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弁護士YA日記

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日出町法律事務所
2019年6月より1年間、日本弁護士連合会客員研究員としてイリノイ大学アーバナシャンペーン校に留学後、弁護士業務を再開しました。
弁護士葦名ゆき(あしな・ゆき)
2021.09.10
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​この一ヶ月ほど、アフガニスタン情勢ニュースに釘付けでした。

20年続いた長い戦争が残したものは何だったのか、当事者国であるアメリカにおける議論は本当に多種多様です。また折を見て、記事にしたいと思いますが、私が一番気になったのは、アフガニスタン駐留を検証するアメリカ国内の第三者機関​SIGAR​(Special Inspector General for Afghanistan Reconstruction)の​What we need to learnと題する報告書​に、アフガニスタンの文化を理解していなかったという文脈で、imposed formal rule of law on a country that addressed 80 to 90 percent of its disputes through informal means、つまり、80~90%の紛争が非公式な方法で解決される国に法の支配を押しつけた、という指摘があることです。法の支配という言葉に特別の感慨を持ってしまう私としては、この一節は非常に気になりました。

ただ、まだ私の思考もまとまっていないのですが、法の支配は、一人一人を尊重する個人の尊厳の上にしか成り立たない概念であるはずで、法の支配を唱える国は、個人の尊厳を守らなくてはいけない筈だと思うのですね。でも、アメリカは、本当にアフガニスタンにおいて個人の尊厳を大事にしていたのだろうか、と個人的には疑問に思います。待避計画中に実行されたISISによる自爆テロの報復として、子供を含む民間人を誤爆して殺害したのに、きちんと謝りもしない、というアメリカの態度を見て、私としては、法の支配を振りかざす資格があるのだろうか、といったどうしようもない違和感を感じました。

もう少し考えてみたいと思いますが、ぼんやり考えていることが逃げていかないうちに書き留めておきます。

さて、今日は別の話題です。
既に日本でも大きく報道されていますが、テキサス州が、妊娠6週間以上の妊婦の中絶を例外なしで一律禁止する法律を制定し、差し止め命令が連邦最高裁で認められなかったため(5対4)、8月末で発効しました。加えて、​以前にもお伝えした通り​、一般市民が中絶に関わったクリニック等を訴えて報奨金を得ることができるという法律も併せて施行されたため、現在、テキサスでは、該当する中絶手術を実施することは、違法かつ一般市民から訴えられるという多大なリスクを負うことになってしまっているようです。

妊娠の原因も問わず、妊娠したかどうかも分からない時期以降の中絶を一律禁止とは、余りにも厳しすぎる規制のように思われますが、この立法に、バイデン政権はカンカン、この度、司法省がテキサス州を被告として訴訟提起したそうです。

https://www.nytimes.com/2021/09/09/us/politics/texas-abortion-law-justice-department-lawsuit.html

ガーランド司法長官は、中絶するかどうかを決める憲法上保障されている権利をテキサス州は侵害していると指摘した上で、次の通り、司法省は、合衆国憲法を遵守し、法の支配を貫徹する義務があり、その義務を果たすためにこの訴訟を提起した、と記者会見で述べたそうです。こういう言い回しを司法長官がするということが、良くも悪くも凄くアメリカっぽいですよね。

“The Department of Justice has a duty to defend the Constitution of the United States, and to uphold the rule of law,” Mr. Garland said in a news conference at the Justice Department. “Today we fulfill that duty,” he said of the lawsuit.

ただ、トランプ政権時代に、最高裁はじめ連邦裁判所に、共和党の裁判官が多数任命されたことから、政権側の主張が簡単に認められることは期待できず、今回の訴訟が少なくともすぐに決着することはないだろうというのが識者の見立てのようです。
留学中、裁判官にお会いすると、「共和党です」「民主党です」と自らご紹介下さることが多くて、まさにカルチャーショックだったのですが、党派制と司法は、思った以上に深く結びついていますね。

連邦が、連邦憲法違反を根拠に、州を被告として訴訟提起する、という構造の訴訟、興味深いです。今後も注目していきたいと思います。





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Last updated  2021.09.10 06:25:23
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