を消す人物も。で、謎を引きずったまま2部。時代は次世代に流れていて少し現代。舞台はダブリンの都会の隅、ジェシカはウェイトレスをしている15歳の娘。言葉遣いと態度の悪さ(?)から訪れることになった心理治療の催眠療法で、封印されていた自らの過去と出生に出会っていく、と。それに伴いかの妖精界からの接触も始まり、謎の二人組が登場し……。で、また事件の果てに第3部。今度はジェシカの次次世代。イナイは広告業界で働くキャリアっぽい女性。信じがたい現象が彼女の周りで渦を巻き、イナイは家族との軋轢を抱えながら、鍛えた剣で立ち向かっていく――って。ファンタジックに始まったこの話、最後は近未来SFまでたどり着くんですよ。3部は私にはつらかった! 好みではない本を1部の謎解きのために延々読み続ける辛さ。それもイナイは日本の居合い? か何かを習っていて、ジョウダンノカマエとかゼンノココロとか出てくるんですが、なんかそれが嘘臭く思えて~、ニンジャタートルズみたいな~。結局イナイはいろいろ解決してくれたんですが、壮大に広がった妖精譚の終結にしてはあまりにもインナーワールド的ご都合消化のように思っちゃったよ。だから……それが? いいのかそれで。3部を好きな人は1部で苦しい思いをするだろうし(笑) この本って大変だーと思ってみました。何をどうしてどうしたかったのか、後世のエミリーに理由が欲しかった。行動にも感情に
も説明がほしいと思うんだけどなー。一番気に入ったのは最後にあった作者の言葉。「小説を妻にささげないのはしみったれた作家のやることだからして……」の文章。これはおもろかったッス。20041006

『陰陽師~鳳凰ノ巻』by 夢枕漠 を読んでいました。ずっと難しいんだろうなーと思って手を出さずにいた夢枕さんの本を手に取ったのは100円ワゴンにいたからです。そいで薄かったからです。開いてみたら、めっちゃ読みやすいんじゃん!! とちょっとショックでした。読める、読めるぞ!(ムスカ風・笑) 晴明様のお話は岡野さんの漫画の方をちらちら見ていたので知っていたのですけど、で、そのおかげでビジュアル水も滴る良い男♪ とっても楽しく短編集を読みました。以前に夢枕さん、「ホームズ譚を意識している」とおっしゃっていたんですが、成る程とうなずけるところもあり。毎回始まりが庭の季節を楽しみながらほろほろお酒を飲んでいる晴明と博雅という場面も、なじみやすいし入りやすくて良い感じ。個々の事件も季節が
美しく描かれ、そして人は死に生きて恨み玩ばれる、ような。闇が本当の闇だったころに、光を切り裂く晴明殿はカッコよいです。永遠に続いて欲しいシリーズですね。とか言ってないで、他の巻も読めよ。だから物語の始まりをね。1巻をね(笑)20041103

 今、夢枕獏さんの「陰陽師」を読んでいるのですが、ものすっごいリアルに絵が浮かぶなぁと思ったら、漫画を読んでいました。阿呆ですね。でも、それは置いておいても、絵が立ち上る文章ですよ、こりゃまた参りました。こういうのいいなぁ……。さらっと攫われる感じ。平安時代はほとんど闇だよね(笑) あんまり晴明様が素敵なので、庭にひっそりと菫とかで紛れたいです。ここで花を菫にするとこが私は図々しいですね。ふふ。まー、なんでも良いんですけど、草でも葉でも鼠でも蛍でも。そのうち晴明様が鮎でも焼かせてくれるかも知れないしー。20051204

 「陰陽師~生成り姫」を読みました。後半戦、泣きながら。博雅が大好きな私には、楽しみにしていた彼の恋の話だったのですけれど、……そうはいかないか。なかなか感情を表に出さない晴明様が博雅のためにしたことしなかったことできなかたこと。そこにも泣いたけれど、姫が……ね。ほろほろと流れる彼らの時間に、はらはらと私は涙を流すわけでした。今度、京都に行ったら、貴船神社に行ったり、思いを馳せながら歩いたりしたいなー。2006年初泣き。うう。20060112

衝撃的におもしろかった一冊。『予告された殺人の記録』by G・ガルシア=マルケス 殺人事件のルポのような作品なので、おもしろかったというのはなんなんですが、田舎町で起きた殺人事件、それも食い止めて欲しいとばかりに予告を大々的に行った一件、それに至るまでの詳細と、そこまでして予告をしていたのになぜ起きてしまったのか? 取り巻く人間関係が当時の事件に纏わるものだけではなく、そこまでの積み重ねや、事件以後の彼らのことまで書きとめてあり、構成の妙を感じます。すべての人が人間であり、事件とはこうも複雑なものなのかと、解明として明らかになり記録されたものとは、なんと単純に言葉にされてしまっているものであるのか、と疑問を覚えます。と、同時に、そんなことは知っているんですよね。生活していれば、事件に対する原因がこれ一つというわけではないことぐらい、私たちは。新潮文庫の裏表紙解説は「円熟の中篇」と謳っていますが、まさにそのとおり。円熟の一本です。どこか滑稽な蠢く人たち。コミュニティとはこういうものかと、関わりにおいて些少な地域社会に暮らす者として、羨ましくも思ったりしました。20041104

 シャーリィ・ジャクスン著の『たたり』(創元推理文庫)を読みました。原題は『The Haunting of Hill House』。作中にも頻繁に出てくる「丘の家」がつまりタイトルなわけですけど、『たたり』にしてあるのは映画の方の都合なのでしょうか、やはし。解説によれば1963年に、そしてリメイクが1999年にあったようです。スティーブン・キングが古典的名作だと評しているように、まさしく古典的お屋敷ホラー。けっこう怖くて謎だらけです。家が意志を持っているのか、建てた人間のひねくれ度のせいなのか、家族史の残骸なのかゴーストの仕業なのか、てなところ。もっとも怖いのが子供部屋&図書室だというのも……ねぇ、怖いよねぇ……。ところでこれの解説で、引用について書かれているのですけど、「旅は愛するものとの出会いで終わる」はまっすぐ直線的に『十二夜』だと思うし(だけどこの訳はちょっといただけないす。「旅路の最後は恋人たちのめぐり逢い」。私は延原ホームズに習ったこれで行きます)、屋敷に入って無愛想なおばさんに屋敷の正面に面した部屋に案内されたら、躊躇することなく『赤毛のアン』だと思っていました、私。解説の方は奇説として紹介しているこのAnneの謎。ご丁寧に最後に『e』までついてるんだし、そんなひっぱり方しなくてもアン・シャーリーでいいと思うんだけどー。違うのかなー。20041125

酒見賢一氏の『後宮小説』を読みました。ハード版・あとがきナシです。これ、ファンタジーノベル大賞の受賞作で、そのあとアニメになった印象が強くって、見ていないんだけれどそのポスターイラストのようなもののイメージで、「後宮に入った少女が大冒険の末、皇帝に愛される」というまるっきりのファンタジーだと思っていました。下手したら竜とかまで出てきたっていんじゃない? くらいの。しかし、「後宮」ですから! なにしろ。アニメの展開はわかりませんが、これは大人のファンタジーだと思うのでした。オモシロかった。主人公・銀河の話し方も考え方も元気で愉快で可愛い。皇帝の登場は意表だし、退場もまたすてき。後宮に入るための学舎で同室になった3人の娘たちのキャラも立っていて楽しい。江葉が私は好きですなぁ。カッコ良い。どうなるのかどうなるのかと一気に読んじゃった冒険小説でし
た。ラストに現れる推測未来、これがほんとだったら楽しいなー、てわくわくしました。銀河アッパレ。実写で映画、はダメかなー。先生の哲学とかクドイかな。20041227

 家の中で拾った塩野七生さんの「ローマ人の物語」ハンニバル編を読んで……読み始めてまだ一晩。寝る前読書にはある意味最適ザンス。とりあえずわかったのはハンニバルというのはカルタゴの智将である、てことと、南イタリアが舞台だということ。行ったことのある場所でした。パレルモ~♪ あと私の高校の世界史の先生は記憶に残る授業をしてくれていたんだなぁ、とこんなに年月過ぎてからヨミガエル……。ありがたいッス。20050518


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