豊かさと幸福な関係

ベンチの風景　　　ライフスタイル

私鉄の駅で、向かいのプラットフォームのベンチに座る。
２組の老夫婦の姿を何気なく見ていた。

一組の老夫婦は、ご主人が気難しげな顔のように見えた。何か気分を害することがあったのかもしれないし、いつもそのような表情なのかも知れない。
何か硬い感じの夫婦関係を見るような気がした。

少し離れたベンチにも老夫婦が並んで仲良く座っている。
笑顔で話し合う姿が、清清しい。

この二組の夫婦を見て考えてしまった。
果たして、どちらの夫婦が不幸な出来事が多かったのかと感じたのである。
後、何年かするとこの世からいなくなる人々、
今日の今の瞬間も遥かに若い人よりも貴重な時間の筈が、一方は楽しみ、一方は苦虫を噛み潰す不幸の中におられる。

環境がもたらす不幸は、幸せそうな老夫婦の方が多かったかもしれない。
私には解らないが、現在を幸せに過ごしているのは間違いなく、笑顔で過ごしている。一方の夫婦である。幸せそうな雰囲気が私にも伝わってくる。

私は、このありのままの現実を眺めながら、真実の姿が浮き上がるのを知ったのである。
幸せとはそれを感じる能力に他ならないと、たった一つの笑顔が幸せをもたらすのだと。

「笑う門に福来る。」古典の幸福の言葉が正しいと考えるようになった。