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弁護士YA日記

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日出町法律事務所
2019年6月より1年間、日本弁護士連合会客員研究員としてイリノイ大学アーバナシャンペーン校に留学後、弁護士業務を再開しました。
弁護士葦名ゆき(あしな・ゆき)
2020.06.14
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カテゴリ:留学
​昨日6/13の夜(日本時間では翌6/14の朝)、UIUC所属の原子力工学者、櫻原達也さんと、日弁連災害復興支援委員会に所属する有志の弁護士(津久井進委員長、渡辺淑彦さん、今田健太郎さん、宇都彰浩さん、神田友輔さん、工藤舞子さん、私)とのジョイント勉強会がありました。



事の発端は、先月、私が、早稲田大学ロースクールで留学に至った理由や留学で学んだことをお話する機会を頂いた際に、UIUCでの留学生活の中でずっと大切なお勉強仲間であり続けた櫻原さんに、友情出演をお願いしたことです。
櫻原さんは、「難しい技術的なことではなくて、現場に行くことの大切さとか、専門家として原発事故にどう向き合ってきたかといった、パーソナルストーリーを、学生向け、5分でお話しして頂きたい」という無茶な早朝出演の依頼をご快諾下さり、本当に5分で、下記のようなことを話して下さいました。

・事故時は、東大工学部の4年生で、当時学んでいた知識によれば安全だった筈の原発で事故が起きたことに「これまで学んできた原子力工学は間違いで、世の中の何の役にも立たないんじゃないか」大きな衝撃を受けた
・過去の知識・経験がこのような形で否定されてしまったことを受け、自分は、「不都合な事実を深く理解し、"cope"するための方法を積極的に模索する道を選び、原子力工学を深く勉強すると共に、できるだけ現場に赴き(家の片付けボランティアや除染アドバイザー等)、現場を知ることを心がけた
・これまでの原子力工学者としてのキャリアを踏まえて共有したい教訓は以下の通り。
“It is not the strongest of the species that survives, nor the most intelligent that survives. It is the one that is most adaptable to change.”― Charles Darwin
「競争を生き抜くのは、最も力の強い種でも最も知能が高い種でもない。環境の変化に最も適応できる種である。」
という言葉に象徴されるように、特定の考え方やアイディアへの過剰な拘りを捨て、チャンスに謙虚に向き合う姿勢、異分野の人と積極的に交流し他者の話に真摯に耳を傾け続ける姿勢、時には完全なアウェイ状態に意図的に自分の身を置いてみて置いてみて自分の弱点や足りない視点に気付くチャンスを探すことが必要

​この5分とはいえ、櫻原さんの真摯な姿勢や誠実なお人柄が伝わるプレゼンは、私が意図していた学生さんだけではなく、参加して下さっていた私の大切な弁護士仲間である渡辺さん、神田さんの心を鷲掴みし、早稲田報告の直後から、「なんとか櫻原さんに日弁連でもお話し頂きたい」という話が持ち上がりました。

私としては、5分で皆の心を掴む櫻原さんも凄いと思いましたが、櫻原さんの魅力を瞬時に見抜く渡辺さん、神田さんの感性の鋭さ、嗅覚も凄いと思いましたし、分野は違うけれど、思いがけず、私が心から敬愛する方々同士を繋げる機会が得られたことをとても嬉しく思いました。
そして、昨日、日弁連で正式なご講演を頂く前に、準備会として、原子力エネルギーについて、何でも率直に質問し、意見交換しようという企画を開催したというわけです。

今度は5分でなく2時間、たっぷり時間がある筈だったのですが、参加して下さった弁護士は、まさしく第一線で原発事故支援、被災者支援に取り組んでいるキラキラオーラ満載の方々ばかりだったので、鋭く多様な質問、コメントが終始溢れ返り、櫻原さんがその千本ノックのような一つ一つの投げかけに、全く休まず逃げず誠実に、ご自身の考えをお話しされる、という非常に濃密ながらあっという間に過ぎ去る2時間となりました。

繰り返しになりますが、この2時間、どんな質問も受け止め、返し続ける櫻原さんもやはり凄いと思いましたし、原子力工学という異分野の専門家に対し、非常に本質的な問いを投げかけたりコメントできる弁護士サイドも凄いと思い、とにかく圧倒されて耳を傾けていました。

私もメモをきちんと取っていなかったので、不正確で断片的な情報になってしまいますが、記憶に残る範囲では、下記のようなことが質問、意見交換されていました。

・アウェイに身を置く大切さはよく分かるが、具体的に現場でどんな困難があり、どんなことを学ばれたのか
・タブーに向き合うことでの軋轢や異端児扱いみたいなことはなかったのか
・原発事故に関する「不都合な事実」とは何かを教えて頂きたい
・事故前の情報公開と事故後の情報公開の違いはどのようなものか
・日本人の国民性として「ここまでのリスクなら許容するという国民的合意」を取ることは難しいように思われ、単純に欧米のリスクコミュニケーションのあり方を真似できるわけではない中、日本流のやり方を見つけるためにはどんな努力が必要なのだろうか
・原発事故のコストは、どのように計算するのか、抽象的な不安や政治的情勢などを加味することは可能だろうか
・科学的合意が取れている状態とは、具体的にどのような状態を指すのか
・原子力エネルギーに関する科学的正確な基礎知識は必要としても、それでも不安だ、怖いと考える人々を切り捨てることはできない、なぜなら我々は少数者の人権を大切にする職種だからである
・そもそも福島第一原子力発電所で事故が起きたのは何故なのか、事故後の安全基準はどのように変わったのか
・ビルゲイツが考案中といわれている小型原発の未来と実用可能性は?
・放射性廃棄物の処理方法について、どんな方法論が考えられるのか

これらの意見交換を経て、やはり是非日弁連でお話し頂きたいということになり、1,原子力エネルギーの基礎知識、2,リスク分析、マネージメントの専門家としての役割を融合したご報告をして頂く方向で、調整することになりました。

まだ日程も決まっていませんが、必ず実現させて、また、新たな化学反応が生まれ、広がっていくと良いと思います。

なお、最後に、櫻原さんのブログをご許可を得て、ご紹介します。
文章から、その深い知性だけでなく、真摯な研究態度と人間性が立ち上がってきます。文は人なりと言いますが、本当にそうですね。原子力工学者という立場からの文章なので、私には持っていない視点からの発信ですが、強靭でしなやかでどこまでも成長していく知性、その知性を鍛錬してきた弛まぬ情熱を感じ、圧倒されます。
情緒的なことは書いていないのに、また非常に難しいことを書いていらっしゃるのに、ここまで人の心に響く文章は、今まで見たことがないです。
お勧めです、是非!

http://tsaku2uiuc.blog.fc2.com/R






Last updated  2020.06.14 19:53:42
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