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ゆらのと 徒然草

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2020年03月20日
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  •                                                                               イラスト つぐみ

 

 

  

 「物語 チシマザクラ」17 320日更新

目次32 次郎の結婚  空からチシマザクラの花びらが舞ってきた。        

 

翌年の515日、次郎と陽子の結婚式が盛大に行われた。

結婚祝賀パーティは会費制だったので、大勢の人がお祝いに来てくれた。 

 次郎と陽子の中学、高校の友達、陽子の専門学校の友達、2人の勤め先の先輩や友達、親族を入れると百人以上だった。陽子が勤めてい釧路の老人ホームの元気なお年寄りも数人来てくれた。

 次郎は桜爺が結婚式に来られなかったが、天国から祝ってくれていると思っていた。

 結婚式の時は北洋の遠洋の遠洋漁業から戻ったばかりなので、桜爺から結婚祝いに貰った金で、北欧に8日間の新婚旅行に出かけた。

 次郎は、その年の520日の午後1時に、ウララとマンタ博士とヤタ村長に、レイキャベクの灯台の下で会う約束を日記帳に記入して、覚えていたのだ。

 チョルトニン湖で撮った記念写真を3枚ラミネートして、忘れないように、結婚式前から、旅行ケースに入れておいた。

 次郎と陽子がヘルシンキ経由で、レイキャベクに着いたのは519日の午後だった。

 翌日、桜爺と来た時と同じように、レンタカーで灯台に行くと、みんなは待っていた。

 次郎が陽子を妻だと紹介して、新婚旅でヨーロッパに来たことを言うと、みんなは祝福してくれた。

 桜爺が昨年、天国へ行った事を話すと、ウララは悲しんで、天に向かって祈った。

 そして、ウララは静かに「さくら さくら」を歌った。

 次郎がチョルトニン湖で撮った記念写真をプレゼントすると、みんな大喜びだった。

 「これからチョルトニン湖へ車でチシマザクラを見に行くので、一緒に行きませんか?」

 と、次郎がウララとマンタ博士を誘うと、ウララは恥ずかしそうに言った。

 「私はチシマザクラを見に行きたいけど、9月に3番目の赤ちゃんが生まれるので、体を大切にしなければならないから行かれないのよ。今度生まれる赤ちゃんは、男の子だから『ネムロ』と言う名前にしようと、夫のアンドレと決めているの」   

 ウララは幸せそうに言った。

 「『ネムロ』という名前もいいな! 『ネムロっ子』のように強くなるよ」

 次郎はそう言って、「ネムロッ子」という名が好きな桜爺を思い出した。

 その時、サプライズが起きた。

 ウララの夫のアンドレが、「チシマ」と「サクラ」を連れて海から顔を出したのだ

 「初めまして。ようこそ、アイスランドに。私たちはあなたたちに会えて幸せです」

 3人は口を揃えて言って、歓迎してくれたのだ。

 次郎と陽子は感動して、「チシマ」と「サクラ」の頬にキスをした。

 マンタ博士は年老いていて、チョルトニン湖へ行けなかった。

 カラス村の村長も年老いたので、村長を若い世代に代わっていた。

ヤタ村長は、くちばしにラミネートした写真を挟むと、急いで、チョルトニン湖の森に帰って行った。

 次郎と陽子はウララと家族とマンタ博士の健康と幸せを祈って、別れた。

 レンタカーでチョルトニン湖に着くと、桜並木のチシマザクラは満開で咲いていた。

 その中で、桜爺がプレゼントした、桜餅の中の種から芽を出した、3本の根室のチシマザクラはルビーのように輝いていた。

 次郎と陽子はベンチに座って、お互いの愛を誓い合っていた。

 そよ風が吹いてきた。その時、空から何か、ひらひらと舞って来た。

 「あら、何かしら? チシマザクラの花びらだわ1桜の樹から舞ってくるのでなくて、花びらが空から舞って来るだわ!」

 「本当だ、空からチシマザクラの花びらが舞って来る!これは 桜爺さんが天国からチシマザクラの花びらをおれたちの結婚を祝って振り撒いているんだ!」

 次郎が言うと、2人は感激して、抱き合った。

 空から舞い降りて来たチシマザクラの花びらは、2人の頭や頬や肩に降りかかった。

 ベンチの後ろの千島桜の枝が揺れたなので、見上げると、2羽のカラスがとまっていた。

 ヤタ村長と妻だった、7羽の子どものカラスは成長して居なかった。

 「おれたちは次郎君と陽子さんの結婚を祝って、妻とお祝いの歌を歌いに来たんだ」

 ヤタ村長夫婦は大きな声で、日本の童謡の「七つの子」を歌い始めた。

 次郎も陽子も一緒に歌った。

 2人とって、生涯、忘れられない幸せな新婚旅行となった。

 2人が新婚旅行から釧路の次郎の社宅に戻ったのは8日後だった。

 

お知らせ; 次回のブログ更新は325日を予定しています。いよいよ最終章で目次は「根室のチシマザクラのゆくえ」です。私はハッピイエンドの物語が好きです。 

 どのような経緯と次郎の考えで桜爺の願いを叶えるか、といろいろ考えました。

お読みいただければ幸いです。  峰村剛





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最終更新日  2020年03月31日 22時39分59秒
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