抵当権の被担保債権が免責許可となった場合の抵当権自体の消滅時効
抵当権の被担保債権が免責許可の決定の効力を受ける場合における当該抵当権自体の消滅時効(最高裁判所第二小法廷 平成30年2月23日判決) 「事案の概要」Xは、平成13年2月13日、その有する建物共有持分について、債務者をX、根抵当権者をY、債権の範囲を金銭消費貸借取引とする根抵当権を設定するとともに、Yとの間で金銭消費貸借契約を締結し、以後、金銭の借入と返済をしていたが、平成17年11月24日、破産手続開始決定(同時廃止)を受けた。Xが破産手続開始決定を受けたことにより、本件根抵当権の担保すべき元本が確定し、その被担保債権は、本件契約に基づくYのXに対する債権である。その後、Xは、免責許可の決定を受け、同決定は平成18年2月24日に確定した。本件は、Xが、本件貸金債権につき消滅時効が完成し、本件根抵当権は消滅したなどと主張して、Yに対し、本件根抵当権の抹消登記手続を求めた事案である。原審は、(1)本件貸金債権は、免責許可の決定の効力を受ける債権であるから、消滅時効の進行を観念することはできない、(2)民法396条により、抵当権は債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ時効によって消滅しないから、Xの請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がないとし、Xの請求を棄却すべきものとした。 「判旨」抵当権の被担保債権が免責許可の決定の効力を受ける場合には、民法396条は適用されず、債務者及び抵当権設定者に対する関係においても、当該抵当権自体が、民法167条2項所定の20年の消滅時効にかかる。判例タイムズ1450号 40頁