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弁護士YA日記

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日出町法律事務所
2019年6月より1年間、日本弁護士連合会客員研究員としてイリノイ大学アーバナシャンペーン校に留学後、弁護士業務を再開しました。
弁護士葦名ゆき(あしな・ゆき)
2021.11.29
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11/23に配信されていた​ニュース​です。鎮痛薬オピノイドを巡る訴訟については、​以前にも何度か報告​していますが、今回の報告の特徴は、オハイオ州内の二つの自治体が原告として提起した訴訟で、①製薬会社ではなく「大手薬局」3社(CVS, Walgrees, Walmart)が被告で、②和解ではなく、一連のオピノイド訴訟で初めて、陪審の「評決」が出たという点です。

オハイオ州クリーブランドの連邦地裁の陪審が、この度下した評決は、「薬局は、オピノイドが社会にもたらしたpublic nuisance(「公共一般に共通の権利に対する不当な妨害」田中英夫編、英米法辞典)に寄与している」という内容で、処方箋に基づきオピノイドを処方した薬局の責任を認めるものでした。

原告側の主張は、被告ら薬局が、各支店のカウンターや薬局本社において、過剰処方の警告がなされていたにもかかわらず、薬の処方箋につき、なすべき必要な確認をせずに盲目的に従った結果、社会に危機が蔓延したというものでしたが、被告側薬局は、「薬剤師は、医師の資格がある者から、患者の痛みを取り除くために必要とされた薬を処方しただけである。薬の流通量を調整できるのは処方箋であって薬剤師ではない」として、責任論そのものを激しく争っていました。

当事者双方の主張共に原典をあたっているわけではないですが、この記事を読む限りでは、私も、被告の主張はもっともだと思いました。現にこの評決が出た時期、他の州裁判所では、裁判官による中間判決で、2件続けて薬局側の責任が否定されたということですから、被告側も、陪審評決のある正式裁判に進んでも勝てると考えていたのかもしれませんね。

識者の話では、public nuisanceに関する法律は各州で異なるので、どこまで波及するかは予測できる段階ではないと慎重な留保はありつつも、今回の陪審評決を踏まえて、今後のオピノイド訴訟において、薬局側としても、陪審裁判を避けるために和解するという選択が浮上するかも、というのですから、やはり、正式裁判に進み、陪審評決を受けるというのは、それ自体が、訴訟の戦略に大きく影響する選択だということがよく分かります。

こういうニュースに触れると、陪審評決は、本当に読み切れないんだな、ということを痛感しますね。
原告にとっても被告にとってもリスキーな選択肢であることは間違いありません。

面白いのは、陪審員へのプレゼンで、原告側代理人が、レゴで作った橋を使用したとされていることです。橋桁の部品の一つに薬局をたとえ、たとえ小さな役割だったとしても、橋桁の2~3の部品が腐っていたり間違った場所にあったりしたらどうでしょう?とその場で陪審員に問いかけてから、軽くレゴ橋の橋桁を叩いて、陪審の目の前で崩壊させたそうですよ。

視覚的に分かりやすいですが、このレゴ橋のモデルと法的理屈との関係ってどうなのかな、言いたいことは分かるけれどイメージ先行じゃない?このレゴ橋が壊れたからって薬局の責任があるってことになるんでしょうか?、等と被告側代理人の立場になってドキドキしますね。日本の裁判所でこのような立証が許可されるのか、興味深いです。

ただ、被告の3社は、今回の評決をpublic nuisanceの解釈を誤った違法があるとして控訴して上級審で争うとのことなので、今後の展開にも注目です!






Last updated  2021.11.29 09:50:00



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