2021.07.10

テキサス州:中絶に関する新たな法律が成立

テキサス州で、妊娠6ヶ月以降の中絶を実施したクリニック、医師、手助けをした人を、州当局が規制できなくする代わりに、一般市民が当該関係者を訴えることができ、違法な中絶と認定された場合は、原告となった市民が10000ドル(約100万円)の報奨金を得られる、とする法律が施行されるそうです。

https://www.nytimes.com/2021/07/09/us/abortion-law-regulations-texas.html?referringSource=articleShare

実際に被害を受けたわけではない市民に、不公正な商取引や虚偽情報を流布している企業を訴える権利を与えている州は確かにあるそうですが(例えばカリフォルニア州)、州が規制できないものを一般市民が事実上規制できるとする法律に基づき訴訟が行われるという形態は前例がなく、裁判所がどのようにこのようなケースを扱うかが注目されています。

背景事情としては、アメリカにおいて、中絶をする権利の有無は、宗教的信念と結びついて常に論争の的であり続けており、一般的に保守層は、中絶絶対反対、という考え方を持つ方が多いのですが、テキサス州は中絶反対運動が激しい州のひとつであるということのようです。

…率直にすごく萎縮効果のある法律だなあっていう気はしますね。テキサス州のクリニックはいつも見張られているような恐怖の中、日々の業務をしなければならないですものね。

弁護士的視点からは、この法律に対応していくための具体的方法が注目です。州の規制であれば、その規制が憲法違反かどうかという観点から争う法律構成が可能であったものの(そして現にこれまで中絶を実施したクリニックの代理人弁護士は、そのような戦略を取り、州裁判所ではなく、この種の訴訟の勝率が高い連邦裁判所に持ち込んで闘ってきたそうです)、敢えて州の規制を外されたことで、新たに導入される法律の問題性をどのような法律構成で争っていけば良いのか戦略が必要となり、クリニック側の代理人弁護士たちは対応を検討中という状況のようです。

このニュースには、州毎に異なる法律が適用される連邦制国家であること、州裁判所と連邦裁判所の特性の違い、依頼者を守るための弁護士の戦略の立て方等、多くの興味深いトピックが含まれていると思いました。今後どうなっていくのか注目していきたいです。






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Last updated  2021.07.10 06:39:42