夢の楽延

『繋ぐ約束(8下)』

 「・・・・・・ ・・アル?どうした、おい??」

 「・・僕は兄さんの『父さん』ではありません・・」

 「Σはっ?;当たり前だろ、お前がオレの父ちゃんになれるかよ。落ちつけ」

 「落ち着くのは兄さんの方だろ?!;何でいきなり敬語で、しかも僕のこと『父さん』って呼んで・・っ」

 「お前、頭打った?むしろ打たれたのオレの方だろ??」

 ワケがわからなかった。夢でも見たのだろうか・・とさえ思えるほどあっさりと、自分の兄はむくりと起き上がって平然としている。


 「じゃあ、兄さんが壁に叩きつけられたのも・・夢?」

 「いや、少なくともそれは現実だ。」

 「・・・痛くないの?」

 「ギシギシっつってるけど、動けないほどヤバくはない。・・それに、今は動けなくても動かないと駄目な状況だしな。」

 エドワードが目の前に視線を向ければすぐに新しい砂埃や破片が飛び交って、その中で緑色の尾はその勢いを緩めることなく踊り狂っている。だがそれは必ず自分達に襲い掛かってくるわけではなく、その場に在るモノ全てを破壊し尽くそうとしているようだった。

 「・・どうなってんだ?」

 自分と同じように姿勢を低くしてそれを見ている弟に振ると、その首はフルフルと小さく振れる。

 「ただ、ルイは『魂が戻った反動で意識が混乱』してるんじゃないか?って ・・僕の場合は戻った瞬間に瀕死で気絶してたし、魂の移動は初めてのことじゃなかったから」

 「・・アイツの魂や身体は、少なくとも真っ当なモンじゃねぇしな・・」

 何より、その内にあるものが・・。


 一向に言葉にならない響き渡る咆哮が、苦しげに聞こえた。


 「っ!!来る・・っ!!」

 アルフォンスの声が真横から聞こえ、それは一瞬で遠ざかる。

 弟の声が聞こえなかったわけではなく、次の攻撃が自身の方に向かっていることも解かっていながら、エドワードは動かない。

 「兄さ・・っ!!」

 ただ立ち尽くしている兄に、アルフォンスはもう一度声を上げたがその代名詞が届くよりも先に、激しい砂埃が舞った。


 息を呑んで、そのままその場で立ち尽くしていたアルフォンスは、砂埃の中に影を見る。

 「おいエンヴィーっ!当たって無ぇぞノーコン!!」

 そこには自分の尻尾くらい上手く使え、と平然と(そして偉そうに)仁王立ちをしている兄。だがその真横の壁には見事な大穴が出来上がっていた・・。 何故そんな死地に近い場所で更に怒りを買いそうなことを言うのか、全くその真意が理解出来ないアルフォンスは、動くことが出来ずにいた。

 そしてその挑発が届いたのか、もう一撃とばかりに咆哮が上がり、尾が振り下ろされる・・が、またエドワード本人には触れることなく近くの床に一つのクレーターが出来上がった。

 「・・・・・やっぱりな。 ・・・お前、もうちゃんと意識しっかりしてんじゃねぇかっ!」

 ビシっ!と指をさして言い切るエドワード。

 「でも攻撃当たって無いよ?」

 「視覚がはっきりしてないんだろ。魂が混乱してんなら、五感が五官とまだ上手く定着できてねぇ可能性もあるし。それに・・・最悪、コイツのこっちの世界に来た『代価』とも考えられる。 と、そんなことより」

 弟に向けていた視線をすぐにエンヴィーに戻して、真っ直ぐに向き合う。


 「いつまでそうしてるつもりだ?判らないふりして破壊して、暴走して・・尻尾ボロボロじゃねぇか。」

 「・・・・・」

 「伝わらねぇ言葉、知らねぇ場所で喚いててもしょうがねぇだろ。言いたいことがあるなら言え、殴りたきゃ勝手に殴れ。意味のある傷なら今程痛くねぇはず・・ ・・つぅかテメェ、人が話してんのに背を向けんなコラ!こっち見ろこっちー!!」

 一瞬間を置いて返ってきたのは、更に振り下ろされた尻尾の攻撃後。 新たにエドワードの真横の床に出来あがったクレーター。



 「・・・・・上等だ・・。」

 あ~あ・・、とその数歩後ろに移動し、待機していた弟が呆れたような溜め息を吐く。

 その目の前では兄がエンヴィーの身体の上をてっぺんまで駆け抜けて、間を空けず鉄拳を繰り出している光景と、頭をブンブンと振って反撃(反抗?)しているエンヴィーの姿があった。

 「・・なんか、微笑ましくない・・?」

 「まだ何も解決出来ていないと思うんだが・・。」

 「肉弾戦で友情とか生まれるかもしれんぞ?」

 「つーか結局、俺等(=軍人組)なんも役に立ってないっすね」

 「いつものことじゃないですか。」

 大体、アンタらいつの間に破壊されずに残ってた、ぶ厚い壁の裏からぞろぞろと出てきてんだよ。 とは更にツっこむ気になれず、アルフォンスはもう一つ、違う意味での溜め息を吐いた・・。





 ・・3時間後。


 「おーい、引き上げるぞー・・。」

 「あぁ、友情でも生まれたか?」

 「Σは?生まれるか馬鹿。」

 「まぁ、此処は海岸でもないし夕陽も差しこんでないもんね。・・あ、じゃあうっかり愛情でも芽生えた?」
 「だからなんでそうなる?」

 「・・アイツまだ向こう?トドメ刺して来てもいい??」

 「僕の左隣に今現在直立している君の弟が危ない目してエーテルリング嵌めて何か危ないモノ練成しようとしてるみたいだけど放っといていい?」
 「止めろ。」

 二人の、精神的に小規模な乱闘が始まって1時間後、それを見飽きたその他組はその辺の木片を掻き集めて焚き火を作った。そして2時間後、焚き火囲って談笑をし、将来の夢なんかを語った。 更に3時間後(現在)、既に談笑にも飽きてきた数名が睡魔に襲われリタイアしていた。

 そんな中、少々疲れたような表情と身体に生傷をたっぷり作ったエドワードが帰ってきたのだった・・。


 「で?冗談はさておき、結局どうなったのかね。」

 「ん、ああ。 一応付いて来ることになった。んで、一緒に親父んトコに殴りこむことに
 「何でそうなっちゃった?」

 あまりに父が哀れなことになりそうな気がしたアルフォンスは即座にツっこむ。

 「いや。よくよく考えねぇでもあいつの、レベルが非常に高い八つ当たりは9割方ヤツが原因だし、どうせなら納得いくまで殴るか?と。」

 「父さん死んじゃう・・。」

 一人は鋼の右腕・鋼の左足を持ち、しかも標準体力MAXを消費してもかなり余りある、超健康・お年頃の鋼の錬金術師。一人は一撃で常識外れのクレーターを造りだす人造人間。 更に愛と憎しみは紙一重。このコンビは「愛の鞭だ」と発言するだけでも殺人未遂者になれるだろう。

 っていうか僕はこっち来てから一度も父さんのこと聞いてないんですが。来てたんですか?生きてたんですか?


 「・・・ ・・・・まぁ。つうわけで、2、3日ほど外出許可くれ。」

 素知らぬ顔でさっきから一番暖をとっていた(恐らく冷え性な)オーベルトに声をかけた。

 「んー・・、別にいいけど。ミュンヘンでしょ?」

 「・・ああ」

 「・・大丈夫だとは思うけど、一応同行者つけとこうか。 えー・・と、ジャン行ける?」

 「すんません今週は無理っす。それに何かあったときに事態を収拾出来る自信が全くないし」

 「んー・・じゃあ軍人組は無理だね。 ルイかアウル行ける?」

 「・・俺が行こう。研究所に戻っても外では力になれないからな・・。」


 (あー元々。しょっちゅう外出中な身の上(*死んだことになってるので)ですもんね?)

 と、さすがに発言することの出来る勇者はいなかったが・・。



 「すぐに行くの?兄さんの義手もまだスペアだし、僕もそろそろ痛み止めの効果切れる時間だから、一度帰らない?」

 「何言ってんだ、アル。 言っただろ?・・同行者はアウルだ。」

 いとも簡単に、さらりと告げられたその言葉の意味を察するのに、アルフォンスは今まで例に無いほどの時間を有した。

 ・・目の前の兄が何を言っているのか、わからない。


 「・・・・待ってよ、だって・・父さんに会いに行くんだろ? ・・別に、同行者は絶対『一人』って決まってるわけじゃないし・・」

 「・・・お前は残れ。」

 「いやだ」

 「アル・・」

 「だって、おかしいだろ!なんで兄さんは父さんが此処にいることを僕に言わなかったの?! なんで隠した? なんで教えてくれない? 何でそん、な・・・・」

 己の頭を巡る思考の言葉を途切れさせた瞬間に、兄は悟る

 「解かったろ。 ・・お前は来るな。」

 肩を小さく震わせる背に一度だけ優しく触れて、エドワードは後方の二人を先導するようにその場から離れて行った・・。









 「・・泣いてたけど?」

 「・・・気になるか?」

 「別に?俺には関係ないしね。」

 関係ないわけでは決してないのだが、あえてエドワードは口を噤(つぐ)んだ。

 そのすぐ後ろを歩くエンヴィーの姿は既にドラゴンではない。


 「・・・身体の調子は?」

 「は・・?何?俺に聞いてんの?」

 一瞬、不意を突かれて予想も出来ないような話題を振られ、エンヴィーは少しだけその目を見開いた。

 「アウルに聞いても意味無ぇだろ。」

 「・・・『気になる?』」

 「当たり前だ。」

 「・・・」

 馬鹿にするような口調で聞き返されたソレを、エドワードはまるで気にせずにサラリと返す。

 「そのリングが錬金術師以外にも効力を与えるのかも確証は無かったし、どんな副作用が起こるかも知れねぇ。 ・・何かあったらすぐ言えよ。」

 「何とか出来るわけ?」

 「・・・最後の手段なら、残してある。」


 「それは『人体練成』じゃないだろうね、お兄様??」

 ・・背筋が凍りつくような低い声が、今さっき一行が通り過ぎた木の影から聞こえた。

 ギギギと鈍い音がしそうな速度で首だけ斜め後ろに向けると、そこには予想通りの人物と、一番後ろを歩いていたアウルが何やら手紙らしきものを広げ、黙読している。


 「あル・・?な、
 「『何で此処にいるのか』っていうのは考えればすぐ解かると思うけど? それとも弟の僕には考えさせといて、兄さんは考えられない?」

 無茶苦茶怒ってますよね?と聞けばその満面の笑顔で「当然でしょう」と言い切るだろう弟に、兄は更に縮こまってゆきながら、既に予想はついている答えを少し遠慮がちに言葉にする。

 「・・・オーベルトが親父の住所を教えて、ルイがオレ達と合流できそうな場所に運んだ、んだろう・・?」

 「兄さんが毎月父さんに手紙出してたことも知らなかったね。」

 「・・隠してたからな・・」

 「・・・まぁ、謝って貰おうとも思わないけどね。」

 明後日の方向を見ながらあからさまな溜め息を吐き、アルフォンスはエドワードの目の前まで移動し、一言だけ

 「構えて。」

 と、言い終わると共に一つの拳が空を突き、間一髪で横に避けたそのヒトと視線がかち合った瞬間。両者合意の兄弟喧嘩が始まった。

 「いい加減言いたいこととか心に貯める余裕(スペース)ないからね」

 「お前は限界まで貯めるからな。万まで貯まったか」

 同時に地を蹴って、拳を振るい、蹴りを繰り出す。 まるで良く創り上げられた演舞のようにも見えるほど、それは否応にも周囲の目を引く。

 「三桁違う。」

 「どんだけ巨大な貯金箱だよ」

 腕や足が交差し、動きが止まった時だけに言葉を交わす。 ・・ここまでは序章だ。

 「元はとっ言えばっ兄さんがっ!僕の堪忍袋(ちょきんばこ)の許容量上げることばっかりっ!してる、か・らっ!!」

 「お前っ!兄ちゃんだってっなぁ!ちゃんとっお前のことっ考えてだなぁっ!!」

 「余計ーなお世話が多いんだよっ!!」

 前半では攻撃や防御で腕と足が仕切に動いている最中にも器用に口が、絶えず働き

 「食らえっ!heightHammer!!」(直訳:高い位置から振り下ろされる金槌)つまり完全体アルフォンスチョップ。

 「なんのっ必・殺!! ・・・・・・」←突如目が潤んで半泣き。

 「Σ!?;」
 「の隙に急所蹴りぃいいい!」

 「Σ酷・・っ!;非道っ!!!」←なんとか避ける。

 後半では遠回りな悪口と非道な攻撃が繰り返される。


 そして終章。

 兄は弟に一瞬の隙を突かれて、軽々と背負い投げを決められるのだった・・。








 「なぁ、本気で付いて来るのか・・?」

 「当たり前でしょ?勝ったんだから」

 「んな約束してねぇよ。つか、する前にふっかけて来たくせに」
 「それに・・・
   ・・僕だって、家族なんだから」

 「・・・」

 相変わらずその地理に詳しいエドワードを先頭に、街路を歩く一行は前衛と後衛に二人ずつキッチリ分かれたかのような距離を保っていた。

 先程の兄弟喧嘩にそれほど時間は取られていないのだが、エドワードは少し急ぐように歩く。アルフォンスはある程度その事情が飲み込めているので、黙ってペースを合わせてくれているのだが、後方の二人はそうはいかない。

 「おいエンヴィー、もうちょっとペース合わそうとか思わないのかお前・・。」

 「は?歩くペースまで考えなきゃいけないわけ?」

 元々超マイペースで自己中心的な性格のそいつに何を言っても同じだということを、エドワードは勿論わかっているのだが、今はそんな曲がった理屈よりも焦りが上回った。

 離れた後方を歩いているのはアウルも同じなのだが、そのアウルは一番後ろでエンヴィーの不穏な行動を見張るために最後尾についているようなので、エンヴィーが遅く歩いている限りはアウルも必然的に遅れて歩くしかない。

 「・・・エンヴィー、お前何か好きなモンあるか?」

 「・・は?」

 一体何事?と思いっきり不審そうな目で更に距離を取られる。が、エドワードは粘った。

 「いいから。無いか?何か。」

 「・・・人間の苦
 「生モンじゃなくて。その辺に普通にある・・食い物とかでっ。」

 うっかり地雷どころかウラ○ウム爆弾とか踏みそうになったが、なんとか寸でで切り替える。

 ・・内心「他は無い」とか言われたらどうしようか、と本気で考え、知り合いに心の広い・且つ際ど過ぎる○ム様とか探しながら返答を待った・・。



 「・・・・・・・ちょこ・・・・・パフェ」


 「・・・・・・・・・」

 「・・・・・」

 「・・・・・・・・」




 結構な小音量だったようだが、並べられた単語ですぐに見当はついた。 ついた・・のだが、その場の誰もが凍りついたように動かない。


   動 い た ら 噴 き 出 し そ う な 気 が す る 。




 「・・・・そっか・・、用事終わったら美味いトコで好きなだけ奢(おご)っから、とりあえず今はペース上げてくれ・・。」

 「兄サン、前に「気に入った」って言ってたお店あったよね。そこ行こうか」

 「いや、お前ら何で歩かないわけ?」

 ・・噴き出して逆鱗に触れでもしたら町が消える。

 未だに離れた位置にいるエンヴィーの真後ろの、あのアウルの肩がはっきりと震えているのが見えるほどの衝撃を、なんとか目の前の二人は直立不動だけで必死に堪えていた・・。





 * * *



 久しぶりだな、と。 エドワードは自身の二つ目の出発点を見上げ、集まっている背中の視線に「2階だ」とだけ告げる。



 4つの、それぞれリズムの異なる足音が階段を上って、向かって右側の一番端の部屋の扉に向かって指をさした。


 「あの部屋だ。」

 アルフォンスが最初に扉の前まで歩いて行き、それにエドワードも続こうと足を出したが、ふと後方を見やる。

 「・・どうした?」

 「・・・・いい」


 「は?」

 「やっぱりいい。必要無い・・てか、馬鹿馬鹿しくなった」

 突然、階段を上りきったその先から動かなくなったエンヴィーの発言に、エドワードは一つだけ息を吐いた。


 「・・前も、そうやって背を向けたのか?」

 「・・・」

 「お前。オーベルトの身体に入ってすぐ、親父に会いに此処に来ただろ。」

 研究所内で出た郵便物はまずオーベルトに預けてから、町にある郵便屋へと運んでいる。 大学やら学会やらで、オーベルトはよく出かけるので、その『ついでに』と習慣化したらしいが、彼は並外れた記憶力の持ち主なので、送り先の住所を全て憶えてしまっているらしかった。

 身体を共有していると自然に相手の記憶や感情まで見えてくるようになる、と弟は教えてくれた。

 「あのなー、会いもせず・話もせず・顔も見ずにオレ達に八つ当たりすんなよ。 お前の八つ当たりに一々命懸けてるんだぞ、こっちは。」

 「・・・・」

 「アル、そこ開けてくれ。」

 いい加減埒(らち)があかないので、エドワードはエンヴィーの片腕を両腕でしっかり掴み、背に背負うような感じで右肩に腕を乗せて引きずる。

 身長差も結構あるのでかなり際どい形で引きずられるエンヴィーは上手く抵抗出来ずに、ただ「チビ」だの「みじんこ」だのと喚(わめ)いていた。が、部屋の扉が開かれると同時に黙ってしまった・・。


 尋常ではない匂いが鼻につく。




 「 ・・おかえり 」

 ・・香水の匂いばかりが充満した部屋の奥のベッドの中に、その人間は横たわっていた。


 その肌の色は既に肌色とは言い難く、声は何とか聞き取れる程度、目は・・光を映していないように見える。


 「今日はアルもいる。・・わかるか?」

 エドワードは力の抜けたエンヴィーの腕をゆっくり肩から下ろし、アルフォンスの肩に手を置いた。

 「・・・久しぶりだね、父さん・・。」

 目の前の唇が薄く弧を描く。

 「 あぁ、暫らく見なかったが・・随分立派になったな・・。 男前だぞ 」

 布団の中に隠れた身体は、呼吸をする胸以外全く動かない。 「すまないな」と息を切らせて語る父の姿に、アルフォンスは涙が溢れそうだった。 ・・そして


 「・・・いい気味だ。」

 その場の空気を容赦なく破るように、エンヴィーは嘲(わら)う。

 「そうだろう?罪を犯した人間には当然の罰だ。そのまま、苦しみ、足掻き、もがいて死ねばいい! なんなら今すぐ楽になるのを手伝ってやろうか??」

 あははは!と高く嘲笑するエンヴィーに、アルフォンスは両拳を強く握ったが、すぐエドワードの片手にその怒りをそっと抑えられた。


 「・・親父、オレ達は外に出てるから」

 その信じられない一言に、驚くアルフォンスの手を多少強引に握り締め、エドワードは扉の近くに黙って立っていたアウルと共に、弟を引きずるように廊下へ出て行った。




* * *


 そのまま外まで出た直後、弟に抗議の目で見られるエドワードは、ただ向き合って 一言だけ謝罪した。

 「何で?・・兄さん、父さんが殺されてもいいの?!」

 「あいつは殺さない。」

 迷いのない瞳で言い切られて、アルフォンスは言葉を飲んだ。

 「・・あいつは、父さんのことを憎んでるよ?」

 「・・・だろうな」


 「・・あいつは殺すよ?」

 「殺せないよ。」

 そう言うと、エドワードは入り口横の壁に背をもたれて、立ち並ぶ建物の間から覗く空を見上げる。


 「親父は、あいつをずっと思っていた。 あいつは自分が一番最初に貰ったモノを、ずっと大切にして、だから・・憎み、嫌った。」

 「・・・わからない・・。矛盾してるよ・・それ」

 今日は青い空がよく見えるのに、少しだけ黒い雲が浮かんでいた。


 「だから、あいつは怖かったんだろ。」







* * *




 「・・・・・」

 「 ・・久しぶり、だな・・ 」


 「・・目、見えてるわけ?」

 「 否・・。 だが、お前は私の息子だろう。 」


 「はっ・・『息子』?よくもそんな都合のいい代名詞が出てくるもんだ。 自分で勝手に、造って、失敗して、捨てたクセに?」

 「 ・・否定は出来ない。 ・・だが、お前があのまま生きていたとは、知らなかった。 」


  『知らなかった』というその言葉に、エンヴィーは目を少し見開いた。


 「 異形の形で生まれ、 助けを求めるように呻(うめ)きながら、途端に血を吐き出して・・ ・・死んだのだと、思っていた・・ 」


  違う。と心を埋めても、今までの矛盾や気付かなかったことばかりがその頭を巡る


 「・・・・・るか・・」

 「 ・・すまなかった・・ 」


 「信じられるかっ!!お前は俺を捨てたんだ!! バケモノで!ニセモノで!失敗したから!!! だから逃げて、新しく女を作って、子供を造ったんだろう!!?『ホンモノ』が欲しかったから!!」

  それが エンヴィー の真実だった。


 自分が醜かったから 自分がいらなくなったから  自分を嫌いになったから


 だから、『捨てられた』のだと



 「 ・・・そうか・・。・・憶えていて、くれたのか・・ 」


 一瞬。何を言っているのか、エンヴィーにはわからなかった。


  それは自分にとって極自然なこと、 最初に、たった一つだけ。


  確かだった自身の証明・・。





 「 お前を 忘れたく・・なかった 」


 新しい記憶をいくら拾っても その記憶は鮮明に残っていた



 「 護ってやれなかった・・ あんなに幼かったのに 、 苦しませて ・・死なせてしまった・・ 」


 居もしないモノに縋り付いて、 目の前で苦しむ者に 到底叶うはずもない期待ばかりを押し付けた。


  自分の無力に押し潰された

  人間の無力さに吐き気がした



 「 すまない ・・『エドワード』 」


 強く抱き締める度に 「生きろ」 と望んだ。

 同じになって欲しくないと願っていながら どこかで同じものを望んだ。


   継がれた『それ』は自身の愚の骨頂





 「 おかえり・・。 こんどは いき て    」




 まるで機械が電力を全て消費してしまったように 動いていたものが眠ってゆくのが解かった・・。













* * *




 「・・・御免」

 何も無い空を見上げたまま、兄は言った。


 「・・なんとなく、わかった。」

 その二階の窓を視界に入れて、弟は悟った。


 兄が何故2、3日の外出許可を取ったのか

 頑(かたく)なに、自分に「来るな」と言ったのか



 「・・・・「殺せない」、よね・・ 確かに」



 時間とかじゃなくて



 「・・あいつの話してから、ずっと・・親父は「謝りたい」って、言ってたんだ・・。」







* * *





 その後は、結構とんとん拍子に事は進んだ。

 さすがに尋常ではない遺体をそこらの葬儀屋(専門家)に任せるわけにはいかず、そのまま埋めるわけにもいかないので、兄は火葬を提案した。

 そして人気のない、大層な火を焚(た)いても安全そうな場所をその日の内に探し、戻ったが、さすがにあの室内に入ることは躊躇われたので僕達は野宿をすることにした。

 次の日の朝、兄さんがほぼその場の勢い(テンション)で、なんとかその室内への扉を開けたが、既にそこにエンヴィーの姿は無かった。



 一人欠けたその状態で いいのだろうか、とも思案したが。結局は外出許可の期限が迫っていることもあって、僕達は身内2名と異世界人1名の計3名で、かなり小規模な葬式を挙げ、僕達は最後の最後で父を見送った・・。


 残った遺骨は、その半分をこの世界(地)へ残し。そしてもう半分は元の世界に戻った時、母の元へ共に埋めてあげようということになった。








 「・・わかった。 御愁傷様・・」

 「いいえ、・・覚悟はしていましたから」


 「・・・・・で。エドワードは?」

 「私用があるとか言って僕に報告任せて、止める間もなく勝手に何処かに行っちゃいました。」

 同時に遺骨の半分まで押し付けられてしまったものだから、さすがに(精神的なものと常識の問題で)そのまま追いかけることも出来ずに、僕は一人で帰路についていた。

 「・・まあ。アウルもついて行ったんだろうから、心配無いとは思うけどね・・。」

 「・・・・」

 ふと気付けばその姿も確かに見当たらなくなっていたので、オーベルトの見当は外れてはいないのだろうが 個人的に、どうしようもない疑問が浮かび上がってくる。


 「・・・あの人達は、兄さんの敵じゃないんですか?」

 確かに以前、彼等は物騒な発言を本人の目の前でしていた。しかも、至って真剣な面持ちで。

 「それなのにその前は命を助けて、しかも今回はまるで護衛でもしているかのように見えた。・・一体」

 「『それ』を僕に聞かれても困るんだけど、ね。」


 「・・・すみません。 ですが、貴方が一番彼等のことを理解していると思えたので。」

 途端目の前にある瞳が、少し驚いたように見開かれ、へぇ・・、と興味深げに呟いて、暫らくの沈黙を貫いた。


 「・・・ ・・例えば。最初から『絶対に殺さなければいけない』と言われる人間はまずいないでしょ?」

 僕はその問いに小さく頷く。

 「後に大量殺人者になるかもしれない不良息子でも、そうなってしまう前に出来ることは山ほどあるし。・・ひょっとしたらそんなことをしないかもしれない。」

 「・・・」

 「その可能性と、現在(いま)自分達に出来ることを信じている・・・・・んじゃない? たぶん。」

 結局のところ「本人達に聞け」と片付けられたけれど、・・何だか聞く気が失せてしまった。

 そんな確証のない答えで納得して、兄さんを危険な目に合わせるつもりは毛頭無いが、それでも、今は大丈夫なのだという確信はあった。 だから、僕も今は出来るだけ見守ることにしようと思う。

 (・・既に現在、僕の目の届かないところに兄さんとアウルさんがいるっていうのは問題だけど・・;)

 一人でとにかく区切りをつけて、研究室にでも向かおうか、と廊下へ続く扉に手をかける。


 「あ。そういえば・・ハイデリヒが目を覚ましたらしいから、暇があったら様子でも見に行ってやって。」

 今正に歩き出そうとした足の向かう先が変更された。











 白い扉を2、3回ノックして「お見舞いにきました」と殊更軽く振舞ってみる。 が、中からの応答がない。

 「あれ?;中尉いないのかな・・。 ・・・もしかして気分を害した、とか?」

 場を和ませようとわざとらしくしたのが、よもや逆鱗に触れたのでは?;と、身を固くしていると肩にポンっと重みを感じた。

 「リザさんなら用事があるようだったからマスタングさんのところに行かせたけど?」

 と、背後から現れたハイデリヒは、そのまま目の前の扉を開ける。

 「・・・僕に用事ならどうぞ? 出せるものは水しかないけど。」

 ほんの少し気まずい気もしたが、一応それなりに用はあったのでそのまま室内に入った。


 「水、いる?」

 「いや、ご遠慮なく。」

 というか怪我人に接待させる気はない。 僕はすぐに手頃な椅子を見つけて、ベッドの脇に腰を下ろした。

 「・・・痛くないの?」

 「それはこっちの台詞。痛み止め5、6個持参してまでエドワードについて行ったって?」

 「休める所では度々暇見て休んでたし、特に身体に異常はないよ。・・で?」

 「こっちは、ずっと寝てたから身体がなまってるだけで大した痛みは残ってない。・・・凄い『魔法』だよね?医者要らずだ。」

 彼の過去を知る僕にとって、それは嫌味のようにも聞こえた。


 その後はただ父の死と、兄さんがまだ戻って来ていないことを、オーベルトに報告したのとほぼ同じように話した。


 「・・全く、どこに行っちゃってるんだか。」

 あからさまに呆れた風に言ってからハイデリヒを覗くと、少し表情が綻(ほころ)んでいるように見える。が、その目はまるで違う場所を見ているように感じた。

 「・・?」

 「あ・・、いや、 ・・・たぶん僕はエドワードの居場所、わかるよ?」

 「・・え;」

 僕

 ・・そりゃあ、僕には見当もついていないけど、・・けどさ。

 


 「・・・あー・・;なんか、今の君の気持ちもわかる気がするよ・・。 嫉妬心による身の危険をヒシヒシと感じる。」

 「・・・・・・・・・ごめん」

 思わず嫉妬心に逆ギレを乗せてプレゼントするところだった、と続けて話すと、ハイデリヒは動じることなくあはははは、と愉しげに笑った・・。


 「んー・・憶えてる、かな・・。僕とエドワードが崖から落ちる少し前に、彼がエンヴィーに言った言葉。」

 「・・「お前は羨ましかったんだな。」?」


 「そう。 ・・ホムンクルスという存在は、錬金術が使えない。そして、不老不死。」

 「完全なものじゃないよ、何度も殺し続ければ死ぬし。」


 「そうだったね・・。 でも、痛覚はあるでしょう?」

 「・・・」


 「錬金術師は代価を払って自分の好きな物を創り上げることが出来る。 人間の命は一つしかない。」


 疑問符を浮かべるように唸った僕に、ハイデリヒは つまり、と続けた。



 「いつでも人体練成(まちがい)を創って、捨ててしまえる。」


     母さんを、元に戻そう・・


     ・・エドは生き返った





 「何かを求めて、何かを失えばすぐにでも投げ出してしまえる命」


    腕でも、足でも・・心臓でもくれてやる・・っ


    それが果たせたなら自分も『同じ場所へ行こう』と望んだ。






 「・・僕達は彼にとって、好きに間違って、すぐに逃げることの出来る生き物だったんだ」







* * *




 緑の生い茂る小高い丘に、一つの墓標。 そこに一つの影が見えた。


 「・・墓参りなら、花の一つでも持参してくるもんだぜ?」

 背中に預けていた花束を自慢気に見せてエドワードは、墓標の前に立っているエンヴィーに意地悪く笑った。

 「そんなあからさまに嫌そうな顔すんなよな。こっちはわざわざ帰りの切符代ぎりぎりになってまでこれ買ってきたんだ。」

 「頼んでないよ」

 「確かに、頼まれては無ぇけどな。 ・・親父は欲しがると思うだろ?自分の愛した息子から」

 「・・・・」

 否定はしない、それどころか何か頭を捻るように考えているエンヴィーを見て、エドワードは微かに笑うと、「ほれ」と花束を突き出した。 が、

 「・・何やってんだ、お前・・」

 おもむろに花束の中から花だけをズボズボと引き抜いて、墓標に置いてゆくエンヴィーに、エドワードはストップをかけた。

 「ありのままの姿で。」

 「包装の意味がねぇだろ。何だその出来損ないの告白みてぇな理論。 お前墓標前に素っ裸の花置かれてる光景みたことあんのか?」

 「・・・・ ・・・・・・貸せ」

 「あ?」

 「戻す」




 「・・・・・・やっぱ、そのままでいい。 それがお前の真心ってやつだろ?」

 花を供えることが出来ただけでも、こいつにとっては大きな進歩だ・・。

 「後は祈る。自分はこれからこうしたいから見守っててくれ、とか。」

 「・・死んだ人間には聞こえない」

 「じゃあ何で花を供えんだ?」

 聴覚無くて視覚はあるのか。 そう聞くと、とりあえず頷いとけばいいのに、エンヴィーは思いの外真剣に悩んでいる。


 「・・いいんだよ、こういうのは気持ちの問題だろ。」

 「・・・」

 オレが目を瞑って祈ると同時に、エンヴィーの声と動きが止まったのがわかった。



 「・・・・・んじゃ、行くか。」

 「・・何。」

 「お前行く場所無ぇだろ。あそこは研究の手伝いをするなら寝床も食事も無料だ。」

 「・・・」

 さすがに苦い顔をしているエンヴィーに、エドワードは内心、仕方がないかとも思ったが、引くことはしなかった。


 「それに、『一緒に償え』って言っただろ。」

 エンヴィーの今までやってきたことは、その殆んどがとても許し難いものだった。 だけど、・・だからこそ、死ぬことで償えるほど簡単なものにしてはいけない。

 本当の心が考えることをやめなければ、こいつはちゃんと償っていける。



 「・・・ 特にやることも無いし、別に付き合ってやってもいいけど」

 「・・・・・・・なんだよ」

 付き合ってやるのはむしろこっちの方だ。(9:1くらいの割合で)が、上手くまとまりそうな現状を壊すことはなるべく避けたい。

 エドワードはグっと堪えた・・。

 「切符代、ぎりぎりとか言ってなかったっけ?」

 「あぁ・・、オレと。そっちにいるアウルと。 ・・お前。で、3人分ギリギリだ。」






* * *




 「・・・・何だか、研究所が(今まで以上に)騒々しくなる気がする。」

 「こっちは厄介な身内(?)が増えそうな気がしてるよ・・。」


 「まぁ、そういうのもエドワードの良い所だし、だからこそ好きなんだし。」

 「そう・・、そうなんだからね、大目には見るけどね・・・ ・・・・・・・・・・・・・・て。今、何か言った・・?」


 「あ。兄さんに似てるから、って不純な動機じゃないよ? それに僕は兄さんのこと、兄弟として好きだったから。」

 「・・・・・・ぇ・・;」


 「『宣戦』です。 負ける気はありませんから、よろしく。」


 目の前のいつもの笑顔がやけに眩しい・・。



 ・・・今日だけで発覚した厄介な問題を3つも抱えてしまった・・。







 その後。

 微妙に愉しげな兄の姿を見た途端、・・僕はこれまでに無かったくらい盛大な溜め息を吐いた・・。










☆1 負けちゃいましたー。(1歩差。) あれです、RPGで、あるととても役立つ・便利な○ーラみたいな。(ルイのは条件付だけど)

 しかしやっぱり危機一髪崖シーンは滞空時間長ぇ長ぇ(今更・・) 結構高さはあるけどそれじゃあ誤魔化しきれません。・・ファンタジーでもない限り・・。(え;)  しかも3人ともちゃんと生きてるしね。エドは納得出来るとしてもハイデリヒとかどう説明すんだよ?って、次の課題です。(苦笑)

 最初どうしようとか思ったのはアルとエドの関係っつうかなんてゆうか;;・・だってアレですよ。兄さん崖から落ちちゃう前に「弟死んでもオレは生きる」って言っちゃってるし、ちょっと『アルに対しての愛情足りてなく思えないか?;』(読者さん)とか思える感が強かったんです;; ・・・・ホントはあの崖シーンで兄ちゃんが(兄さんのピンチで)ちゃっかり出て来ちゃったアルに告っちゃう。とか考えてたんですが、「駄目。此処でアル出したらハイデリヒが納得しないっ」とか・・っ。(嗚呼)
 ・・最終的にはあの二人。 『未だくっつかない』・・・・。(微妙なとこで兄ちゃんドキドキしてるけど;)

 ってかどいつもこいつも

   人目憚(はばか)りません。

 アルなんて最初から爆発でしたよ?ルイ(同類)以外にも大暴露ってかんじでしたよ?気付いてないの兄ちゃんとクリアくらいですよ?←*クリアは天然な凶運の女性研究員です;

 ・・・・今更ですけど、男と男の恋愛は『どうやってくっつけたら良いのか解かりませんっ』 ・・以上っ!;



 最近ホントやりたい放題。次回予告(?)


ムジャ:「ってかテメェら英語圏なんだからキスくらい普通にやっとけ馬鹿野郎。」

エド:「英語圏なら何処でもキスしてるとか思うなこのヤロウ。」

アル:「いい加減にちゃんとバカっプルやらせろ貧血病人。」

ムジャ:「違うしっただの××だしっ!」

オーベルト:「でも結局医者もよくわからないらしくて2週間様子見じゃない」

ムジャ:「・・・やめろよーネガテブ思考なんだよー・・;;」

エド:「ネガデブ?」

アル:「メガデブ?」

オーベルト:「めちゃデブ?」

ムジャ:「Σえぇっ?!今日のイジメられ役オレっ?!!;;ってか次回予告しようよっ!?;」

ルイ:「はいはーいっ今度はついにデカいの出ます。」

エド:「Σすげぇ意味不明っ!?;てか出れるか微妙だろっソレ!」

アル:「いやー、この人は追い込まれたらやるんだよ。」(肩ポン)

ムジャ:「うわぁ;でも頑張るよ;; けどその前にアンケのロイエド書かねぇと・・;」

ロイ:「それはそうだ。 ・・しかし。今更だが、この小説は随分と異世界人が目立つな。」

ムジャ:「(今更だが)説明してしんぜよう。 現実世界のその時代の人間が異世界について学持ってたりするか?同性愛者を「わかるっわかるぞぉ」って慰めたり出来るか?瀕死の人間軽く治療出来るか?崖下に落ちた人間3人拾いに
ロイ:「わかった。もう充分だ;」

エド:「・・それなりに考えてたんだな;;」

ムジャ:「筋はそれなりに通したい方なので。」


アル:「で?話戻して、現実問題。結局やばい病気とかだったらどうするの?(連載モノとか)」

ムジャ:「・・妹が続き描いてくれるよ。(漫画とかで)」


 ・・今回は現実問題多くてすみません。;(マジでやばいなら本当に妹に任せたい;;)



      CM一本(ロイエド)入りまーす。






☆2(終章) 2ヶ月以上の沈黙通して、やっと帰って参りました。 すみません、オイラです・・。(銀(妹)さんじゃありません;)

 まぁ、病名もただの××だったということで、体調的には問題なかったのですが、・・ちょっと私事情で更新とか停止してしまっていました・・;;;本当に御免なさい・・。(土下座)ほぼ毎日の拍手、有難う御座いましたっ;;

 ・・しかし、小説のレベル・・上がりません。それどころか退化してる気までしてる・・(泣) このまま小説で貫き通せるでしょうか;; むしろボイスドラマにしても問題ないですか?(否、あるから;) 人生全て挑戦だって。(おいっ;)


 今回の反省。

 ●崖からある程度立派な木が生えててもおかしくないような場所もあると思える・・。(けど精一杯無視してみる)

 ●エンヴィーを異常なくらい大人しくさせてしまった。(その内、この人と兄弟の更生日記でも・・。)

 ●エドが説教ばっかだ。(むしろ管理人が説教くさくなってるのが問題。)

 ●アルフォンスが兄を殴る(=怒る)隙が無い。(殴る前に何かしら起こったりしてる)

 ●アルフォンスが最近溜め息ばかり吐いている。(苦労性)

 ●・・・小説に出さない、とか決めてたキャラを出しちゃった・・。(のーこめんと)

 ●アウルの存在が殆んど消えている。(・・もうしょうがないと思う)



 オマケ化している・・。次回予告(?)

 アル:「すみませーん。(←挙手)終章の区切りが抜けてます。」

 ムジャ:「あ。大丈夫、それ今回は趣向を変えて↓に置いたから。」

 エド:「・・誰も気付かなかったらどうすんだ。」

 オーベルト:「大丈夫でしょ。無視しても」

 エド:「いや、次の章への大事な会話じゃねえのか?;」

 アル:「むしろこのコーナーより↓のの方が次回予告っぽいよ。」

 ムジャ:「殆んどただの会話だけどね。今後のヒントはたっぷり。」

 エド:「同時にネタバレたっぷりだろ・・。」

 ムジャ:「まぁ大体の人が想像してた一人が出てくるよ。・・もう一人は違うけど。」

 オーベルト:「・・・で、ここではもう次回予告する必要はないわけだよね?」

 ムジャ:「えぇー、物足りねぇー」

 エド:「おいおい;」

 アル:「じゃあ兄さんのコスチューム変更のミーティングでもしようか。」

 エド:「・・Σは?」

 ムジャ:「えっ?するの?;」

 エド:「おーいアルっ!?;変獣が状況理解出来てねぇぞオイ!!;;」

 アル:「芸恋見てるからそんなこと言ってるだけだって。」

 ムジャ:「Σだってバブルさんが気になるっ;;」

 アル:「そのまま気になってていいよ。 じゃ、やりますか。はい、意見出してー。」

 ルイ:「やっぱりコートみたいなのは欲しいよね。」

 ロイ:「短パンで
 リザ:「大佐、変態です。」

 エンヴィー:「露出系でいっとく?」

 ハイデリヒ:「山の上なのに?元々此処は寒いし。」

 エンヴィー:「・・・・寒そうにしてるおチビさんに優しくしてアピール」
 ハイエリヒ:「露出いきましょう。」
 アル:「おい、ソコ#」

 ハイデリヒ:「肩だけでも。」
 アル:「・・・・許可します。」
 エド:「おい。そこの身内ダブル#」

 アウル:「・・・・・・・小説なのに衣装の相談なのか・・?」


  スタッフ。アウルさんのマイク足りてませーん。

      はい、CMー。





? ? ? ? ? ?















 「 ・・あぁ、なんだ、貴方ですか。どうしました?仕事に支障でも?」

 「・・・会話中ぐらい本を置いたらどうだ。受話器越しにでもページをめくる音が聞こえて、こっちは不快感で一杯だ。」

 「いいところなんですけどねぇ・・、終盤なんですよ。後5、6ページで終わるのですが」

 「・・小説か?珍しいな」

 「カタログですが。」
 「閉じろ。」

 「短気ですねぇ、1分も待てないのですか?」

 「・・・・・・ 仕事中に零No.(ナンバー)とエドワード・エルリックを見たのだが?」

 「・・・・、続けて下さい」

 「どうやら旧施設に行ったようだが、生憎(あいにく)俺に『尾行』の仕事は無かったからな。 そこで何をしたのかまでは知らん。」

 「・・他には誰も?」

 「軍人が二名、アルフォンス・ハイデリヒ・・と、以前介入してきた異端者が二名。」

 「確証のない答えはしないで下さいよ? 何か、変わっていることでも?」

 「・・お前の力が見えなかったぞ、いつの間に解除した。」

 「はぁ? まさか、しませんよ。そんな意味が無いことは・・。 何の為に余力を残しているとお思いですか?」

 「・・お前の場合は個人的に愉しんでいるだけだろう。」

 「それは否定はしませんけど。 ・・一度調べてみる必要がありますね。 ・・・・・」

 「・・面倒だ、と思っていないだろうな。」

 「思ってますとも。 僕の名前を覚えてますか・・?」


 「『嫉妬』、か?」

 「・・・消されたいんですか?『憤怒』・・。」

 「『嫉妬』の代わりになっていることは否めまい。」

 「・・・・」

 「・・・」


 「・・・・はーーぁ・・、いっそ頭が冴えてしまいましたよ・・。」

 「良い事だな。そのまま早く完成させろ。 軍はともかく、厄介な者が動いていることに違いはない。」

 「えぇ、構いませんよ。陣も完成しましたし、後は『傲慢』にでも動いて貰うことにしましょう。」

 「・・お前も動くのだろうな、『怠惰』。」

 「勿論。 あの方には個人的にも興味がありますし。・・非常に楽しみですね。」

 「悪趣味だな・・」

 そう言い捨てて、すぐに通信機の電源を落とす。 今日はもう他から連絡が来ることはないだろう・・。

 大体、俺に連絡するのもされるのも『怠惰』(ヤツ)以外にありえない。




 「・・・零No.・・か」


 ヤツが継いだのは名ではなかった。

 継がれる者がまだこの世に存在している、というのも理由の内だが。 あいつの場合はただの我儘だ。



 継いだのは地位と 影。

 欲するのは 継がれる者の持っていた全て



 「お前こそ、『エンヴィー』の名に相応しいと思うのだがな。」


 これ以上無いほどの。







  それは 『継がれた者の証明』 だった。









     繋ぐ約束 8章(嫉妬編完) -『継がれる者の証明』-

                *END*


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