ゴミが増える科学的根拠
これまでリサイクルによる毒物の菩積について整理をしてきました。今までリサイクルと毒物の蓄積とが結びつかなかった人もいると思います。しかし、このことを知ると、個人レベルで「もったいないから」と思ってリサイクルをするのと、社会全体でリサイクルをするのは全く違うことであるのがわかります。「自分一人でやること」では思いがけないことは起こりませんが、「社会全体」ということになると思いがけないことが起こるのです。
このことと同じように、個人でリサイクルをすると「リサイクルをすればゴミが減る」のは間違いありませんが、社会全体でリサイクルをすると「ゴミが増える」ことを示したいと思います。
この章でも個人の感覚を捨てて社会全体を見ることにします。そして、このことは遠い将来のことではなく、すでに施行されている「容器包装リサイクル法」、そして施行が迫っている「家電リサイクル法」ですでに大きな問題となりつつあることなのです。実際に、容器包装リサイクル法が施行された後でも、ペットボトルやアルミ缶の生産量は増加し続けていますし、またゴミは増加の一途をたどっています。
その理由の一つは、容器包装リサイクル法が施行されることによって、容器のリサイクルが環境に良いというような気持ちが社会に蔓延するので、その結果、ペットボトルもアルミ缶もかえってその生産量が増え、資源を余計に使い、ゴミを増やすことになるのです。
また、家電リサイクル法が検討されていた頃に想定されていた四大家電(テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン)の廃棄物量は約七〇万トン弱でしたが、施行時には実に一二〇万トン程度までになると予想されています。近々、これにテレビの生産高を上回ったパソコンが入ると予想されます。
すでに、「事実」としてリサイクルにより資源の消費、ゴミの増加が起こっているのです。
それではなぜ、リサイクルは毒物を蓄積するばかりでなく、ゴミを増やすのでしょうか。それを「ゴミが増える科学的な理由」と「社会のからくり」から考えてみます。
『リサイクル汚染列島』(青春出版社)武田邦彦著より
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最終更新日
2022.06.20 00:00:19
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