2006/03/27(月)00:01
同窓会。。。
昨日は、中学校の学年同窓会でした。
卒業して、30年が経っています(う~~ん、しっかり中年の道を歩いてる?)。
残念なことに、親戚の法事があったので出席できませんでした。
会いたかった先生や友人はたくさんいますが、
特に「どうしてるかなぁ。。」と想う男性が一人います。
実は、「会いたいけど、実際には会いたくない。」というのが本音かな。。
中学生の頃の私は、チビで(今もそう)やせぎす(今とは雲泥の差)だったのに、今は面影もないほど変わってしまったので。。
彼もそれなりに年齢を重ねているでしょうから、風貌は変わったかもしれないけれど、私の中では中学生の頃の彼の姿しか思い浮かびません。
「彼」と書いてますが、つきあったことはなく、私はず~~っと片想いでした。
野球部でがんばっていた彼は、クラスでも人気者で、私なんかは声をかけてもらうだけで、うれしかったんです。
その中学の昼食は、お弁当ではなく給食でした。
まだ米飯給食ではなくて、主食はパン。日替わりで数種のパンがついてましたが、やはり大半は食パンで、3枚配られるんです。
当時は少食だった私は(だからやせぎすだったんですね。今は信じられないほどよく食べます。だからふくよかな体型になったんですが。)、3枚のうち1~2枚は食べきれずに残していました。
ビニル袋に入れて、カバンにしまうつもりで机上に置いておいたのを、
「Aさん(私のこと)、それ食べないの?だったらちょうだい!!」と突然彼に言われたことがありました。
野球部に所属し、早朝練習に始まり、放課後も激しい練習をしていた彼は、給食では足りなかったようで、「いいよ。」と私が返事をすると、私のお残しの食パンを、美味しそうにほうばったのでした。
あっけに取られている私に「ごちそうさん~~!!」と言って、彼は昼休みの運動場に走っていってしまったのでした。
それから私は、何気にお残しの食パンを机上に置いておくようになり、たいてい「パン、おくれ~~~!!」と言う彼を心待ちにしていました。
中2の冬、私は覚えたてだった毛糸編みでマフラーを作って、彼に渡そうと決心しました。
でもそういうことをすると、きっと嫌がられると思い、またこれまでのつながりを失うことが怖かったので、
友人に頼んで代筆してもらったカードを添えて、教室の彼の机の中に編みあがったマフラーをそっと置きました。
授業が音楽で、音楽室に移動するため、クラスのみんながいなくなった隙に、そうしたのです。
授業が終わり、私は早足で教室に戻り、黒板を消す振りをして彼の入室を待ちました。
で、彼は席に着くとすぐに紙包みに気づき、「なんや、これ?」と中身を出しました。
「わ~~、マフラーや!!俺、こんなん欲しかってん!!」
あんなに心臓がドキドキして、そしてとてもとてもうれしかったことはありませんでした。
彼の友人たちが、「どうした、どうした。」「誰からや?」と騒ぎ出したので、私はすっとそこから立ち去りました。
代筆を頼んだ友人には、絶対私からだということが分からないようにと懇願したので、彼女は彼女のお姉さんにカードを書いてもらったらしく、彼は誰からのマフラーかは、わからずにいたようです。
その日の放課後、クラブに出かける彼は、マフラーを大事そうにカバンにいれていました。
学期末、美術のペーパーテストが行われることになり、クラスは騒然となりました。
美術はたいてい作品を評価されていたので、たまにある講義だけの時間はみんな気を許していたのです。
私はたまたま、先生の話をメモ的にノートに書いていて(書いていないと寝てしまうので、寝ないように書いていたんです。)、それを彼は知っていたようでした。
「Aさ~~ん、美術のノート、貸しておくれ~~。あんただけやと思うわ、美術のノート、持ってるの。。」
「いいけど、前日には返してね。私も見ておきたいし。。」
「ちゃんと返すから、お願い、貸してな!!」
「じゃ、明日持ってくるね。。」
私は、その美術のノートの記述の最後に、1行だけ、
「実はあのマフラーは、私が作りました。」と書きました。
あれほど、彼に自分だと知られたくなかったのに、なぜだったのかな。。
すっごく矛盾している自分がいました。
でも、翌日、困ったことになってしまいました。
彼に美術のノートを渡していると、他の男子が、
「あ~~、おまえ、ずるい!!Aさん、こいつがノート見終わったら、俺にも貸してよ!!」と言い出したのです。
すると、「俺も。」「俺も。」と何人も名乗りがあがって、
彼は「Aさん、いいやろ。ちゃんと前日には返すから。」
断れなくなってしまいました。あ~~、あの1行、どうしよう。。
みんなに知れてしまう。。でも今さら、どうしようもありません。
試験の前日、約束どおり、彼は私にノートを返してくれました。
帰宅してそっとあの1行が書いてあったページを見てみると、
その1行は消しゴムで消されていました。
「あ~~、彼が消してくれたんだ。。。」とホッとしながら、よく見ると、
うっすらと消された文字が見えました。
「塾に行く時に、使っています。」とだけなんとか読めました。
彼は返事をくれたんだ、とわかりました。
でも、消してあったのは、私の想いは通じなかったのだと思いました。
ただ、あのマフラーを使ってくれているんだと思うと、それだけで充分しあわせな気持ちでした。
彼女がいると知ったのは、それからまもなくの事でした。
それでも、あいかわらず私はお残しの食パンを、机上に置いておきました。
彼はいつもニコニコしながら、「Aさ~~ん、パンおくれ~~!!」と言ってくれていました。
あれから30年余、彼が元気でいるのか、「会いたいけど会いたくない」んです。。