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キーワード:決断の時 夬。揚于王庭。孚号有厲。告自邑。不利即戒。利有攸往。 (かいはおうていにあげまことにしてよばうあやうきあり。つぐるにゆうよりす。じゅうにつくによろしからず。ゆくところあるによろし。) 「号」は泣き叫ぶこと。「夬」は決断、決壊の意味。「王庭」は朝廷。「邑」は村。「戎」は兵、戦争のこと。「沢天夬の時、直接、朝廷 で不満を訴え、誠を尽くして呼びかけても危うい。まず、各村から決行の声を上げる。武力を用いるのは良くない。進んで良い」。この卦の形を見ると、今にも 上爻の陰が勢いづいた陽の集団に叩き落とされそうです。つまり、沢天夬の時は、万事が勢い余って決壊寸前の状態で、不慮の災難に巻き込まれやすい時です。 ですから、性急な行動は控えて、一歩も二歩も退いて事に当たることです。また出先での事故などにも充分気をつけるべきです。旅行を計画している人は見合わ せるのが無難です。会社の中では、ワンマンな上司を排除するような気運の高まってきている時です。しかし、あなたが上司であれば、逆に首を切られる可能性 もあるということです。ご用心、ご用心。
〔大意〕夬(かい)には「わける」「決める」という意味がある。したがって、この卦のキーワードは「決断のとき」ということになります。運勢的には強い卦ですが、そこには重大なる変転のきざしがあり、そのために大いなる決断を迫られます。 ではどんな決断を下したらいいのか。問題は決断の内容ではなく決断に至る姿勢、心構えのほうです。マーフィー博士は「おだやかに決断せよ」といいます。力んでしてはいけない。それは精神的な圧迫を自分に与え、正しい判断ができなくなるからです。 また、一般的には決断は早くなければいけない。だがマーフィー博士は「心が平静でとぎすまされていれば、必要なとぎに必要な決断はで含る。決して遅すぎることはないのだ」といいます。早くしようとか、正しくしようとか考えるのではなく、心を平静に保ち「待つ」ことが大切です。 『易経』ではこの卦は戦うことを戒めています。これは強引、無理、力の解決はよくないということです。「施し散らしてなお富を増す人あり。与えるべきを惜しんで、なお貧しくなる人あり」決断を誤ればこのような結果になる。 いま必要なのは与える決断です。賢明に与えれば、与える以上のものがあなたに集まってきます。現代社会では富める者がますます富み、貧しき者はますます貧しくなるという。 これは社会の矛盾でもありますが、一つは富のメカニズムは「与える者に返ってくる」ところにあるからです。 資本の原則、投資のメカニズムがこれです。決断は人を不幸にするものであってはならない。人に何かを与える決断こそ、あなたが人を通じて多くのものを得ることにつながるのです。
●初9:歯が痛ければ歯医者へ行くことだ。 壯于前趾。往不戦為咎。 (あしをすすむるにそうなり。ゆけばかたずとがとなす。) 「前進する意気は盛んだが、進んでも勝ち目はなく災いをなす」。初爻で力不足の時、勝算がないので、万事控えることです。 ◎あなたの考え方、進み方に問題点があります。よく反省し、改めましょう。
●二9:恐れは実体なきものである。それはあなたの心の影だ。 楊号。莫夜有戎。勿恤。 (おそれてよばう。ぼやにつわものありうれうるなかれ。) 「号」は泣き叫ぶこと。「戎」は敵兵のこlと。「恐れて泣き叫ぶ。夕闇に敵の襲来遭う。心配しなくても良い」。闇討ちに備えてガード を固める時です。
●三9:いまは誰もあなたを責める人はいない。 壮于頄。有凶。君子夬夬。独行遇雨、若濡有慍、无咎。 (つらほねにそうなり。きょうあり。くんしかいをさだむ。ひとりゆきてあめにあう。うるうがごとくいかるるあり。とがなし。) 「頄」は面骨のこと。「夬」は決断、決行のこと。「面骨」にまで血気が現れている。凶である。君子は行う時にはあくまで決行する。一 人で飛び出して雨に遭い、雨で濡れるように濡れ衣を着せられ疑われ、慍(おこ)られるようなことがあるかもしれないが問題はない」。裏工作に徹底する時で す。計画は胸に秘め、素知らぬ顔をして決行することです。 ◎あなたの考え方、進み方に問題点があります。よく反省し、改めましょう。
●四9:いまは意志よりもあなたの直感を重視せよ。 臀无膚。其行次且。牽羊悔亡。聞言不信。 (いさらいにはだえなし。そのゆくじしょたり。ひつじにひかれくいほろぶ。ことをききてしんぜず。) 「臀」は尻。「次且」はうろうろと進みかねること。「尻の肉がないのでうろうろとすすみかねる。羊に引かれていくように人に従ってい けば悔いはなくなる。人のいうことをまともに信じようとしない」。優柔不断で不安定な立場の時です。人に従って進むことを心がけるとともに、人の忠告を素 直にききいれるべきです。 ◎あなたの考え方、進み方に問題点があります。よく反省し、改めましょう。
●五9:否定的に考えるのをやめなさい。 莫陸夬夬。中行无咎。 (けんりくかいかい。ちゅうこうとがなし。) 「莫陸」は山ごぼう。「夬」は決断、決行のこと。「夬夬」は除き去ることを強めたもの。「中行」は正しい道。「山ごぼうを跡形もなく なく抜き去るように、小人を徹底して除き去る。中道を守れば問題ない」。責任をとる時が来ました。思いきって決行することです。ただし用心を重ねるべし。
●上6:限界を飛び越えるには不断の鍛錬をせよ。 无号。終有凶。 (よばうなし。ついにきょうあり。) 「号」は泣き叫ぶこと。「泣き叫んで救いを求めても無駄で、結局は凶」。独裁者の最後とでもいうべき決壊の時です。突然の解雇の憂き 目に遭うかも。もはや手の施しようがありません。 ◎あなたの考え方、進み方に大きな欠陥があります。よく反省し、方針の転換をしましょう。 ※易学史に残る占例 十五代将軍、徳川慶喜からの要請を受け京都へ上がり、帰途、刺客に襲われ斬りつけられ絶命した幕末の開国論者、佐久間象山は、出発前に自分で占ってこの卦爻を得ましたが、将軍の命令には背けず、用心に用心を重ねたものの、易占のとおりになりました。
「マーフィの易い」J.マーフィ(昭和61年、産能大学出版部)及び以下を参照しています。 http://www.keisho.server-shared.com/64/k43.html
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最終更新日
2019.10.17 00:00:19
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