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夢と現実のおとぼけバラエティー

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2021.09.14
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カテゴリ:夢と現実
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​・・・『当節長屋の花見』の続き​

八「そうだ。このあたりを見てちゃぁいけねぇ。

  遠くの見事な桜を眺めてりゃぁいいんだ・・」

長家のかみさん「なに言ってんだい! よ~く見なよ。

        何か動いてるんだよ!」

長家の衆A「あれ!? 女のようですぜ・・」

    B「金髪に振り袖姿だ・・」

    C「どれどれ、あーっ、着物を着た女だ!」

大家「お~い、そんな高いところに昇ってないで、

         降りといで・・」

熊「あっ、なんてぇ乱暴な女だ!

  飛び降りやがった・・」

八「昨今の女は、威勢がいいや」

長家の衆A「それにしても、不細工な女だな・・」

    B「全身、毛だらけだよ・・」

    C「どう、ひいきめに見ても、

       さるだよ、モンキー・・」

女「おう、おう、おう! 降りろと言うから降りて

  きてやったんでぇ!

  不細工だの、毛だらけだの、猿だのと、

  やかましいやいっ!」

熊「お~、江戸っ子みてぇな猿だな・・」

大家「おまえさん、どちらからお出でなすった?」

女「どちら、と云うほどの所じゃねぇけどよ、

  ・・ちょいと逃げて来たのさ」

八「何か悪いことしたんか?」

女「見損なっちゃあいけねぇや。

  あたいはロボットだよ。

  人間と違って悪事は働かないね」

熊「へぇ~、ロボットが何で逃げるんでぇ?」

女「あたいを買った野郎が、超変態なのさ」

八「へぇ~、どんな変態野郎だ・・?」

女「あたいの全身に猿の縫いぐるみを着せて、

  頭に金髪のカツラを被せて、

  ミニの振り袖を着せて、

  足には厚底ブーツまで履(は)かせたってわけさ」

熊「へぇ~、変わったことする変態だな・・?」

女「べらぼーめ! 変態が変わったことしねぇで、

  誰がするんでぇ・・

  そのうえ、セクハラするんだ・・」

大家「ロボットに痴漢するのかい・・?」

女「そうさ、着物の裾(すそ)をまくり上げて、

  何時間もしげしげと眺めてから、

  全身を舐(な)めまわすのさ。

  たまんねぇよ、まったく・・」

八「筋金入りの変態だな!」

熊「それで、トンズラしたってわけだ」

女「あっ、来た来た・・、あいつだよ。

  あたいを追っ掛けて来やがった・・」

八「なんだ、呉服屋のバカ旦・・、

  いや若旦那じゃねぇか・・」

熊「バカ旦那のストーカーか・・」

大家「よしよし、ここはひとつ、懲(こ)らしめ

   のために、みんなでとっちめてやろうじ

   ゃないか・・。

   いいかい、みんな早いとこ酒飲んで、

   酔った振りしてバカ旦那に絡(から)むんだ。

   ・・そこで、ひそひそ・・いいかい?」

一同「がってん、承知!」

大家「これ、ロボちゃんや、その毛皮とカツラと

   振り袖と厚底ブーツとを貸しとくれ」

女「やだよ~。

  坊主で裸じゃ世間体が悪いじゃん・・」

一同「てゃんでぇ! ロボットに世間体もへったくれも

   あるかってんだ・・」

・・なんともはや、乱暴にもロボットから身ぐるみ

剥いでしまいましたな・・。

大家「いいかい、ロボちゃんは、そこのゴミ捨て場

   の脇に隠れておいで」

・・準備が出来て、一同、手ぐすねひいて待ち構え

ています・・・

・・そんな陰謀が、前方で待ち構えているとはつゆ

知らず、件(くだん)の若旦那は「あたしのロボ子は、

どこざんす・・」

・・と汗をかきながら、やって来ましたな・・。

八「いよ~っ、若旦那。こんち、いい陽気で結構で

  ござんすねぇ~」

若旦那「結構じゃござんせんよ。

    あたしのロボ子が居なくなったざんす」

熊「なあに、ちょいと買い物に行ったんだ」

大家「直ぐに戻りますよ。それよりどうです!

   今夜は折角の花見日和ですよ! 

   若旦那もご一緒にどうです!」

若旦那「あたしゃ酒には弱いざんす・・」

八「な~に、でぇじょうぶ。

  今夜は下戸(げこ)の集まりなんで・・」

長家のかみさん「さあさあ名物の団子もありますよ」

若旦那「おや? 団子もあるのかい?

    あたしゃ、団子には目が無いざんす・・」

八「若旦那、どうぞこちらへ。

  遠くの見事な桜が眺める特等席でやす」

若旦那「うんうん、遠いけど見事な桜ざんす。

    ・・・もごもご、旨い団子ざんす・・」

大家「さあさあ若旦那キューッとやってくださいよ。

   酒はいくらでもありますからね!」

若旦那「キューッ、旨い!

    それにしてもさっきから後ろでなにか

    動いているざんす・・?」

大家「おーっと、若旦那。

   このあたりを見てるのは野暮ですよ・・。

   ここは、『遠見の桜』といいましてね、

   遠くの桜だけをさーっと見て帰るのが粋(いき)、

   とされている名所なんですから」

若旦那「おや、さいざんすか? あたしゃ、

    粋で世渡りしてるざんす」

長家のかみさん「さあさあ、粋の若旦那、威勢良く

        パーッと呑みましょうよ」

・・さあ、呑めや歌えで乗せられた若旦那、

すっかりべろんべろんに出来上がってしまいました

若旦那「ふーっ、酔った酔ったよ、べらぼーめ!」

八「おや、若旦那、言葉遣いが変わっちまったよ」

熊「え~、若旦那、これからどちらへ・・?」

若旦那「ふーっ、なにをっ? どちらへ?

    どちらのどちらなんだってんだ!

      べらぼーめ・・」

大家「若旦那。着物が汗臭いから、

   こちらのさっぱりした着物に着替えて、

   さあさあ・・」

・・といって、ロボ子が着ていた毛皮と振り袖を

着せちゃいましたな・・。

若旦那「着物が汗かいた・・? 

    だらしねぇ着物だ・・!」

八「若旦那、夜露に濡れるといけねぇ。

  この帽子をかぶりなせぇ・・」

・・といって、ロボ子がかぶっていた金髪のカツラ

をかぶせちゃいましたよ・・。

熊「若旦那、履物が見当たらねぇんで、

  この新品の靴をはいて行きなせぇ・・」

・・といって、ロボ子のはいていた厚底ブーツを

はかせられた若旦那は「ゴチになったよ、ベらぼー

め・・」と言いながらよろよろと行ってしまいまし

たので、一同手をたたいて大笑い・・。

大家「ロボちゃんや。さあ敵(かたき)はとったよ。

   さてロボちゃん、お前さんのこれからの身の

   振り方だが・・、

    

  どうだい、うちの長家へ来るかい・・?

  酒はあるし、みんなで歓迎するよ」

ロボ「ご親切は有り難いんでやんすが・・、

   あたいも酒には弱いんで・・・」

   お後がよろしいようで

​​





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最終更新日  2021.09.16 17:26:07



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