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リハビリ終了
Jul 12, 2019
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まだ夜のなごりが残る朝もやの中、黒い影が地面をゆっくり転がるように川沿いの小道を進んで行く。

昨夜からの雨が上がったばかりで草むらはすえた匂いを放ち、細く長い葉を伝って雨粒が葉先に達すると一瞬のためらいとともにぽたりと地面に落ちた。

黒い影は歩みを止めてふとその場に立ち止まった。

「おやっ、これは何だ?」

黒い影は足元に見つけた銀色に輝く3センチばかりのペンダントのような物を咥え上げると、自分の翼の上に乗せてまじまじと見つめた。

この黒い影は翼があるところを見ると恐らく鳥の仲間だろう。

しかし、こんなブヨブヨのパンクしたサッカーボールのような鳥などいるだろか?

鳥というよりむしろ・・・・

 

「おい待て、むしろ?むしろ何なんだ?」

突然その黒い影が話しかけて来た。

「俺が何だと言いたいんだ?犬か?猫か?」

「い、い、いえ。鳥さんですよね・・・・・・・た、た、多分。」

「多分も気分もない。俺は鳥だ。ハトという鳥だ。」

「ハト?あの公園によくいるあのハトですか?ハトって中型の鳥さんですが、あなたはとてもハトには・・・・」

「ハトには見えない?だが俺はれっきとしたハトなんだ。名前をトットという。」

「ト、ト、トットさん?」

「お前なあ、作者のくせに俺の名前を知らないのか?それじゃ作者失格だ。」

「すみません。一応トットさんの続編で初対面という設定になっているもので。えっ?この話のタイトルが『太っちょポッポのトットさん』になっているって?それもそうですね、では今度から『太っちょポッポのトットさん2』にします。」

「お前さっきからボソボソ何言ってんだ。くだらん会話で無駄に時間を稼ぐんじゃねえ。さっさと話しを進めねえか?」

というわけで・・・・

 

その銀色の物体は朝日を鈍い輝きに変えて翼の上に横たわっていた。

トットさんはそれを覗き込むと言った。

「何だこれは。ちょっと散歩に来て、面白いものを見つけたぞ。金になるかなあ?」

よく見ると何か文字が刻まれていた。

だが泥がこびりついていて読むことが出来ない。

そこで彼は翼の先で拭ってみたが、泥はなかなか落ちなかった。

そこでもっと力を込めてゴシゴシこすった。

するとようやく読めるようになったので読んでみると。

『ここをこするとあなたは幽霊になります。そして私はあなたの体をいただきます。』

「えっ!?なんだよおっかねえ。冗談じゃねえ、幽霊になんかになってたまるか。」

そのとき後ろから声が聞こえた。

「そんなこと言ったってあなたもう既に幽霊になっていますよ。」

トットさんが振り返るとそこには、パンクしたサッカーボールのような塊がうずくまっていた。

「なんだこの醜い生き物は?」

彼はそうつぶやくと目を近づけてよく見ると、どこかで見たような顔だった。

彼は必死に思い出そうと頭の中をかき回した。

そして気づいた。

「そうだ、この顔はおれがいつも顔を洗うときに見る顔だ・・・・・」

そこまで言って思わず叫んだ。

「お、俺だ!」

「そうですあなたです。ちょっと前まで。でもあなたさっき霊納ペンダントこすったでしょ?だから私があなたの体をいただいたのです。そしてあなたは私の代わりに幽霊になってそのペンダントの中にいるのです。」

「何、訳の分からないこと言ってんだ。」

そう言ってトットさんは目の前のブヨブヨのハトに近づこうとして青ざめた。

歩く感覚も、そのハトにつかみかかる感覚もないのだ。

いやそもそも、感覚自体がないのだ。

そして気づいた。

「奴の言っていることは本当だ。」

「ようやく分かったようですね?そうです、私とあなたは入れ替わったのです。でもなんだこの不細工な体は。やっと生身の体に戻れたのはいいのだが、これはあまりにも惨い。おまけにハトのくせに飛べないと来ている。」

「やかましい。他人の体を横取りしておいて勝手なことを言うな。」

トットさんがかみつくとそいつは言った。

「横取りとは人聞きの悪い。ちゃんとあなたはペンダントに書かれた注意書きを承知でこすったんですよ。」

「泥で汚れていたから拭ったらそう書いてあったんだ。これは詐欺だ。」

「読んでからこするか、こすってから読むかは関係ありませんよ。書いてあるのは単なる注意書きですから。」

そういってトットさんだった誰かは、ペンダントを首に掛けた。

「首に掛けとかないと私の魂は体を離れてどこかへ行っちゃうもんでね。」

そう言ってトットさんだった誰かは久しぶりの現実の世界を探索に出かけた。







Last updated  Jul 19, 2019 12:43:12 PM
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