「春の雪」
三島由紀夫の 「春の雪」 が 映画化されるそうで・・・。 ううむ、うむむむむ; ちょっと・・・いえ、かなり・・・残念・・というか、遺憾。 だってだって、あれはさー、 “容易く映像化しない方が美しいままで存在できる小説” だよぉぉぅ、ゼッタイに。 ゆみたろが初めてコレ読んだのは、高校時代だったなぁ。 三島その人の生き方 (含め死に方) や 思想的な部分へは それほどたくさん共鳴するものを見つけられないんだけど、 ただ純粋に、彼の文学作品そのものだけに触れるのなら、 ワタクシゆみたろ、 三島由紀夫って人は、稀に見る 「天才」 だと思う!←断言。 (思想的には漱石センセイのがずっと好きなんだけどね♪) 「春の雪」 は、全巻4部からなる長編作品 「豊穣の海」 の 第一部にあたる。 「春の雪」 に限らず、4作品それぞれが全て、お話しとして 一部のみでも完結しているのだけれど、4作品を通してだと もっともっとスケールの大きなテーマへと行き着く、深遠な 作品で、数多くある三島作品の中でも殊に秀作と言えるん じゃないかな。 “華族”という閉塞的な特権階級の中に生まれ、生きる青年。 そして、その青年が想いを寄せる2歳上の女性。 この二人を主役にして 「春の雪」 は 描かれている。 分類するなら悲恋モノなんだろうけど、ちと違うんだよなー、 それはあくまで大雑把なストーリー説明だけのことであって、 あの小説の醍醐味は、そこじゃないんだよね。ふっふっふ・・・ (三島で “恋愛モノ” と言えば、何てったって 「憂国」 よぉ) まず特筆の第一は、使われている日本語が美しい!!! そして、主人公達の移り変わる心理を、常に繊細に追いながら 表現が完全なる客観の視点に徹してるんだよね。 主人公の松枝清顕クン (←※三島は美少年好きなのだー;) の 強い自意識と美意識が、三島氏御当人のソレと相乗リンクして、 とにかく最強。(って、どんな書評よ?;) 谷崎とはまた違う耽美で。 どっちかってと、武士道に近い陶酔があるような。(三島だし;) 『豊穣』シリーズの中では、プロローグというか、四季で言ったら春、 人生で言ったら青春、って位置になるのがこの「春の雪」なんだけど、 文章表現の繊細さ、登場人物の心理描写、ストーリーの完成度、諸々、 純度で言ったら、この作品が圧巻でシリーズ1だとゆみたろは思うな。 一話完結を装って(?)いるようでいて、四作すべて読み終える頃、 アッというどんでん返しも待ち受けてるので、どーせなら一気に 「豊穣の海シリーズ」 ごと読むのがお薦めです。 ふふふ・・・(笑) あの 『オペラ座の怪人』 がキリスト教ベースなら こちとら仏教ベースと来たもんだ! (なにゆえ江戸っ子?) 現身を替えながら、輪廻転生を繰り返した魂が迎える終末は如何に?? 深い深い深~~いテーマですので。 見事 読みこなせたら、こりゃ一生モンでっせ~。(なにゆえ大阪弁?) * * * * * * * * * * * * * * * この日記を書いてる途中で 「春の雪』のヒロイン聡子嬢を演じている 竹内結子さんのお目出度いお話を知ったゆみたろです。まぁ、奇遇♪ 妊婦さん、あんまりムリしちゃいけませんゼ。(って、だから~;) ぜひ元気な赤ちゃんを産んで欲しいモノです♪ で、妻夫木君も竹内さんも、ゆみたろ、決して嫌いじゃないのですが、 やっぱりイメージじゃないんですよね。 重さがないというか・・・ まぁ、今のご時世で、あのお話を体現できる役者さんを求めるなんて、 所詮は無謀なことなのかも知れませんねー。 (ってアンタは監督かスポンサーかい!?;)