@寺子屋食神

2020/02/13(木)00:00

雑論 その他

十二支には、ほかに、刑、害、破と言われる支の閾係があるが、もともと不要である三合と方の関係をひねくり回して考え出されたもので、まったく触れる価値もないようなものである。いまだに日本ではこれらを利用して、相性とか人間関係を見ている方がいるが、四柱推命とは関係のないものと考えてもよい。ただ、そういうものがあるということを知っておけば十分である。知っておけば、そうしたものに遭遇した時に惑わされずに済むという効用はあると言える。 典味のある方は、「五行大義」あるいは、その他の書を参照していただきたい。 また、日本のほとんどの四柱推命の書で、空亡(別名・天中殺)について論じられている。 「星平會海全魯」によると、空亡には、十大空亡、六甲空亡、大敗空亡、赦路(せつろ)空亡、天上空亡、十干空亡、四大空亡の7種類があるとされており、日本の四柱推命で空亡として取り上げられることが多いのは、六甲空亡である。 次は六十干支表からの抜粋である。甲子から始まり癸酉で終わる1旬中(旬とは10のこと)に、戌と亥がないことから、生まれた日の干支が甲子から癸酉のいずれかに該当する人は、戌年と戌月、そして亥年と亥月は空亡となり、凶であるとしているのである。 甲子  乙丑  丙寅  丁卯  戊辰  己巳  庚午  辛未  壬申  癸酉  戌亥                                         空亡 そして続く甲戌から始まり癸未で終わる1旬に申と酉がないことから、申と酉が空亡であるから凶としているのである。 『五行大義』にも、空亡について触れられている。 《一旬には一つの甲癸を尽くす。すなわち甲をもって子に配し、干を尽くして癸酉に至る。干を尽くせども、余支戌亥あり。》 とあって、あまった支は何かよくないことを意味するのではないかと思わせるような文章ではあるが、凶であるとは言われていない。なお、戌亥には天門、子丑には鬼門、辰巳には地戸、午未には人門という別称があり、方位と関連づけて吉凶を論じているものもある。 こうした空亡と方位の関連付けによる吉凶は、「論衡」とか「山海経(せんがいきょう)」といった漢代の文献にも見られるが(「五行大義全釈」中村珀八訳著・明治饗院)迷信の域を超えることがないものである。ちなみに日本で鬼門は丑寅(北北東と東北東)の方位のことを言う。 そもそも十干と十二支を組み合わせれば、1旬で2支あまるのは当然のことである。極めて単純な構成でわかりやすいため、空亡を採用する人が後を絶たないのであろうが、陰陽五行論の本質からまったく逸脱した考えであると言えるし、このような単純な視点を根拠にして、吉であるとか凶であるとか論じるのは問題外と言える。 このほか天乙貴人とか天徳貸人、あるいは桃花殺、血刃、華薔、駅馬などといった、空亡と同類の神殺と言われるものが200を超えるほどある。こうしたものを羅列 て、吉だとか凶だとか言っているような自称四柱推命家は、そのことのみで、大衆化・営利目的のために本来の姿を見失ってしまっていると判断して誤ることはない。 また、紫微斗数とか算命術という占いでも、呼び名に多少の異同はあるが、空亡とか神殺に類したものを使用している。算命術は出生時間がわからない人もお客として迎えるために四柱推命を作り変えたもので、その実態は三柱推命である。用語はずいぶん四柱推命とは異なっているが、その原典である「鬼谷子・算命術」 を見れば、 元ネタが四柱推命であることは歴然と 以上のほか、納音、命宮、堂限といったものを中国の古書中にも見ることができるが、まったく触れる価値のない妄論と言える。 「四柱推命学入門」小山内彰 (希林館)より

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