2009/07/03(金)21:56
海の底 (有川浩)
怪獣モノとしても潜水艦モノとしても(ほとんど潜らないけど)成長モノとしても、自衛隊・警察モノとしても佳品。あ、恋愛モノでもあるのか。政治的皮肉も軍事マニア的味付けも福井氏よりは薄味で、逆に万人向け、食べごろになっている。怪獣モノ、宇宙人侵略モノってなにかっていうとすぐ自衛隊が(近未来とかなら地球防衛軍だったりするけど)出動しちゃったりするけど、現実だとそうはいかないよね。自衛隊出動のためには在日米軍やら武器を所持するか否かやらあるいは武器を使用するか否かやら、そういういわゆる政治的なあれやこれやを政治家が解決していかなきゃならないわけだし。そこらへんは田中芳樹ほど皮肉を効かせずに、うまく描いているなぁと。
またキャラクター設定がいい。夏冬コンビ他、大人たちがいい。艦長をはじめ自衛隊の方々、明石警部をはじめ警備隊の方々および烏丸警視正。自分のできること、やるべきことをわきまえていることってホント重要だよなぁ。それに対してマスコミは類型的に「浅い」わけだけど、そこらへんの対比もいいんだね。母たちとかも。
子供たちも、艦内にいる間に成長していて、ありがちな感じだけどそこがいい。
最初レガリスが人々を襲ってくるのでグロテスク(スプラッタ)な表現はあるけど、人体損傷的グロよりもザリガニ集団の方が怖いな…
これはぜひ「買い」の一冊!
海の底