私が「平家物語」の講義を聴きに行くようになったのはいつからだったろう。
もう4年はたったのだろうか?
高齢の先生が倒れられて1年半のブランク後、どうしても「平家物語」の終章まで
しないと教室を終わらせる事が出来ないという強いお気持ちからこの春再開された。
当初生徒が集まらねばそれもやむなし、と思っておられたそうだけど、ほぼ全員が
顔を出した。
体調に不安を残される先生なので5回だけの超スピード講義。
そして今日は追加の一日、「平家物語」への思い、生徒達への感謝・・・と
先生の言葉が続き、私達は皆涙にくれたのでした。
「教室は終わるけど、今後も許す限り、皆さんとの縁を大事にして行きたい」と
仰って下さる先生に寂しさと不安を抱えていた長年先生を慕ってこられた方々も
ほっとした表情。
浅い私まで仲間にして頂ける安堵感。
今後はゆっくり、溜めているお仕事をこなしていきたいとの事、雑誌の対談、
書き下ろし短編の舞台化等、形になったらお知らせしますよ、と。
先生はお寺のお生まれ、が無宗教よと笑われる。
しかし、平家物語の底辺に流れる仏教思想、浄土宗の色・・・
宗教の持つ矛盾も指摘しながら心に染み入るのは日本人だからかな、年齢かな・・。
他の方のようにとことん平家が、清盛が好きでという参加ではなかった。
仕事等日ごろのストレスを紛らわしたくて通った50分の道のり、教室の隅っこで
それこそひっそりと聞いているだけの私だった。