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「人間にも油野郎、みんみん野郎、おしいつくつく野郎があるごとく、蝉にも油蝉、みんみん、おしいつくつくがある。油蝉はしつこくて行かん。みんみんは横風で困る。ただ取って面白いのはおしいつくつくである」(青空文庫より抜粋)
これは夏目漱石の「我輩は猫である」の一節。 「おいしいつくつく?」昔読んだときにピンと来なかった。 ああ、これは「ツクツクボウシ」の事なんだと気が付いたのは大分後に読み直してから。 ツクツクボウシの鳴き方はどう聞こえるか。なんて考えたことも無かった。 私の耳には小さい頃から「ツクツクボーシ。ツクツクボーシ。ツクツクイーーッショ、ツクツクイーーッショ。」と聞こえていたから。 皆このように聞こえているのだとばかり思っていた。 つくつくぼうしはどう鳴くか というサイトを見て酷くびっくりした。 世のなかでは「オーシーツクツク」と聞いている人の方が多いらしい。 広辞苑も「オーシーツクツク」派。大好きな広辞苑。お前もか。 けれども、名前だって「ツクツクボウシ」ではないの。と何だか憤懣やるかたない。 ふむ、かの夏目漱石先生は「オーシーツクツク」派だったのね。とここで納得した。 鳥の刷り込みと同じ。一番最初に感じた感覚はそうそう変えられるものではない。きっと母や父が「ツクツクボウシって鳴いているね」とか私に語りかけたに違いない。私の中では「ツクツクボウシ」は「ツクツクボウシ」としか聞こえない。 もし、法律で「ツクツクボウシの鳴き方はオーシーツクツクと決める。これに反した表記には科料を課す」と決められても、心のなかでは「ツクツクボウシ」じゃないの。と思ってしまうだろう。隠れキリシタンの気持ちそのままに。 今、空耳アワーのような曲が流行っているらしい。 何処か東欧の国恋の歌なのに、勝手に空耳アワーのような歌詞がつけられてヒットしていると聞く。確かに歌詞カードを見ながら聞くとそう聞こえる。だが・・・歌詞カード無しに、何の先入観もなしに聞いたらそう聞こえるだろうか、疑問である。 学生時代に日本の開国の頃、通詞をしていた人のノートを見たことがある。聞こえた言葉をそのままにメモしてあった。苦労して日本語と英語を付き合わせていた。私達の感性ではどうにも取れない様な読みが、普通の日本語として書きつづられていた。その苦労ただものではなかっただろう。 私の耳には「ツクツクボウシ」としか聞こえない鳴き方。 皆様のお耳にはどう届いていますのやら。 あ、ヒグラシは「カーナカナカナカナ」でいいのですよね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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