2012/08/06(月)20:17
ライオン最後の日。2
いつもの花屋さんで注文した花束は、深紅のバラが主役の3,000円にしては豪華なものだった。
電話だけでお任せで作ってもらうので、時には残念な花束になることもあった。
五杉さんと花束を確認し「良かった!今日は当たりで!」と顔を見合わせ頷き合った。
夕方近くになると、パートのおばちゃんやオッチャンたちが続々と現場から戻って来た。
任意だけど今日、あと30分もすればライオン元社長のお別れ会(挨拶、花束、写真だけ)あるから、残りたい人は残って、、、
そう声を掛けて当然のように思った。
(今までならライオン元社長が部長に命じてそのように計らっていた)
でも、おばちゃんやオッチャンは普通に帰ってった。
声を掛けてもらってないから。
部長も冷たい。
絶対そうした方がいいってわかってるくせに。
G長も課長も。
黒ひょう社長は何も考えていないだろう。
できるだけたくさんの人の拍手で送ってあげよう、とか、そういう気持ちはないのだ。
そして終業時刻の30分前。
「みなさん、ちょっとてを止めてもらって、、、」
と、社長が言い、お別れ会が始まった。
黒ひょう社長から、「ライオン元社長はこの会社の創立時からどうのこうの、、、」と言葉があったけど、そんなん私ら知ってるし、あなたよりよく知ってる者ばかりですけど!と、思った。
結局、事務所にいるいつものメンバーだけが残り起立していた、それだけだった。
黒ひょう社長のありきたりな挨拶(紹介?)が終わると、「些少ですが規程に則り、、、」と餞別が渡され、このタイミングで林檎っさんから花束を、そして拍手、花束と拍手の中ライオン元社長の最後の言葉、、、のはずが、黒ひょう社長は餞別を渡してすぐに「一言どうぞ」と。
横で待機して、何歩か前に出た林檎っさんは慌ててこちらに戻って来た。
何なんこれ。
ライオン元社長のお別れ挨拶は、写真を撮ることに集中してないと涙が出そうだった。
しかし、上司らの空気は何となくシレーっとしていた。
話が終わり、やっと花束を渡すタイミング。
その流れでみんなで写真、、、と思っていたのに、上司らは『あー、終わった、終わった』みたいな様子で席に戻り仕事を始めた。
私は「ライオン元社長、写真撮りましょうよ!」と、声をかけた。
林檎っさん、五杉さん、四杉さんは来てくれた。
「おお。スターみたいやな」と、ライオン元社長は明るく応えてくれ、5人で並んで写真を撮った。
黒ひょう社長が「撮ってやるわ」と言うので渡したら、完全にブレていた。
部長にお願いしてもう1枚撮ってもらった。
頭が切れていた。
何なん。
これ。
部長の2回目の写真は、まぁ、使えるものだった。
以上。
え?
以上??
私より馴染みの深い万レ星人Kさん!
もっと深い部長!
写真、撮りませんか!?
目で聞いたけど「別にええわ」と。
ええ!あんなに世話になったのに!?
<つづく>