2004/10/06(水)23:41
村上春樹「アフターダーク」
僕は、村上春樹ファンです。
自分のことを、「僕」と書いているのも、村上春樹の影響が少なからずあります。
新作「アフターダーク」が出ているのを知っていたので、「日本に一時帰国したら、読むぞぉ~!」と期待に胸を膨らませていました。
さっそく、読みました。
ストーリーに引き込まれて、2時間くらいで読んじゃいました。
前作「海辺のカフカ」のような、ワクワク感はありません。
終わり方も、中途半端な印象を与えます。
でも、グイグイ引き込まれてます。
読後に、深い余韻を与えてくれます。
物語は、午後11時56分から、午前6時52分までの、夜の街の中で展開されます。
今までの作品以上に、孤独感と喪失感が、ビンビン伝わってきます。
また、作者と読者が、同じ視点で、客観的に、登場人物たちを見つめる構成になっていて、まるで映画を見ているような感覚です。
イマイチな映画を見るよりは、この本を1400円(税別)で購入して読んだ方が、感動なり、共感なり、絶望なりの、感情を味わうことができて、お得です。
物語には、「エリとマリ」という名前の姉妹が出てきます。
お互いに距離を置いた関係になっているようです。
僕にも、弟がいます。
僕と弟も、あまり仲良く付き合っているとは言えません。
大阪とプラハに離れていることもあり、年に1、2回しか顔を合わせません。
時々、メールのやりとりをする程度です。
この小説を読んでいて、気付かされたことは、「僕は弟にコンプレックスを持っているのではないか?」ということです。
「エリマリ関係」にかなり類似していて、悲しい気持ちになっていきます。
この沈んだ気持ちから、助け上げてくれるのが、「コオロギ」という名前の女性です。
「人間ゆうのは、記憶を燃料にして生きていくものなんやないかな。その記憶が現実的に大事なものかどうかなんて、生命の維持にとっては別にどうでもええことみたい。」
コオロギさんの関西弁が、心に沁みます。
コオロギさんの助言に従って、僕も、弟に対してほんとうに親しい、ぴたっとした感じを持てた瞬間のことを思い出してみようと思います。
---ジョギング日誌---
姫路城を走りました。
短い日本滞在を終えて、明日、ロンドン経由プラハへ戻ります。
いろいろお気遣い、ありがとうございました。
前日(10/5)の走行距離:7km
本日(10/6)の走行距離:7km
10月の走行距離:38km
パリ20kmレースまで、あと11日