667188 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

弁護士YA日記

PR

全528件 (528件中 1-10件目)

1 2 3 4 5 6 ... 53 >

2022.06.16
XML
カテゴリ:弁護士業務
 法学セミナー最新号の特集は、​「ここに弁護士がいてよかった」​と題するひまわり基金法律事務所大特集!!!

 ひまわりOBとしては、この文字が目に飛び込んでくるだけで、こみ上げるものがあります。「ここに弁護士がいてよかった」は、それだけ象徴的な、ひまわり弁護士の価値をこれ以上ない程まっすぐに体現する言葉なのです。それにしても、なんて大きな「ここに弁護士がいてよかった」!
私たちにとって大切な言葉をタイトルとして特集を組んで下さった法学セミナー編集部のご英断に、一人のひまわりOBとして、心から感謝申し上げます。

 編集委員会の中隆志弁護士によると、元々法学セミナー2021年9月号から開始した同名の連載が読者に好評で、「もっと読みたい」に応えて今回の特集になったということ、つまり、先人達のバトンリレーがこうして結実したということなんですね。しみじみと嬉しく、また感慨深いです。期も赴任地もばらばらで、書く内容も多種多様、それなのに世代も地域も越えて共有できる価値観が、読者の心を掴んだのではないかと思います。
 これまで一年間リレーを繋いできて下さった方々、またこれからも繋いでいって下さる方々、本当にありがとうございます。

 そして、この要請に応えるための特集を企画された編集委員会のご尽力にも、ただただ頭が下がります。ひまわり赴任後のキャリア形成、ひまわり弁護士同士の協働、養成弁護士の奮闘記、後任所長に引き継いだばかりの所長からのホットな報告、ひまわり基金制度そのものの説明、編集委員会の思い出に残る記事も紹介しつつの座談会、最後はひまわりの母、松本三加弁護士のエッセイで締め括るという完璧な構成で、読者を飽きさせません。

 私自身、一気に特集記事を読み終わった後、充実した読後感、心を澄み渡らせていくような清涼感と共に、松本弁護士が書いていらっしゃる通り、「希望に満ち溢れた将来ある方々に向けて、たすきをつなぎ、学びと成長の先に広がる世界を分かち合いたい」と心から思いました。
 
 なお、私もひまわり基金20年を振り返るという趣旨で、寄稿させて頂きました。自分のキャリア形成の中にひまわり赴任がどう影響を与えたのかという初めて設定する視点でこれまでを振り返ることは、私にとって、新鮮かつこの上なく楽しい体験でした。
 私を育てて下さった養成事務所、赴任先の地域の方々、歴代相馬ひまわり所長と事務局をはじめ、沢山の大切な方々への心からの感謝と敬意を込めて、また、読者の方々にひまわり弁護士が世代を超えて大事にしてきた価値観を私の言葉で伝えたいという想いで、心を傾けて書きました。読んで頂けたらとても嬉しいです。


 最後に、今日も、全国津々浦々で、地域の方々のために良質な法的サービスを届けていらっしゃるすべてのひまわり弁護士に心からのエールを送ります。
 皆様、どうぞお身体にお気をつけて。いつも心から応援しています!






Last updated  2022.06.17 09:42:54


2022.06.05
カテゴリ:留学
先日、今夏から、UIUCに日弁連の客員研究員としてご留学される木下岳人弁護士とお話をさせて頂く機会がありました。

大阪で企業法務を多く取り扱う事務所に所属されている68期の木下さんと私は、年齢もキャリアもまったく異なるので接点がない筈なのですが、旧知の友人のようにお話が盛り上がり、気付いたら1時間半経過という感じでした(笑)。

年度は違っていても、日弁連の客員研究員という同じ身分で同じUIUCに行くという共通点があったことは勿論大きなきっかけではありますが、些細なことにすぎないのではないかと今思っています。

むしろ、実務法律家だからこそ持っている切実な問題意識、その問題意識を追求したいと思う好奇心・探究心、自分の心に従って進むその過程ひとつひとつのかけがえのなさと幸せ、みたいなところを共有していたことが大きかったと思うのです。

それぞれの思考が、それぞれの言葉になって表現され、受容され、刺激し合い、時に融合し、更に、それぞれの思考が深まり、新たな言葉になっていくという過程は、人と人が交流するときの醍醐味ですね。これはオンラインでは味わえない気がします。

個人的には、「留学は何か目に見える分かりやすい成果を得てくる体験というよりも、自分の探究心のきっかけになる種を一杯拾ってくるような体験だった。留学後もその種を育てる日々がとても楽しい。」という私にとっての留学の最大の意義が、木下さんという相手がいて初めて言語化された気がして、とても嬉しかったです。

とても素敵な時間だったよ、と自宅に戻って話をしたら、息子に、「それはきっと、心が澄み渡るような感じだったんじゃない?」と言われて、「そうそう!どんぴしゃり!」と思ったので、題名に採用することにしました(笑)。本当に、心が澄み渡る時間でした。

大学での勉強も楽しかったけど、実務家をしながらの勉強は第二の青春ですよね、とキラキラされている木下さん、これからも多くの方をinspireされる生き方を重ねていかれて下さい。
お身体にお気をつけて、ご無事に出発されますように。心からのエールをお贈りします!






Last updated  2022.06.05 09:57:50
2022.05.21
ずっと密かに注目しているのは、5/24に予備選挙が予定されているアメリカジョージア州知事選(本選挙は11月)です。
民主党は、2018年の知事選で、全米に旋風を巻き起こした、Stacy Abrams さんの指名が確実な情勢で、共和党は現職とトランプ前大統領が支持する候補が接戦のようです。勝った方が、Stacyさんと事実上の一騎打ちになります。

何度かブログでも書いていますが、私はStacyさんの大ファンなので、投票もできないくせに、めちゃくちゃ応援しております!

彼女のTwitterには、選挙区の方々との交流動画が沢山上がっていて、色々なStacyさんの側面を見ることができるのですが、支持者の熱気も凄くて、いやーこんな選挙だったら参加してみたい!って心から思いますね。そして何より、やっぱり、Stacyさんの言葉は、誰と話をしていても、真っ直ぐに人の心に入ってくる。本当に射抜かれたように入ってくる。どうして、こんな言葉の力を身に付けたのだろうって感動します。

この演説とかめちゃ短いんですけど、刺さります。
Diversity is our super power.も、全てのマイノリティのために選挙権を保障する草の根運動に従事してきた彼女が言うと凄い説得力です。アメリカのdiversity が強さの源だよね、ってなんだか本気で思うんですよね。4年前からずっと主張の核がブレません。全ての人がその一員となれる州にジョージアをしようというメッセージなんですよね。

https://twitter.com/staceyabrams/status/1520893326563569664?s=20&t=umReOUaN7bzdgkxEMwWkQQ

四年前の知事選から立ち上がり、なお人間として強くなった、Stacyさんのような凄い人と同時代に居合わせた幸運を味わいつつ、ジョージア州知事選、最後まで大注目です!






Last updated  2022.05.21 20:57:17
2022.04.20
カテゴリ:弁護士業務
昨日、当事務所で弁護修習されたAさん、静岡大学法科大学院を修了されたご縁でお食事をご一緒したMさんから、二回試験、無事合格のお知らせを頂きました!

実務法曹になるための、最後の関門、二回試験は、合格率は非常に高いものの、レベルもまた高い試験ですので、試験勉強本当に大変だったと思います。
無事に難関突破され、晴れて、実務法曹となられることを心からお祝い申し上げます。

自分のことのように嬉しいお知らせに、弁護士19年目に入ろうとする私も、初心を鮮やかに思い出しました。
一生勉強して、一生成長を続けられるように、今日も努力を重ねたいと思います。

先日、ご逝去された社会学者の​見田宗介さんの追悼記事​に、「生きることと学問することとはひとつになりうる」ことを教えてくださった方という下りがあり、心からはっとしました。生きることは学ぶこと、学ぶことは生きること。あらゆる人にあてはまる言葉かもしれませんが、他人のために勉強する責任がある実務法曹にとっては、とりわけ大切な言葉だと感じました。

Aさん、Mさん、心から応援しております。
もし何か私でお役に立てることがありましたらお気軽にご連絡くださいね。
私も、お二人と同様に、日々成長していきたいです。また、お会いできる日を楽しみにしています。






Last updated  2022.04.20 09:06:05
2022.04.12
カテゴリ:弁護士業務
今週末4月16日(土)11時から、​「あなたも『ひまわり基金弁護士』に!~都市型公設事務所・養成事務所による合同説明会~」​というイベントがあります。

申し込みはまだ受け付けているそうなので、ひまわり基金法律事務所にご関心のある方は、是非どうぞ!

私も、座談会と参加者との意見交換会に参加する関係で、先程まで、座談会でご一緒する予定の加賀山 瞭 弁護士(弁護士法人東京フロンティア基金法律事務所・元ひまわり基金あわじ法律事務所)と打ち合わせをしておりました。

弁護士8年目の加賀山さん、19年目の私は、出身事務所も違えば、赴任時期も重ならず、今居る場所も別々と繋がりがなさそうですが、昨年、​ひまわり基金20周年記念シンポジウム​で、お知り合いになったことをきっかけに、仲良くさせて頂いています。
加賀山さん、熱い想いと堅実な安定感、柔らかな人当たりが黄金バランスでミックスされている素敵な方で、老若男女問わず素敵な人大好き星人の私は、ご縁ができてとても嬉しいです!

そんな加賀山さんとの対談なので、とても楽しみにしているものの、30分という時間をどう使うかは、なかなかの難題です。具体的エピソードが沢山あった方が良いけれど、話したいことは沢山あるしねえ~とあれこれ協議し、最終的には、「ふるさと」「仲間」「原点」という3つのキーワードを設定して語り合うことになりました。

そう、「ふるさと」「仲間」「原点」ですよ。
絶対、ひまわり基金法律事務所経験者号泣必至のパワーキーワードですよね(笑)。

私自身、対談は勿論ですが、何より、ひまわり基金法律事務所に興味を持って下さる方々とお話しできることを心から楽しみにしております。どうぞお気軽にご参加下さい。






Last updated  2022.04.12 13:08:52
2022.04.02
カテゴリ:カテゴリ未分類
先日の記事​でご紹介したロシアのセーラ(仮名)のフェイスブックのプロフィール写真が気付くと真っ黒になっていた。ウクライナ国旗どころか、セーラの明るい笑顔まで黒一色で塗り潰されている。何が起きたんだろうと胸騒ぎがして、大丈夫?心配しているよ、とDMを送ったら、大筋こんな返事が返ってきた。

・気付いてくれて、そして、気に掛けてくれてありがとう
・ロシアでは、戦争反対を公言することを禁じる法律ができた
・ロシア国内では、戦争反対を公言している人を"traitors"(裏切り者、売国奴、国賊)としてネットで晒す市民運動が起きている
・自分はアメリカにいるが、自分の両親はロシアに住んでいるので、自分がウクライナ国旗を掲げていることで両親を万が一にも危険に晒したくなかった
・でも、私はこの戦争に感じている心の底からの怒りは変わらない、だから、黒色を選んだ

・・・ちょっと心が一杯になりながら、激しい怒りの象徴である黒丸を見つめた。セーラが闘っているものの大きさ、邪悪さ、とセーラが守ろうとしているものの愛しさ、かけがえのなさが、無機質な黒一色から、この上ない程伝わってきた。

ウクライナの美しい国土がいわれなき攻撃で破壊され、罪なき人々が日々命を失い、家族を失い、日常生活を失い、先の見えない不安に苦しみ続けている。本当に辛い、辛すぎて正視に耐えないと思いつつ、いや、目をそらしてはいけないと日々葛藤している。

一方で既にロシアの兵士の犠牲も数千人に及んでいるとの報道もある。兵士にも当然に家族がいるだろう、彼を育てた両親の悲しみにも想いを馳せる。

私が報道で知る限りの今のロシアを見ていると、戦後に生まれた私が、戦争中の日本の状況をあたかも追体験しているような気持ちになって心が非常に動揺する。

今のロシアに対してと同様かそれ以上に、世界中から激しい非難が向けられていて、でも、基本的に国民に知らされるのはいわゆる「大本営発表」を通じての情報のみ。みんな、それでも、薄々、何かがおかしいんじゃないかって思っていたと思う。情報統制が、人間の本能、五感で感じることまでシャットアウトできるわけがないから。

でも、戦争反対を公言するどころか、そのような想いを抱いていると知られただけで、逮捕され拷問され命を落とすリスクに晒される。近隣同士で不満分子を見張り合う窒息しそうな社会。セーラのメッセージを見て、"traitors"を辞書で調べて(ロングマン英英だと、someone who is not loyal to their country, friends, beliefだそうです)、なんて嫌な響きの、なんて心を深くえぐる言葉なんだろうって凄まじい衝撃を受けたけど、日本語にも、数え切れない程同じ意味の言葉ありますよね。書きたくないので書きませんが、多分、戦争中は、今よりもっと公の言葉だった筈だ。

兵士の命の軽さも一緒だ。
十数年も慈しんで愛情を注いで育てた息子を赤紙一枚で国家に差し出し、「名誉の戦死」「玉砕」などの虚言装飾でその死を受け入れることを強いられる。
・・・でも、大事な息子の死を悼んでくれる人は、世界のどこにもいない。国家は勿論責任を取らない。世界は祝う、息子の死を。憎い日本の憎い兵隊の命が尽きたことは喜ばしいことであっても、悼まれることはない。正義が勝った、悪は滅びた、それだけのことだ。

全体国家の中で生きることを強いられた市民の歴史がある日本だからこそ、分かること、できることがあるんじゃないだろうか、って思うけれど、どうしたら良いのかは私にも分からない。

でも、ロシア国内のことを他人事とは思えないこと、ロシア出身者、ロシア国内の人々の個々の信条・心情にも想いを寄せる自分でいたいと思うこと、は言葉に残しておきたい。






Last updated  2022.04.02 06:14:55
2022.03.10
カテゴリ:弁護士業務
2/25に始まった、ロシアによるウクライナ侵攻には、現在進行形で、ずっと衝撃を受け続けている。
第二次世界大戦のきっかけになった、ドイツによるポーランド侵攻に居合わせた時代の人々の緊迫した気持ちを、自分が体験することになるとは夢にも思わなかったし、今でも、夢であって欲しいと切実に思う。映像で見るウクライナの状況は地獄そのものだ。罪なき人々が泣いているのを見るのは辛すぎる。

 この二週間弱、様々な情報に接し、様々なことを考えたが、何かしらのまとまった考えが明確になっているわけではない。それでも、私がランダムに感じてきたことが消えてしまわないうちに、言葉でつなぎ止めておきたい。

1,フラッシュバック

 今回の映像を見て、東日本大震災&原発事故が起きた際の、何もかもが流され、沢山の方々がお亡くなりになったり行方不明になったりした上に、原発事故により地域から人がいなくなってしまう事態に至った時と、同じレベルの喪失感、無力感を感じた。この時期は、毎年辛いのに。「その土地に人が住んでいる」という前提がなくなっていく中での法の支配は、語るのも実践するのも非常に難しい。でも、不可能ではない。それが私の11年間だった。そう考えて、意識して自分を励ましている。 

2,正確な情報の大切さ

 ただ、さすがに、チェルノブイリ原発をロシア軍掌握というニュースを目にしたときは恐怖がピークに達し、目の前が真っ暗になってしまったが、客観的な情報を、UIUC留学時代のお勉強仲間で原子力工学者の櫻原達也さんから提供頂き、少しだけほっとした。正確な情報は、生きていく上でのインフラだと、パンデミック以来思うようになっており、今回も実感したので、今後も、できるだけ正確な情報を意識して冷静に取得したいと思う。

3,個人と国家の区別

 加熱するロシア、ベラルーシに対する経済制裁、非難の声をもっともだと認識しつつも、そのことと、両国の国民一人一人がどのように考えているかは別問題だということは、抽象的には常に思ってきた。ロシア人やロシア料理店への嫌がらせは恥ずべきことだ。
 ただ、やはり、そこに生身の人間をあてはめたときに、この抽象的思考は確信に達することを体感できたので、私の個人的なレベルでの体験をご紹介したい。

 UIUCの私の同級生にも、ロシア出身のセーラ(仮名)と、ベラルーシ出身のエミリー(仮名)がいた。セーラもエミリーも、優秀、英語も上手、努力家で勉強熱心で、尊敬する勉強仲間だった。今は、二人ともアメリカにいる。
 ロースクールのイベントで、スケート場を貸し切って、皆でスケートをした時に、アフリカ出身の子が、余りにも滑れなかったので、セーラと一緒に両側からその子を支えながら滑った思い出が蘇った。このとき撮影した写真は全員笑顔満開だ。
 エミリーは、私が原発事故賠償を研究テーマにしていると知ると、元々思慮深い目の色がすっと深くなった。強い関心を示してくれ、勉強会にも参加してくれた。チェルノブイリ事故が他人事じゃない地域で生まれ育ったからだろう。

 今回の侵攻を受け、2人が、ロシア、ベラルーシの出身であるということと、2人がどういう考え方を持っているかは別問題だ、そう思って、ふとFBのプロフィール写真を見たら、二人とも、写真にウクライナ国旗をあしらっていた。そうか、これが二人の意思なんだと分かって、ちょっと胸が一杯になった。セーラは、プロフィール欄に、Lawyer, global citizenと書いていた。そうなんだよね、私たちは、法律家だし、国籍の前に、地球の市民だ。

「とってもデリケートな話なのにごめんね、でも、私は、ウクライナの人だけじゃなくて、ロシアやベラルーシで苦しんでいる人達のことを案じてきたから、あなたの写真見て、すごいなって思った。これからも法の支配の価値を大事にする仲間でいようね」的なメッセージを送ったら、昨日、セーラから、「気付いてくれてありがとう、独立国への侵攻を正当化する根拠なんて皆無だし、妄想に取り憑かれて世界とロシアを危機に陥れているプーチンに私は怒っているの」という感じのメッセージが返ってきた。

 そう、出身国やどの組織に属しているかと、個人の信条は、冷静に分けて考えなければいけない。私だって、「日本人だから」「弁護士だから」ということで、特定の考え方に与していると決めつけられては困る。これは、個人の尊厳の基盤となる大切な区別だと感じる。

 その意味で、兵庫県弁護士会が、ウクライナ侵攻後早々に、ロシアの市民へのエール、行き過ぎたナショナリズムへの警戒に言及した​会長談話​を出されたことに感銘を受けた(勝手ながら英訳をお手伝いさせて頂きました、貴重な機会をありがとうございます、いつも私の英訳を支えて下さるDaniel Young弁護士にも感謝です)。このようなメッセージが一人でも多くの人に伝わっていくことを願う。
 

4,一色に染まらないことを意識する

 数日前に、ご家族にベトナム出身の方がいらっしゃる知り合いのママ友達と、ばったり会って、ちょっと立ち話。鋭い感性を持ち、頭が良い彼女は、話すと楽しく、いつもはっとさせられる。「今回ね、ベトナムは、国連のロシアの非難決議に棄権したの。ベトナムの歴史、立ち位置、戦略、色んなところからその選択なんだなって思った」と仰っていて、はっとした。棄権した国の選択の意味、私は、全く深く考えていなかったので。
 また、彼女は、こうも言っていた。「今回、世界中が、注目しているじゃない?でも、これくらいのレベルの酷いこと、ミャンマーやアフガンでも起きていて今もまだ全然解決していないけど、世界的には無視されているじゃない。何故このニュースが別格に注目を集めるのかって、ちょっとうがった思考かもしれないけど、考えちゃった」・・・鋭い。

 世間が盛り上がっている時こそ、一色に染まらない強さ、芯となる自分の思考を冷静に保っていたいと感じた立ち話だった。

5,今一度、「法の支配」を考える

 第二次世界大戦のきっかけと似ているとはいえ、第二次世界大戦の際にはなかった仕組みが、国際連合含め、様々動いている。

 今朝見た、ドイツの通信社が配信した​ニュース​もその一例と思う。

 現在、ウクライナが、ロシアの侵攻を直ちに差し止める差し止め命令、injunction の申立てをオランダハーグの国際司法裁判所International Court of Justice (ICJ)にしているそうだ。
 ただ、そもそも、当事者両国が、ICJが管轄権を持っていることを認めない限り、判決が拘束力を持たない仕組みになっており、一方当事者のロシアはICJの管轄権を承認していないので、判決が出ても拘束力がないという。
 さらに、ロシアが聴聞手続を欠席していることに加え、進行中の戦争行為に差止命令が出されるかどうかも分からず、仮に、差止命令があっても上記のように実効性が担保されないと思われること、からなかなか厳しい道のようで、専門家は、この裁判所の命令で戦争が止まる可能性はゼロと言っているそうだ。

 それとは別に、国際刑事裁判所International Criminal Court (ICC)は、ロシアの戦争犯罪の審理を進めているところだとのこと。ICJは国と国の紛争を管轄する裁判所だが、ICCは個々人に対する戦争犯罪war crime を管轄するという違いがある。ただ、ICCの審理は、通常、数年単位で掛かっており、未だ2014年のクリミア侵攻のケースが終わっていないため、これまた実効性に疑問があるようだ。
 
 それでも、ICJ、ICCの各裁判所を利用する意味はウクライナにはあって、国際世論に訴え、ロシアの侵攻が法的にも正当化されないものだというお墨付きを得て、ロシアに、最大限の圧力をかけることにあるらしい。

 記事を読んだ限りでも、国際司法裁判所、国際刑事裁判所、双方に、様々改善点はあるのだろうし、完璧なシステムではないだろうし、よりよい世界への貢献度も不透明だ。ただ、それでも、司法の役割、機能が何だろうかと考える上で、非常に興味深いニュースだった。

 この時代に居合わせてしまった法律家の責任は、何なのか、法の支配の価値とは何か、いつも考えながら生きていきたいと思う。
 この間、考えてきたことを駆け足で書いてきて、少しだけ、心が整えられた。今日も自分の責任を果たしていこうと思う。






Last updated  2022.03.11 05:07:27
2022.02.23
先週入ってきた​ニュース​です。
2012年にコネティカット州の小学校で起きた乱射事件で、遺族と銃製造メーカーが和解したそうです。

約80億円という和解金は、被告の破産手続が進行中の状態において、最大限の金額だったみたいです。
ただ、今回の和解の注目ポイントは、金額ではありません。

まず、一つは、そもそも銃製造メーカーが遺族への支払を認めたことです。「法的責任を認めた」というところまでは、和解の秘匿条項に入っているようなので分からないですが、銃製造メーカーが特定の犯罪について金銭の支払を認めるということ自体が、これまで考えられないことだったようです。

というのも、銃製造メーカーは、犯罪が起きた際の責任を免責する連邦法(2005年に導入されたthe Protection of Lawful Commerce in Arms Act、和訳すると、「武器法に関する合理的な商取引保護法」みたいな感じですかね)で手厚く保護されており、メーカーに訴訟を起こすというのは、あまりにもチャレンジングで成功の見込みはないだろうと言われていたらしいんですよね。そこに風穴を開けたことが大きいようで、原告代理人の戦略が成功したという視点が記事にあったので、興味を惹かれました。

法的論理としては、①被告銃メーカーは、違法行為を助長させるような宣伝を用いて販売していて(詳細立証したみたいです)、これは、州の消費者保護法に反する、②免責を認める手厚い法は確かにあるが、連邦法や州法に違反する販売については例外を認める条項がある、③よって、今回の販売に関しては免責が適用されない、ということのようです。

この辺の法律をきっちり読み込んで、かつ、事案に当てはめて説得的に論理展開する流れ、国を超えて痺れますよね。この和解によって、銃製造メーカーも安穏としていられなくなったという実質的な効果と、以前から疑問を呈されていた「こんなにも手厚い免責って銃製造メーカーに何で必要なの?」という疑問が再燃しているらしく、訴訟の結果が社会的な議論を巻き起こしています。こういうダイナミックな社会を変革する一因になる仕事、本当にかっこいいなあって感動しました。

そして、ポイント二つ目は、遺族がお金以上に固執していた、銃の販売戦略に関する内部文書(数千ページ)の開示をメーカーが認めたことです。ここも、被告のメーカーがそんな権利は原告にないと激しく抵抗していたのだけど、原告の遺族の願いは、2度と悲惨な銃乱射が起こらないことだったから絶対に譲れないとギリギリまで粘って交渉したらしいです。

和解を受けての遺族の会見動画も、​こちら​で見られます。
婚約間近の先生の遺族や、よりによって一年生のクラスが狙われたんでしょうか、6歳の子供の両親、家族等、涙なしでは見られないです。15歳になったはずの息子を見たかったのにあの子はずっと6歳のままなの、この訴訟を行うことはあの子との約束だと思っている、などの涙ながらの生の声は、余りにも悲痛です。でもだからこそ、2度と誰にも同じ悲しみ経験してほしくないから、どうしても、銃製造メーカーの責任を追求して、gun violence を根本から断ちたかったんだ、自分の愛する人の死に意義を持たせたかった、という想い、切々と伝わります。

この会見の弁護士としての視点からの注目ポイントは、6分あたりからの金髪青い目の女性、被害者の6歳の男の子のお母様が、他の法律事務所にも相談に行ったけど、銃製造メーカーを訴えるのは不可能だ、免責があるから、と全部断られたけど、原告代理人の事務所だけが、責任を問うのは可能だって引き受けてくれたんだ、って話す下りですね。
・・・自分が、原告代理人の立場だったら、断るのは本当に辛いけど、でも、引き受けられる気がしません。
弁護士なら分かりますよね、結果が極めて重大で、遺族の思い入れも非常に強い辛い訴訟、免責条項が法定されている被告に対する訴訟、そして、他の法律事務所がすべて断っている訴訟・・・これは普通引き受けられないですよ。何で、彼は引き受ける決断をできたのだろう、って直接お聞きしてみたいくらいです。

また、他の遺族がディスカバリで大量の内部書類が開示されて、いかに原告が利益のためになりふり構わない販売戦略をとっているかがわかったんだ、という下りも、ディスカバリない国の日本の弁護士としては非常に興味深かったですね。

ちなみに主任代理人、ずっと後ろに映っているんですが、遺族の話を聞きながら、18分頃からでしょうか、途中から堪えきれず、泣いておられます。まだお若い気がします。本当にしんどい訴訟だった筈で、弁護士だと国を超えてどれほど頑張ったか分かりますね。事件発生から9年、国を超えて、心から尊敬します。訴訟社会のアメリカにおいても、未開の地に道を切り開くことにはものすごい勇気がいる。その勇気が報われて本当に良かったと思うのです。
私は色んなことに興味がありますが、常に根底にあるのは、「社会において司法が担うべき役割は何だろうか」という想いです。その意味で、銃社会のアメリカの負の側面に、司法がどう取り組むかの可能性を示す、裁判が社会を変えていく実例の一つとして興味深く感じました。






Last updated  2022.02.23 07:23:27
2021.12.01
カテゴリ:留学
12月8日(水)18時から、「日弁連海外ロースクール推薦留学制度ー帰国者による報告会ーにてUIUCの客員研究員枠で約10分という短い時間になりますが、報告させて頂きます。お申し込みは、下記からできます。

https://www.nichibenren.or.jp/event/year/2021/211208.html

パンデミックのために、本来なら2020年度に留学され、帰国されている筈の方がいらっしゃらないため、二年連続の登板となりました。
昨年は、主に留学準備や留学中のお話をさせて頂きましたが、今年は、留学が帰国後の自分のキャリアや人生にどのような影響を与えたかという視点に重きを置いてご報告できればと思います。

ニューヨーク大学、カリフォルニア大学バークレー校、エセックス大学、シンガポール国立大学にそれぞれご留学された方々からのご報告もあり、私も拝聴するのが楽しみです。貴重なお話満載と思われますので、ご関心がある方は是非申し込みされて下さいね。






Last updated  2021.12.01 06:29:25
2021.11.29
11/23に配信されていた​ニュース​です。鎮痛薬オピノイドを巡る訴訟については、​以前にも何度か報告​していますが、今回の報告の特徴は、オハイオ州内の二つの自治体が原告として提起した訴訟で、①製薬会社ではなく「大手薬局」3社(CVS, Walgrees, Walmart)が被告で、②和解ではなく、一連のオピノイド訴訟で初めて、陪審の「評決」が出たという点です。

オハイオ州クリーブランドの連邦地裁の陪審が、この度下した評決は、「薬局は、オピノイドが社会にもたらしたpublic nuisance(「公共一般に共通の権利に対する不当な妨害」田中英夫編、英米法辞典)に寄与している」という内容で、処方箋に基づきオピノイドを処方した薬局の責任を認めるものでした。

原告側の主張は、被告ら薬局が、各支店のカウンターや薬局本社において、過剰処方の警告がなされていたにもかかわらず、薬の処方箋につき、なすべき必要な確認をせずに盲目的に従った結果、社会に危機が蔓延したというものでしたが、被告側薬局は、「薬剤師は、医師の資格がある者から、患者の痛みを取り除くために必要とされた薬を処方しただけである。薬の流通量を調整できるのは処方箋であって薬剤師ではない」として、責任論そのものを激しく争っていました。

当事者双方の主張共に原典をあたっているわけではないですが、この記事を読む限りでは、私も、被告の主張はもっともだと思いました。現にこの評決が出た時期、他の州裁判所では、裁判官による中間判決で、2件続けて薬局側の責任が否定されたということですから、被告側も、陪審評決のある正式裁判に進んでも勝てると考えていたのかもしれませんね。

識者の話では、public nuisanceに関する法律は各州で異なるので、どこまで波及するかは予測できる段階ではないと慎重な留保はありつつも、今回の陪審評決を踏まえて、今後のオピノイド訴訟において、薬局側としても、陪審裁判を避けるために和解するという選択が浮上するかも、というのですから、やはり、正式裁判に進み、陪審評決を受けるというのは、それ自体が、訴訟の戦略に大きく影響する選択だということがよく分かります。

こういうニュースに触れると、陪審評決は、本当に読み切れないんだな、ということを痛感しますね。
原告にとっても被告にとってもリスキーな選択肢であることは間違いありません。

面白いのは、陪審員へのプレゼンで、原告側代理人が、レゴで作った橋を使用したとされていることです。橋桁の部品の一つに薬局をたとえ、たとえ小さな役割だったとしても、橋桁の2~3の部品が腐っていたり間違った場所にあったりしたらどうでしょう?とその場で陪審員に問いかけてから、軽くレゴ橋の橋桁を叩いて、陪審の目の前で崩壊させたそうですよ。

視覚的に分かりやすいですが、このレゴ橋のモデルと法的理屈との関係ってどうなのかな、言いたいことは分かるけれどイメージ先行じゃない?このレゴ橋が壊れたからって薬局の責任があるってことになるんでしょうか?、等と被告側代理人の立場になってドキドキしますね。日本の裁判所でこのような立証が許可されるのか、興味深いです。

ただ、被告の3社は、今回の評決をpublic nuisanceの解釈を誤った違法があるとして控訴して上級審で争うとのことなので、今後の展開にも注目です!






Last updated  2021.11.29 09:50:00

全528件 (528件中 1-10件目)

1 2 3 4 5 6 ... 53 >


© Rakuten Group, Inc.