カテゴリ:ストーリー
でもね、本当に買ってもらえると思ってなかったんだ。 そうしたら、家に帰ったら、 うさぎが部屋の中にいたんだよ。 母さんが、「欲しいって言ってたでしょ」と 僕の顔を見ながら、にこにこして言ったんだ。 でもね、ぼくってすごくあまのじゃくなヤツなんだ。 母の隣に父がいたからかもしれない。 父は、義理の父なんだけど、 いつもお父さんづらして、ぼくを叱り飛ばしてばかりいるんだ。 僕は、父を意識しながら、 「そんなもんいらない」って冷たくいいはなったんだ。 いつもの通り、父は不機嫌な顔になり、 母はこまったような顔をしていた。 父の怒鳴り声を背に、僕はぷいっと外に出て行ったんだ。 それから、いつもの遊び仲間と合流して、 遊びまくっていたんだけど、 心の中には、家で見たうさぎのことがずっと 気になっていたんだ。 だからいつもよりも早く切り上げて、 家に帰ったんだ。 本当はちょっぴり、いやな予感がしていたんだ。 だから、走って帰ったんだよ。 でも間に合わなかった。 母は、あのうさぎを鍋にしていたんだ。 いくら小料理屋をしているからって、 そんなもんまで鍋に入れるなよ。 あのとき、どんなに傷ついたかわかんないだろう。 僕は、本当にうさぎを飼いたかったんだから。 (これは彼の思い出をお話にしてみました) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
酷いですね、一生トラウマになって残るでしょう。
救われるのは、長い期間ペットとして飼っていたら もっと残酷です。本人だけが分っている、心の問題 人には理解できなくても、なるべく当事者の気持に なって考えることが大切です。 (2006.01.17 16:24:56)
pluto2103さん
>酷いですね、一生トラウマになって残るでしょう。 >救われるのは、長い期間ペットとして飼っていたら >もっと残酷です。本人だけが分っている、心の問題 >人には理解できなくても、なるべく当事者の気持に >なって考えることが大切です。 そうですね、でも彼にとってみたら その思い出は小さな思い出のひとつみたいです。 それだけ大変な子ども時代を 生きてきたからなんですね。 それは、私だけしか知らないでしょうし、 その私も多くを知りません。 (2006.01.18 07:57:14) |
|