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弁護士YA日記

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日出町法律事務所
2019年6月より1年間、日本弁護士連合会客員研究員としてイリノイ大学アーバナシャンペーン校に留学後、弁護士業務を再開しました。
弁護士葦名ゆき(あしな・ゆき)
2016.03.20
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カテゴリ:東日本大震災
先日、昨年12月に逝去された及川健二先生を偲ぶ会に参加させて頂いた。
会場には、立錐の余地がないほど沢山の弁護士が詰めかけ、まるで「春風」のような温かく穏やかなお人柄だった及川先生を偲んだ。

及川先生は、平成23年度の関東弁護士会連合会連副理事長で、東日本大震災発生をきっかけに関弁連災害対策本部に入れて頂いた私にとって、直属でお仕えした上司ということになる。

あの当時、相馬のために何かしたいけど何をしたら良いか分からないと身も心ももてあましていた私を、元所属していた東京パブリック法律事務所の先輩が、見るに見かねて、「関弁連で事務作業を補助する弁護士がいなくて、副理事長の及川先生にご負担が集中しているからしっかりとお手伝いするように」と釘を刺しつつ、関弁連災害対策本部に投入する段取りを組んで下さった。

ただ、実際のところ、当時の私は、弁護士会を転々としていたという事情もあり、会務下働き経験もほとんどなく、福島と関東を繋ぐという仕事の目的だけは何とか理解していたものの、具体的に、誰を窓口にして、どのような手順を取り、どのような言い方で福島会及び関弁連の各会のご意向をお伺いすれば良いのか、という会務の常識とかそれ以前の社会人の常識を欠いており、及川先生にいちいちお伺いを立てなければ能力的に何もできない状態だった。

及川先生は、どんな些細なことでもいつも穏やかに耳を傾けて下さり、「この問題は、葦名先生の名前ではなく、私を前面に立てた方が良いですね。私からMLに流しましょう」「この点は、私からの指示があったと明記して、葦名先生の名前で流して下さい」と細やかな指示をして下さった。

あの当時、関弁連災害対策本部で行き交っていたメールは、福島会、管内各単位会双方との連絡調整をしなければならないという関係で、一日数十通、多いときには100通を超えるような忙しさだった。
単純な事務処理量としても膨大な負担だったが、そのメールがすべて前向きで実務的な内容であったわけではなく、派遣先の福島会は勿論、関弁連管内の各単位会のお家事情や個性を反映して、私の能力では、とてもさばけない内容のものも多く含まれていた。

色々な意味で未熟で人間ができていない私は、「被災者支援という目的を共有している筈なのに、こんな些末なことで争っている場合ではない」とか「この問題に関弁連がどこまで介入すべきか分からない」等としょっちゅう感情を波立たせていた。

しかし、及川先生は、私のようにイライラしたり、フリーズすることは一切無く、常に「それでは、私から流します」と私の手に余る問題をすっと引き取り、毅然としつつ配慮に溢れたメールを即座に流しておられ、私は、及川先生のお姿を見ていて、「調整をする」ということの現実的な意味を、具体的なやり方を、メールの宛先の書き方や話題の切り出し方、表現方法など文字通り基礎的な部分から、身近に学ばせて頂いた。

また、先生は、問題が起きそうな時、実際に起きた時、私を矢面に立たせるということはなく(私が明らかに暴走したり配慮が足りなかったりした場面が、振り返ると沢山あった)、いつも「責任は私が取る」という態度で(口に出すタイプの方ではなかった)、穏やかに毅然と前に立って下さった。
どれほど及川先生に守って頂いていたか、あの当時より今の方が良く分かる。

そして、今、思い返しても何と言っても凄いと思うのは、相馬に思い入れがあったという個人的な動機があった私とは異なり、及川先生は、たまたま平成23年度関弁連副理事長だったというただそれだけのことで、上記のような激務を当然のようにこなしておられたことである。

私にとって、関弁連災害対策本部での仕事は、つまるところ「やりたくてやっている仕事」だったわけだが、及川先生は「やりたいから」ではなく、それが「仕事」だったから取り組まれていたのであって、その後お仕えした歴代関弁連副理事長の中でも、突出した驚異的な仕事量を、副理事長としての他の会務もこなしながら、淡々と当然のようにご自身の手柄にするという目的も無く、きちんと正確に、非常に的確に取り組まれていらした。

私は、先生のお姿を身近に拝見したことで、「仕事をする」ということの意識がそれまでとまったく変わり、やりたいかやりたくないかとは関係なく、自分に与えられた責任を誠実にきちんと果たす、ということを学ばせて頂き、今もそのことを意識して、会務を中心とする公益的な仕事に関わるようにしている。

このように及川先生に教えて頂いたことが、私の人生に与えた影響は計り知れず、ご逝去をお聞きした際には、身も心も切られそうな悲しみで一杯になった。

及川先生はいらっしゃらなくても、及川先生に教えて頂いたことは、私の中に永遠に生き続ける。
先生に教えて頂いたことを心に刻みつつ、私は私のできることを精一杯続けていきたいと思う。

及川先生、本当にありがとうございました。
ご冥福を心よりお祈り申し上げます。






Last updated  2016.03.21 00:59:00
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