不思議ながん患者さん
不思議ながん患者さんに出会いました。母の職場で一緒の方だったのですが、肺がんの末期と言われ、私の行っている病院に入院されています。お歳は62歳の方です。最初の告知は奥様と一緒に聞いて、手術ができないと言われたそうなのですが、ご一緒だった奥様がすっかり具合が悪くなったそうですが、ご本人は冷静に聞かれていたそうです。そして今は入院で化学療法をされているのですが、すべて先生におまかせしますという感じで治療をすすめられていて、副作用もなく顔色もよく一見、入院前よりも元気そうです。私もお話させていただいたのですが、ほんとよく笑われる方で、「わしはどういう抗がん剤されよるかようわからんけど、副作用がぜんぜんないけー、本当にこれでいいんかのう?と思うとるんじゃ」と私に話されました。副作用はないけど、腫瘍は小さくなっているそうです。私はどう答えたらいいかわからなかったのですが、「副作用は作用があるなしとは関係ありません。ないにこしたことはないものですよ。あっけらかんと笑いながら毎日をすごされるのが一番だと思います。」と自分にも言い聞かせるようにお話しました。自分にできていないことを人に知ったような話してるなと自分自身が一番おかしかったのですが、このおじさんのような方が一番いい病気とのむかい方をされているのではないかと思いました。いわば私とは正反対のむかい方のように思いました。お話していると元気をもらえるようで、今までの私のしてきたことってなんだったんだろうとさえ一瞬思ったりしました。この方は「わしは62歳まで元気で病気一つせず生きさせてもらったんじゃけ十分幸せじゃ」と話されていたのですが、私はそういうセリフをいえない年齢であるところが私との大きな違いかなとも思います。「がんばりましょう」とおじさんがガッツポーズしてにっこり笑ってくれました。元気をもらえたひとときでした。