カテゴリ:エッセー
私は非常勤での勤務なので毎年今時期には履歴書を提出する。 履歴の最後に書く現在の仕事の年数と年齢を書き換えるだけなのだが。 毎年、履歴書を書き込みながら思うことがある。 高校を出ていない私は唯一の学歴が小学校と中学校です。 それも卒業だけを書きますから欄はふたつで終わります。 真っ白に近い履歴書。 でも、私は学歴に書く学校名に特別な思いがあります。 小・中が同じ合同の学校でした。 今はどちらも廃校になり存在しない学舎です。 地名も変わり育ったところさえ消えたような錯覚。 学舎には私が小学校の時に体育館が出来ました。 その体育館の基礎には生徒と先生全員が近くの川から 石を拾い名前を書いて埋めました。 私は三年生で小さかったので先生が私の石を持ってくれて 白いペンキで名前と学年を書きました。 今から数年前小学校に続き中学校が廃校になったとき 「基礎に埋めた石」のことを同級生に話してみましたが 誰も覚えていませんんでした。 「掘ったらきっとあるよ」といったけど基礎は建物と一緒に瓦礫になっていました。 凄く寂しくて「校舎」がなくなるより何倍も哀しかった。 思い違いではない。 一緒に歩いた中学生。 石を拾った場所。 石の色。 持ってくれた先生。 名前を書いてくれた先生。 石を埋めた場所。 全部覚えているから。 履歴書を書くたびに思う学舎。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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