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弁護士YA日記

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日出町法律事務所
2019年6月より1年間、日本弁護士連合会客員研究員としてイリノイ大学アーバナシャンペーン校に留学後、弁護士業務を再開しました。
弁護士葦名ゆき(あしな・ゆき)
2011.10.27
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カテゴリ:読書日記
移動時間に本を読むのは至福の時間で、東京出張など新幹線での移動があるとわくわくする。

それでも、ちょうど持っていた本を読み終えたばかりだった時や出先から直行して本を持ってくる余裕がなかったときなどは、移動時間中に読む本を確保するためKIOSKの売り場をのぞいてみるときがある。本を持たずに新幹線に乗るなんて、余りにも勿体ないから。本さえあれば、1時間の移動時間が、あっという間に濃密な素敵な時間に変わります。

もっとも、KIOSKは品揃えが少なくてジャンルもミステリーとかハウツー本ばかりで、どうにも食指が動かず、「いいや、今日は、新聞を何紙か買って読み比べてみよう」企画に変更することもある(これも結構面白いですよ、同じテーマが新聞によって全然書き方や扱いが違う)。

それでも、KIOSKで手に取った本が思わぬ「あたり」だったりすることがあって、そういうときは本当に宝くじにでも当たったような嬉しい気分になる。
今日ご紹介するのは、そんな思いがけず「あたり」だった本、
羽生善治+柳瀬尚紀 「勝ち続ける力」(2009年、新潮社)。

この本は、稀代の天才棋士、羽生さんと翻訳界の巨匠(らしいです)の柳瀬さんの対談を収録したもので、共著にはなっているけれど、羽生さんが普段何を考えて将棋を指しているのかを引き出すための対談であって、羽生さんが主人公だ。

私は、昔から、どんな分野であっても、どこまでも高みを目指していく人にどうしようもなく惹かれる傾向がある。

何かを極めようと努力している人は、元からなのか、いつしかなのか、共通して、透明でキラキラしていて、でもとっても強くてしなやかなオーラをその身にまとっている気がする。蓄積した努力が全身に溢れ出して身を覆い結晶化するのだろうか。どんな誹謗中傷にも負けることなくどんな雑音にも惑わされない透明感には、畏敬の念を覚えてしまう。

私の勝手な認定だと、浅田真央選手、イチロー選手、貴花田改め貴ノ花改め貴乃花関(どうでもいいことですが、貴乃花親方になってからはなんだかむむむ・・・)とかは、分野は違うけど、上記の透明なオーラをまとっている代表的な人たちだ。
有名人でなくても周囲にもいますが。

さて、羽生さんも私認定、透明オーラの一人で、将棋のことはまったく分からない私でも、活躍から目が離せない感がある。

でも、羽生さんがすごいのは、常人にまとえない透明オーラがあるだけではなく、羽生さんにしか見えない孤高の風景を、凡人にも見えるように言語化する能力である。
羽生さんの言葉は格言ではなくて、会話の流れで、ごく平易な言葉で、紡ぎだされるものなのだけど、その言葉は、物事の本質を射抜き、羽生さんの言葉に触れる人の心も射抜く。

今回ご紹介した本でも、線を引きたい部分ばかりだったけど、私が一番ガーンと衝撃を受けたのは、次の一節だ。

(次の一手に迷うとき、どうやって決断するのか、と問われ、)

これは、大きな問題ですね。他人がどんなことをして毎日暮らしているか、これは絶対に分からないことじゃないですか。

ところが、記憶はどんなに悪くとも、自分自身がどれだけ怠けてきたか、どれだけ努力してきたか、どういう生活を過ごしてきたか。これは誰でも分かります。

だから最後に何かを決めるという段階に入ったら、自分自身を信じ切ることができるかどうかに、ものすごく影響されますね。

だから、考えている中身よりも、費やした時間や努力が、決断するときの安定剤になるということころがあるのかもしれません。

もちろん、中身も大事なんですけど、これまで積み重ねてきたことを信じられるかどうかが、曇りなく決断したり、自信を持って次に進むということに、すごく関係しているのかな、という気がしています。


・・・自分が頑張っているか、怠けているかは、自分が一番よく知っている。
本当にその通りだと思った。他人との比較をする前に、闘う前に、自分を信じられるかどうか、そのことが迷いなく決断できる一番の原動力になる。

自分に向き合う厳しい生き方を自然に積み重ねてきた羽生さんだから、さらりと言える言葉だなあとしみじみつくづく感動する。

羽生さんの境地に達した人にしかできないようなことを、それでも、せっかく誰にでも分かる言葉で語って下さったのだから、こういう気持ちで毎日を過ごしたい、と強く思いました。





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Last updated  2011.10.27 17:21:12



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