需要と供給
物の値段は需要と供給の関係で決まると信じがちだ。例えば昔は一円にもならなかった物が、今ならインターネット経由で売れることがある。ネットが埋もれていた需要を掘り出したと考えられる。 それを利用したのが自治体のネット公売。埼玉では、古びた事務机やラジカセ、古切手、アドレス帳など、およそネット公売でなければ買い手がつかないような品々が入札を待っている。 実績はまずまずで、県が売った物は過去八回の平均で見積もりの二割増し、さいたま市も初めて試みた前回は三倍以上の値がついた。そのため以前なら資産価値がないと無視していた物でも、軒並み差し押さえるようになったそうだ。 もっとマニア受けする物なら、見積もりを大きく上回ることも。昨年には北海道赤平市が出品した蒸気機関車の模型が、最低入札価格の十六倍、約八百万円で売れた。それだけ需要が高かったということだろう。 しかし需給関係だけで決まらない値段もある。携帯電話の端末がそうだ。最近でこそ見直しの動きがあるが、「新規契約なら一円」なんてのはいまだにある。あり得ない値段に得した気になっても、結局は高い通話料金で回収されている。 パソコンのプリンターも似たようなものだろう。本体は意外に安くとも、取り替えインクは専用品で、しかも安くはない。もし本体が壊れたら、修理に出すより安いからと新製品を買わされる。巧みといえば巧みだが、だまされたような気もしなくもない。 社会全体の物余りが続く限り、供給側は生き残りのためにあの手この手を繰り出してくる。消費者も賢くなりたい。