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弁護士YA日記

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日出町法律事務所
2019年6月より1年間、日本弁護士連合会客員研究員としてイリノイ大学アーバナシャンペーン校に留学後、弁護士業務を再開しました。
弁護士葦名ゆき(あしな・ゆき)
2020.07.29
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カテゴリ:読書日記
​​​​​​​​​​​​​留学中に、Kindleの便利さに目覚めました。持ち運びに苦労することなく、どこにいても、タブレットさえあれば日本語でも英語でも本が読め、何よりかさばらない。本当に便利で、読みたい!と思った時の「でも置き場所は?」という逡巡がなくなり、より沢山の本を気兼ねなく読めるようになりました。

今回、この傑出した政治家の本も、日本語版、英語版共に、Kindleで購入し、まずは日本語版を、一気にまさしく引き込まれるように読みました。

著者は、Hillary Rodham Clinton(ヒラリーさんと呼ばせて頂きますね)。彼女のことを知らない人は世界中にほとんどいないんじゃないんでしょうか。それくらい有名な方ですよね。

弁護士、ファーストレディ、上院議員、国務長官等を歴任といった華やかなキャリアもさることながら、なんといっても、4年前、女性初の米国大統領になりそうだったのになれなかった、という悲劇の経験が、彼女を世界的に有名にしたと思います。

・・・ただ、恥ずかしながら、私は彼女がどんな人か、何を考えて生きている方かはまったく分かっていませんでした。でも、今回アメリカでPandemicを経験して、もし、この危機に立ち向かうのがヒラリー大統領だったら、ということは考えずにはいられなかった。対外的にも国内的にも、トランプ政権とは確実に異なる対応になったのではないかということは直感的に感じ、人間として、リーダーとしての内面をもっと知りたくなっていました。

このWhat happenedは、4年前の挑戦の過程で彼女が経験したこと、感じたことが、ヒラリーさんの肉声で語られています。悔しさ、怒り、悲しみは勿論そのままに、でも、一方でとても冷静な視点で、何故私は大統領になれなかったんだろうということも分析してあります。
心揺さぶる本物の言葉に、彼女の知性、タフさ、視野の広さ、真面目さ、感受性の豊かさ、優しさが溢れ出ていて、私も感情移入してしまいました。

まず、彼女の人生に対する姿勢が分かる記載をいくつかご紹介します。
天性の才能に恵まれている方でしょうに、繰り返し努力をし、欠点に対応するための対応を考え続ける真摯な姿勢に共感します。

903​(*これらの数字は、Kindleの位置No.と呼ばれるもので、紙の本のページ番号とは異なるようです)​
大統領候補、リーダー、いや誰であっても、本当に問うべきなのは「欠点があるかどうか」ではない。「欠点について、どう対処するか」だ。間違いから学習することができるか? それとも自己改善を拒否して、他者を貶めて自分より悪くて劣った奴らだと主張するか?

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それから50年近くが経ち、勝っても負けても、「夢中でやってみる」のが大切だというのが、わたしや家族のマントラになった。選挙に勝とうとするか、何百万人もの人を救えるような議案を通すか、友人を作るか離婚を回避するか、何をするにしても成功する保証はない。だがやってみなければならない。何度でも、繰り返し。

大統領選の最中、彼女は、大規模な集会よりも、小さなタウンミーティングを好んだそうです。
なぜなら、一方的に話すより対話の方が、学ぶことが多かったから。私も同感です。自分にはない視点を持っている方々と話すことで、これまでどれほどハッとさせられる気付きがあったか言い尽くせません。

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​マスコミはこれらの会話の行なわれる会合に飽きてしまうようだった。批評家たちは、こうした会合はあらかじめ演出され、注意深く管理されているとして片づけた。だがわたしは飽きなかった。人々に向かって話すのではなく、一緒に話したかった。それによって学ぶことも多かった。わたしにとっては、これこそが、大統領に立候補するということの主要な意義だった。​

チームヒラリーは、6000人!ボーイング機をチャーターした上で、総選挙に向けたスローガン「一緒のほうが強い」という意味のstronger togetherを書いて、全米を飛び回りました。
本物さながらの討論会の準備や、タウンミーティングで得られた学びを政策に活かすために奔走します。特にページ数を割いて言及されているのが、貧困にも見舞われているミシガン州フリントの水が汚染された結果、沢山のこどもたちが鉛中毒になってしまったという問題です(No.3522~)。この問題を放っておく訳には行かないと動く彼女に私利私欲があったとは私には思えません。彼女の情熱は、公害で苦しむ被害者を救うために奔走する弁護士の姿と重なります。

そして、彼女は、踏み込みます。
女性である故に存在する圧力にどう立ち向かってどう感じてきたか。ここまで正直に書いてくれたことにまずは感謝です。そして、深く頷き共感できる箇所がいくつもありました。

まず、ヒラリーさんは、大統領選を通して、この上なく辛い現実、「私は皆に嫌われている」に向き合わざるを得ませんでした。

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そのうえで、わたしは多くの人が――それこそ何百万人もが――わたしのことを嫌いなのだという結論に達した。これがどんな気分のものか、想像してみてほしい。受け入れがたいことだった。だが避けることはできない。

その上で、彼女は、同じ舞台に立っていても、女性が求められることは男性よりもずっと多いということも併せて指摘します。本当にそうだ!!と頷きすぎて、顎が首にめり込みそうでした(笑)
女性だけに完璧さが求められるのは何故なんだ、と思う機会が多々ありました。

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政治において女性が身につけなければならないバランス感覚は、どんなレベルにおいても難しいものだが、地位が上がるにつれてますます困難になる。印象が強すぎると、好かれない。優しすぎると、重大な問題に関われない。熱心に働きすぎると、家庭を顧みないことになる。家庭を優先すると、真剣に仕事をしていないことになる。職歴を積んで子どもがいないと何か問題があるということになるか、その逆か。もっと重要な役職を求めると、野心家だと批判される。

時には、男性なら許される、男性なら好意的に評価される資質までもが、女性であるために、批判される・・・余りにも理不尽だけど、でも、私たちの身近でも、こういう傾向ってありますよね。弁護士経験で身につけた慎重な言葉遣いのくだりは、自分に引きつけて考えてしまいました。

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なぜわたしはそれほど評価の分かれる人物になり、たとえばジョー・バイデンやジョン・ケリーはならないのか? 彼らは大統領に立候補した。彼らは政府の高い位置で仕事をした。彼らはあらゆる種類の投票をし、その中にはわたしと同じように、後悔しているものもあるはずだ。なぜわたしだけが、怒りの避雷針になるのだろう?  本気で訊きたい。途方に暮れている。

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冷静な態度も関係しているだろう。わたしはよく、常に警戒していると言われるが、これは本当だ。話す前に考える。頭に浮かんだことを、やみくもに口に出したりはしない。生まれつきそういう傾向があったのに加えて、弁護士として訓練を受け、何十年も公衆の目にさらされ、一言一句を穿鑿されてきた結果でもある。だが、なぜそれが悪いことなのだろう? 上院議員や国務長官――そして何よりも大統領――は、自らの言葉の持つインパクトを自覚して、思慮深く話をするべきなのではないか?  オバマ大統領はわたしと同じくらい、もしかしたらそれ以上に抑制している。ものすごく気を遣って話をする。時間をかけて、言葉を吟味する。これは一般に知的で厳格な態度だと、正しく評価される。彼は深刻な事柄を真剣に話す人物だ。それはわたしも同じだ。だがわたしがそうすると、しばしば否定的に受け取られる。

でも、皮肉なことに、女性が、チームの一員として、誰かのために「内助の功」を果たした時は評価されるのですね。自分が主人公になると野心家と批判されるのは何故なのでしょう。

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シェリルはもう一つ洞察している。女性は他者を擁護すると好意的に見られ、自分たちを擁護すると否定的に見られる。たとえば、男性であれば昇給を求めても悪いことはない。望み通りになるかどうかはともかく、何かを求めたことで罰せられはしない。同じことを女性がすると、危険が伴う。給料は上がるかもしれないが、評判は落ちる。例外は、女性が他の誰かのために昇給を求める場合だ。その場合はチームの一員と見なされ、寛大に受け取られる。これもまた、胸に響いた。誰かの支援をする役割のときは、わたしは人に好かれる。夫のための選挙運動や、オバマ大統領の内閣で働いていたときだ。こうした能力で評価された場合は大丈夫だった。だが立ち上がって、「これからはわたしが主導します」と言ったとたん、全てが変わった。  あの日、困難な登山が待っていると、シェリルに警告された。「奴らは、まるで容赦がないわよ」

 

なお、ここで出てくるシェリルは、Facebook のCEOで素晴らしいトークをTED で披露しています。
https://www.ted.com/talks/sheryl_sandberg_why_we_have_too_few_women_leaders

こんな体験を重ねるうちに、いつしか女性は、自信をなくす。生まれた時は一緒だったのに。でも、、、、本当だ。私も、こんな体験を仕事を任す側、任される側双方で体験しています、悲しいことに。

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何年にもわたって、わたしは若い女性や男性を雇い、応援してきた。多くの場合は、こんな具合だ。
わたし:あなたにもっと大きな役を任せたいの。

若い男性:すごい。がんばります。落胆はさせません。
若い女性:本当に大丈夫かしら? 自信がないわ。一年後にしたらどうでしょう?  
こうした反応は先天的なものではない。生まれつき、男性のほうが女性より自信があるわけではない。男性は自分を信じろと言われ、女性は自分を疑えと言われる。若いころから、何百万回も言われ続けるのだ。わたしたち一人ひとりが改善していかなければならないことだ。

そんな彼女を支えてきた夫、クリントン元大統領と、一人娘のチェルシーさんに対する彼女の愛情にも、心打たれました。

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娘は特別な存在だ。生まれた直後から、女性として教えておきたいことがたくさんあった。勇敢であること、本当の自信を持ち、場合によっては自信のあるふりをし、深刻になりすぎずにプライドを持ち、自分を愛し、愛するように努力し、寛大な心で他者を愛し、強いけれど優しくもあり、どの意見を重んじ排除するかを判断し、何を言われようと自分を信じる。わたし自身は、こうした事柄を身につけるのに苦労したが、もしかしたらチェルシーはあっという間に自分というものを確立していたのかもしれない。

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彼は人生のパートナーであり、出会った瞬間から最高の存在だった。彼には、仕事を控えてくれと言われたことがない。彼の人生や野望の妨げになるからという理由で――仕事でも政治でも――競争相手にならないでくれと言われたこともない。彼の仕事のほうがわたしのものより重要だった時期はあったが、それでも彼は何も言わなかった。常に平等だと感じさせてくれた。

家族をはじめ、沢山の仲間に精力的に支えられて迎えた開票の日、まさかの敗戦を喫した状況がリアルタイムで綴られていて心が痛くなる。それでもヒラリーさんは、呼びかけます。小さな女の子では最早ない私も、心に響くメッセージです。

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「これを見ている小さな女の子たち、あなたが価値のある力強い存在で、この世界で夢を追いかけて達成するチャンスに恵まれるべきだということを、けっして疑わないでほしい」

全身全霊で挑戦して傷ついてきた彼女の人生だからこそ、終盤に出てくるヒラリーさんの友人の言葉は、とてつもない重みで迫ってきます。私も、ツルツルした表面上の美しさよりも、いくつもの深い傷を負い、その傷を乗り越えてきたからこそ発光する内面からの輝きに、強く心惹かれます。
ここは、せっかくなので、オリジナルの英語もご紹介します。

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「傷のあるエメラルドは傷のないものより良いとされることがあります。傷が、本物であることの証拠だからです」​​​​​​​​​​​​​​​

“Flawed emeralds are sometimes even better than flawless ones,” Tala went on, “because the flaws show authenticity and character.”

本当に素晴らしい読書体験でした。
お勧めです!






Last updated  2020.07.29 19:38:05



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