自分を好きになるということ
もうずーっと昔、ある友人に「私は自分のことが嫌いだ」と話したことがあった。ところがその友人は、「なんで?誰に好かれてなくても、自分だけは自分のことを好きになってあげんとかわいそうやんか。」と言った。彼女は家庭的に恵まれているとは言えないのに、とても明るくて前向きな人で、その言葉に私は参ってしまった。正直、そう言える彼女の強さが羨ましかった。自分のことを好きになりたいとは思っている。好きにならなければ何事もうまくいかない、幸せにはなれないということもわかっている。だけど好きになれない。・・・そういう迷路に私は長いことはまり込んでいた。自分の足りないところばかりが見えて、自分をかわいいとかよくやってるとか素敵だとか、そんな風に思えたことは一度もなかった。あの頃の私の自己イメージは、なりふり構わず髪の毛を振り乱しながら息せき切って走っている姿だった。周りの人達がいつもゆったり優雅に見えて、まるで遠い世界のような気がした。考えてみれば、「自分を好きになる」ために私は長い間旅をしてきた。あちらで頭を打ち、こちらで頭を打ちしながら、ずっとさ迷い続けてきた。出口がなくて、どこにも光は見えず、たた息苦しく、この肉体は重かった。私が必死に走っていたのは、親の期待や世間の常識に追い立てられていたからだった。そして自分の中で作り上げてしまった理想の自分に。それは私をどこまでも縛り、窒息させてしまっていた。だけど自分探しを続けるうちに、少しずつそういうことがわかり始め、少しずつ私は自由になることができたように思う。バカなことも随分やったけど、その度に少しずつ私は自分を好きになることができてきた。そしてある人との出会いによって、私は自分が自分でいることを本当に許せるようになった。もう頑張らなくても良い、今のありのままの自分で良いんだ、と思えるようになった。これまでも頭ではわかっていたけど、それとハートや魂で感じることとは別物だ。今でも自分を縛る固定観念(私の頭の中だけにある)は残っているし、相変わらず欠点もあるけど、「こんな私も結構かわいいじゃない!」と思える自分がいる。それもこれも、大切な巡り会いのお蔭である。亀みたいな歩みだけど、進歩はしていってるんだね。感謝!