やまのむぎふみ ゆらら雑記帳(のーと)

2008/03/08(土)23:48

本当の誇りというもの

芸能関係(386)

私が、演歌や歌謡曲という音楽ジャンルに興味を抱くきっかけとなったのは、言うまでもなく細江真由子=みずき舞という一人の歌い手さんが存在したからです。 彼女がいたおかげで私は、演歌・歌謡曲の世界に触れることが出来、自分が愉しめる音楽ジャンルの幅が大幅に広がったと思っています。 そういう意味で舞ちゃんは、私にとっての恩人の一人と言えるでしょう。 演歌や歌謡曲の楽しさ、奥深さ。 しかしながら現在、世間一般ではなかなかこの奥深さが評価されにくい時代になっています。 つい最近離婚が成立したある女優は「慰謝料も養育費も要らない。子供の親権だけもらって離婚します」とスパーンと言い切り、自立した女性としてのイメージを世間一般に印象づけ、ドラマにCMにと引っ張りだことなるだけの人気を得ることに成功しました。 「♪三歩下がって 三つ指突いて」とは正反対のイメージがおおいに受ける時代なのですから、演歌の良さを一般世間に知らしめることは、かなり難儀なことといえます。 日本における現在の音楽シーンの中心は、いうまでもなく「J-POP」と言われる和洋折衷の音楽です。 この「J-POP」というジャンル。実は結構曖昧な枠組みでして、日本語で歌われるロック・ポップス・フォーク、どれでも「J-POP」として括ることが出来るんですね。 では何を持って「J-POP」とするか。 私は 『楽曲を発表したときに、全てのメディアを駆使することにより、セールス全体として商売が成り立つように綿密にマーケティングして出される日本語詞の音楽ジャンル』で『特に音楽的に強い趣味指向を持たないが、購買力が強い年代の人達をメインターゲットにしている』ものだと位置づけています。 そう考えると、ジェロの『海雪』なんかは、ある意味ではJ-POPなのだといえるのかもしれません。もっとも彼の場合は、この先、第二弾、三弾とリリースしていく中で段々とそういった部分はなくなってくるものと思われますが。 例えて言うのならば、J-POPというのは、ファーストフードやファミレスみたいなもので、演歌というのは、町中にある老舗の料理店なのです。 ここで私が思うのは「どちらにも存在価値があり、どちらがいい、悪いというものではない」と言うことです。ファーストフードのハンバーガーだって美味しいし、老舗の料理店で出される幕の内だって美味しいのです。 ちなみに私は、その日の体調や気分、懐具合によっていつでも、その時に食べたくなったものを食べたいという考え方です。 しかしながら「ハンバーガーは口には合わないからどうしても食べたくない」という人もいます。もちろんこれは味覚の指向であり、良い悪いの問題ではありません。 だからといって「日本からファーストフード店は無くなればいい」と言う人はいないでしょう。食べなければいいだけの話ですからね。 ましてや「ハンバーガーには、老舗の料理店が出す料理が持つ品格がないからダメだ」と言ってダメだしする人はいません。同じ食べるものでもこの二つは全く異質なものなのですから、それを比較して「素晴らしい」「ダメだ」というのはおかしなことだからです。 しかし、音楽ジャンルではなぜかそれをやる人がいる。 不思議です。 ましてや、比較することで『演歌の方がJ-POPより偉い』などと優越感を得るというのは、正直言って情けないことなのです。 だってそれは、本当の誇りなんかじゃないもの。 他人から見れば「現実から目を背けている」としかとられないもの。 本当の誇りというものは、価値観の違う他者を貶して得られるものではないと私は思っていますから・・・。 このようにして演歌・歌謡曲を擁護する人たちの気持ちはよく分かりますよ。 昔と違って、演歌というジャンルが偏った世代の人たちにしか愛好されなくなってしまったという事実を歯がゆく思う気持ちから来ているのだと思います。 しかし、演歌・歌謡曲を本当にこの先も残していく気概があるのであれば、前向きな気持ちで全ての音楽ジャンルと向き合い、そしていかにして演歌・歌謡曲の魅力を維持していく(というよりも増していく)かを考えることが大切なのではないかと私は思うのです。

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