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弁護士YA日記

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日出町法律事務所
2019年6月より1年間、日本弁護士連合会客員研究員としてイリノイ大学アーバナシャンペーン校に留学後、弁護士業務を再開しました。
弁護士葦名ゆき(あしな・ゆき)
2020.03.20
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カテゴリ:留学
自分でコントロールできない状況の変化が続きますが、それなら、自分でコントロールできる部分から沢山吸収して学べばいい、と開き直って、少し気持ちが落ち着いてる今日この頃です。
沢山の情報に疲れ切った時は、図書館から大量に借りてきた本を読むと没頭できます。絵本系は、日本の民話も良いですが世界の民話の豊かさに心躍りますし、冷戦やアメリカ政治史についての児童向け本は、非常に勉強になります。世界史選択だったとはいえ、近現代史は手薄なのです、私。

一方で、今、自分がどのような状況に置かれているかを、周囲の軸ではなく、自分の頭と心で自分の軸を持ちながら理解したいという想いも日に日に強くなってきます。

ということで、いつも充実した意見交換をさせて頂いている原子力グループとの勉強会を利用して、原発事故の場合も発出されるかもしれない国家非常事態宣言の基礎を学ぶため、そもそも今回のNational Emergencyって何?ということを、自分なりにまとめてみました。

自分の研究分野ではないため、災害法制の第一人者である津久井進弁護士にとっかかりになりそうな情報をご提供頂きました。お恥ずかしながら、スタフォード法の存在すら知らなかったので、とても助かりました。お忙しい中、本当にありがとうございました。
とはいえ、私なりに、本当に短い時間で、ニュースやホワイトハウスのウェブサイトから拾った情報が大半なので、勉強も浅いですし、情報源に偏りもあります。従って、間違いや誤解がある可能性は大いにありますので、何卒ご容赦下さい。

それでも、アメリカの国家非常事態宣言が、イメージしていた強権を大統領に与え、ガンガン命令を下すというものではなく、むしろ、真逆で、最前線の現場にいる州にいかに動いてもらいやすくするかを追求するための制度であることが分かってきて、とても新鮮で面白かったです。

これからも自分の心を耕しながら、自分の学びを深めていきたいと思います。


***************************

一 国家非常事態宣言


1,"Proclamation on Declaring a National Emergency Concerning the Novel Coronavirus Disease (COVID-19) Outbreak"

:ホワイトハウスのリンクは下記。
https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/proclamation-declaring-national-emergency-concerning-novel-coronavirus-disease-covid-19-outbreak/

:内容としては、今回のOutbreakに至ったことを踏まえ、National Emergencies Act ,Social Security Actを根拠に国家非常事態を宣言するというもので、この宣言を読むだけでは、具体的内容はよく分からない(会見骨子参照)。

3/13の連邦政府からの宣言以前に、多くの州で、州の非常事態宣言を出していた。
https://www.businessinsider.com.au/california-washington-state-of-emergency-coronavirus-what-it-means-2020-3?r=US&IR=T

→今回、連邦からの非常事態宣言が出たことにより、下記スタフォード法の適用がなされることが大きい。

 

二 スタフォード法

1 準拠法

米国の災害対応、復興の準拠法は、ロバート・T・スタフォード災害救助及び緊急支援法(以下「スタフォード法」Robert. T. Stafford Disaster Relief and Emergency Assistance Act)。スタフォード法への言及は、下記ホワイトハウス発出のLetterにあり、今回の場合は、同法に基づく"Emergency"に該当し、同じく同法に基づくDeclaration of major disasterを発出することが前提にある。

https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/letter-president-donald-j-trump-emergency-determination-stafford-act/

 

"Therefore, as an initial step, I here by determine, under section 501(b) of the Stafford Act, that an emergency exists nationwide."
"In addition, after careful consideration, I believe that the disaster is of such severity and magnitude nationwide that requests for a declaration of a major disaster as set forth in section 401(a) of the Stafford Act may be appropriate"

 

2 スタフォード法の概要
1988年に制定、その後何度かの修正が加えられてきた。
:基本的には連邦が行う大規模な災害対応、復興に関する法律だが、地方政府・州も連携した体系的な災害救助、緊急支援の方策が示されている。
:主要な狙いとしては、連邦の各省庁に分散していた災害対応・復興の権限を連邦緊急事態管理庁(Federal Emergency Management Agency, FEMA)に集約、再編し、同時にFEMAの災害対策に対する主要な権限を直接的に大統領に集約すること
(青山公三「米国における災害対応・復興の法システム」法律時報第819号)

 

3 スタフォード法に基づく米国の災害・事件対応の概要図
https://www.fema.gov/pdf/emergency/nrf/nrf-stafford.pdf

:大統領宣言へのプロセス(上記青山論文49-50頁)
(1)地方政府の緊急事態対応要員が緊急事態対応、状況評価
(2)州は情勢再検討、州内の資源動員、対応状況を国土安全保障省(DHS)FEMA地方事務所に報告
(3)知事は、州の緊急事態対応計画を発動し、緊急事態を宣言。州とDHSによる予備的被害評価実施(PDE)を要求する
(4)知事はPDEの結果に基づき、大統領宣言を要求し、必要な連邦支援を明らかにできる。

*今回は、ワシントン州知事から、大統領宣言の要求があった。
https://edition.cnn.com/2020/03/13/politics/states-coronavirus-fema/index.html
"Washington Gov. Jay Inslee on Thursday requested that the administration declare a national emergency."

 

4 FEMAWeb site
https://www.fema.gov/news-release/2020/03/13/president-donald-j-trump-directs-fema-support-under-emergency-declaration

 

"This increases federal support to the Department of Health and Human Services (HHS) in its role as the lead federal agency for the ongoing COVID-19 pandemic response. As a result of the Presidents decisive, unprecedented action, FEMA is directed to assist state, local, tribal, territorial governments and other eligible entities with the health and safety actions they take on behalf of the American public. Todays declaration does not make direct financial assistance available to individuals."
"FEMA actions will be in support of HHS and in coordination with state, tribal and territorial governments. "

 

→今回の宣言は、連邦が保健福祉省(HHS)に大きな権限を与え、FEMAHHSをサポートするという位置付けのようである。

 

三 3/13会見内容骨子

https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/remarks-president-trump-vice-president-pence-members-coronavirus-task-force-press-conference-3/


・これまでの政策(ヨーロッパからの渡航禁止など)の自画自賛

500億ドル(5兆円)上限の財政出動
・すべての州に緊急対策本部を立ち上げる
・国中の病院にて緊急事態に備えた準備を行う
the Secretary of Health and Human Services(保健福祉省長官)に広く柔軟な権限を与え、全米の病院に柔軟に対応できる体制を作る
(
例として)
→他の州の医師であっても、必要な州にて必要な治療をできるよう、医師免許要件を緩和する
→地域の緊急拠点病院の25病床、96時間までといった要件を撤廃する。
→養護施設入所の必要要件(入所前の3日間の入院)を撤廃する。
→病院の規則(医師人数やスペースに関するもの)の撤廃、病院や医師が動きやすいような体制を整える
→病院内における患者の治療スペースに関する規則を撤廃し、緊急事態にも対応出来るようにする。
・一定の症状がある人がウィルス検査を受けられる態勢を早急に整える
・車から降車せずに検査を受けられるドライブスルーテスト体制を整え中。どこで検査を受けられるかをすぐ分かるシステムの開発のためにGoogleの協力を得ている
・その後、Walmat, Walgreens, CVS等の大規模小売店、薬局チェーンのCEOが登壇、ドライブスルーテストを行う際の駐車場の提供や、食料や日用品の迅速かつ安定した供給などを約束
Becton Dickinson, Roche,LobCorp等のウィルステストキット含む医療機器メーカーや製薬会社のCEOも登壇し協力を約束
Signify Healthという在宅ケアの専門会社CEOも体勢を整えることを約束
(*一連のCEO登壇は、官民連携のアピールと思われる。なお、CEOは、白人男性ばかりだった)
・連邦が貸し付けている学生ローンの利息を免除する
・石油を備蓄するために大量の原油を購入する
・コロナ対応ガイドラインをウェブサイト上で発表する、下記
https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/coronavirus-guidelines-america/

 

四 その後の動き
 ・3/18 病休手当、失業手当、無料のウィルス検査などの援助を目的とした特別法成立
 ・3/19 5000億ドル(50兆円)を直接納税者に、5000億ドル(50兆円)をビジネスローンの貸し付けに使うという経済対策の承認をトランプ政権が議会に求めている。
https://www.nytimes.com/2020/03/18/us/politics/donald-trump-coronavirus-trump-stimulus.html?te=1&nl=morning-briefing&emc=edit_NN_p_20200319§ion=topNews&campaign_id=9&instance_id=16894&segment_id=22376&user_id=e59927f7aa5f5884bf052f9d0c150027®i_id=115418841tion=topNews

 

五 感想・私見


1,アメリカにおける国家非常事態宣言の本質
 :大統領に強大な権限を集めて上下下達で中央集権的に動かすというよりも、連邦が現場のことを把握している州を尊重し、いかに動いてもらいやすくするかという理念に基づいている(州の緊急医療を妨げるような連邦の規制撤廃など)

2,災害・事態の個性に応じた対応
 :過去の例を調べる時間がなかったが、今回は保健福祉省(HHS)に強大柔軟な権限を与えるなど、個々の「非常事態」の内容に応じた個別柔軟な動きが模索されているように思われる。

3,強大な予算
 :会見で言及された日本円にして5兆円というだけでも強大な予算だが、その後更に特別立法で100兆円規模の財政出動が検討されている。どのように予算計画を立てているのだろうか?







Last updated  2020.03.20 21:40:33
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