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マスP文庫

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2021.11.28
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「地球に行く前にアレ=デ・ランって星に寄ってみようと思うんだ。」

グーはトットさんたちに言った。

「アレ=デ・ラン?どんな星なんですか?」

ジョンピーが尋ねるとタラが答えた。

「アレ=デ・ランは平和な星で、そこにある物を届けて欲しいと友達に頼まれたんだ。」

 

ビリノン星にはエントランス・センターがあり、そこをくぐるだけで星のどこへでも行けるのだが、さすがに5千7百光年離れた星間でのエントランス・システムは開通していなかった。

それにはまさにブラックホール級のエネルギーが必要になるからだ。

 

タラが言った。

「アレ=デ・ランにはベイロという爺さんが住んでいて、その孫が自分で書いた爺さんの似顔絵の実物をそのまま送りたいそうなんだ。今度俺たちが地球へ行くって言ったら、その途中にこの絵を届けてくれないかと頼まれたんだ。ほらこれだよ。」

そう言ってタラは小さなチップを見せた。

「何だいこのかけらは?どこが絵なんだ?」

トットさんの目の前でタラがそのチップをちょっと捻るとたちまち広がってちょうど画用紙くらいの平らな白い板に変形した。

グーがその板を指先でトントンと軽く3回たたくと、瞬く間に絵が現れた。

それは独特の色遣いで、一人の人物の顔が描かれていた。

「これがベイロってお爺さん?」

ジョンピーが尋ねた。

「この孫は絵を描く素質が凄くて、ビリノン星でも大人気の画家なんだ。まだ6歳だけどね。」

グーが言うとタラが続けた。

「それがアレ=デ・ラン星のベイロ爺さんの絵を描いて送るのだから、それを聞きつけた宇宙の盗賊たちが、それを奪って高値で売ろうと狙っているらしいんだ。そのベイロ爺さんはベイロ・オーガンナといって、宇宙国家でも有名な政治家で偉人と称えられている人物だけど、孫にとっては単なる大好きなお爺ちゃんて訳さ。」

「ふーん。でもなんだか物騒な話しだな。宇宙にも盗賊がいて、それを狙っているのか?」

トットさんに継いでジョンピーも相槌を打ちながらタラを見上げて言った。

「そんなに大切な物ならシロネトヤマコ・スペース・ロジスティックスに護衛付きで配達してもらえばいいのに。」

「そんなに大げさにするとかえって目立つから、俺たちの手作りおんぼろ宇宙船に頼んだってわけさ。」

 

「本当に大丈夫なんだろうな?おっかねえことは御免だぜ。」

トットさんが言うとグーとタラは自信ありげに大きく頷きながら、

「絶対、必ず、誰が何と言おうと、正真正銘、神に誓って、100%大丈夫だ。」

きっぱりと言ったが、最後にぼそっと付け加えた。

「・・・・多分。」

 

「ん?」

最後の言葉にトットさんは一抹の不安を感じたが、宇宙発展レベル2の地球になんか誰も行こうともせず、唯一グーとタラたちが送ってくれるというのだからそれ以上は何も言えなかった。






最終更新日  2021.11.28 00:00:17
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2021.11.25

カナイドに向かう途中ワームホールで黄色いデブリバトに出会い、彼についてなんと170万光年に離れたビリノン星にやって来たトットさんとジョンピーはビリノン星でグーとタラに再会し、ビリノン観光を終え、さあ地球に帰ろうとしたところ、あろうことかワームホールの入り口は消滅してしまっていた。

いくら気まぐれなワームホールといっても、さあ帰ろうかというときに消滅してしまうとは。

「でも中にいるときでなくて良かったじゃないか。そんなことになったら永遠にワームホールの中に閉じ込められてしまうことになるんだよ。」

タラの言葉にトットさんもジョンピーも鳥肌が立つ思いだった。

 

もっとも元々鳥なのだから鳥肌なのは当たり前だ。

 

今までそんなことなど露にも思わず気楽に中を行き来していたとは・・・・

 

「トットさん、僕たちどうしよう?」

ややあって、気を取り直したジョンピーはトットさんに尋ねた。

「どうするかって、どうもこうもねえだろう。帰る道が亡くなっちまったんだ。」

「トットさんはいいよ、仲間のデブリンバトがいるから・・・」

ジョンピーの言葉にトットさんはブヨブヨのやかんのような体を震わせて、

「お、お、俺は地球のドバトのトットさん・・・・」

やかんが沸騰して、今まさに弾けようとしたところににグーが割って入った。

「まあ、まあ君たちそんなに揉めないで。地球までのワームホールが亡くなってしまったけど、宇宙船組み立てキットで俺たちが組み立てた『俺たちゃ一番号』でも15標準日ほどでつけるんだぜ。何なら送って行ってやろうか?」

グーの言葉にトットさんとジョンピーは目の色を輝かせてうなずいた。

「でも俺たちは宇宙国家の色々な所で行われるイベントに乗り込むためにこの宇宙船を作ったんだ。だから悪いけど所々寄り道させてもらうけどいいかい?」

このタラの言葉にも二人は、いつか故郷の地球に戻れるのならこの際、宇宙旅行ができることを喜んだ。

 

だが思い出して欲しい。

 

そもそもグーとタラの宇宙船は故障して地球に不時着し、そこで出会った宇宙国家のオノ星のジョンジさんの助けで地球を飛び出せたものの、今度はボチコレオ星という最低レベルの宇宙国家加盟星でぼったくりにあいながら、どうにかビリノン星までたどり着いたのだ。

彼らの行くところトラブル続き、果たして無事二人は地球にたどり着くことはできるのだろうか?

 

「『果たして無事二人は地球にたどり着くことはできるのだろうか?』ってマスPお前が書くんだろうが?くだらん話に俺たちを巻き込むんじゃねぇ!!」

またまたトットさんは哀れなマスPに食ってかかった。

「それはそうなんですが、そうしないとこのお話進まないじゃないですか?」

「トットさんとジョンピーはグーとタラに地球まで送ってもらったとさ、ジャンジャン!

これでいいんだよ。」

マスPの言葉には耳も貸さずトットさんは喚いた。







最終更新日  2021.11.25 00:00:16
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2021.11.21

「なんだか可哀そうな気がするね、解剖されちゃってさあ。」

ジョンピーはつぶやいた。

 

ビリノン星でグーが言った作戦とは・・・・・

生物を細胞レベルまで丸々コピーして脳細胞に行動をプログラムして本物と同じような動きをするおもちゃを作るのが最近ビリノン星で流行っていた。コピーとは言っても有機組織を組み合わせるだけで、組み合わされたコピーには感情や意志はなく単なる人造肉にすぎないのだ。それに行動プログラムを埋め込むとあたかも本物の生物の様に動くのだった。

 

「お前、俺の方が解剖されればよかったのにって思ってんじゃないだろうなあ?」

トットさんはジョンピーを睨んで憎々し気に言った。

「でもトットさん。地球で起きた未知の生物騒動も単なるデブのハトだったという事が分かって、これで晴れて大手を振って街を歩けるんだよ。」

ジョンピーの励ましとも侮辱とも取れる言葉にトットさんは顎をわなわな震わせた。

おまけにお腹のお肉もわなわなと波打った。

 

そんな二人にタラが割り込んだ。

「君の複製を作ったときについでに調べたんだけど、DNAは確かに地球のハトだったよ。だから君は単なるデブのハト!」

またもやおちょくられたトットさんだが、怒るのも忘れて安堵の表情を浮かべた。

 

折角地球から170万光年離れたビリノン星に来たので、トットさんとジョンピーは星を見て回ることにした。

宇宙標準発展レベル8のビリノン星は見るもの、聞くものすべて驚異に満ちており、人々のちょっとした生活が地球ならSF映画でしか見ることのできない光景だった。

 

星の各地にある名所や施設に行くには、エントランスゾーンという場所に行けば、そこにある入り口を通って星の反対側にも一歩踏み出すだけで行くことが出来る。
飛行機なんていらないのだ。

まあ人工的なワームホールみたいなものだが、今回の地球とビリノン星を結ぶ天然のワームホールには、高度な科学知識を持つ宇宙国家にとっても驚くべきことであり、早速、関係機関の調査が始ったほどだ。

 

それはさておき、ビリノン星の驚異の世界を一通り見終わったトットさんたちはそろそろ地球に戻るために、ワームホールのあるオキ・ラ・クー島に戻って来た。

 

グーさん、タラさん色々案内してもらってありがとう。

地球に戻ったら自動翻訳機がないから人間に教えることはできないけれど、遠い将来地球も宇宙国家に加盟できるほど発展すればいいなあと思います。

ジョンピーの言葉が翻訳機を通してグーとタラに届いた。

「君たちの地球のレベルはまだ2だけど、一旦壁を超えると結構早いもんだよ。レベル7に達したら宇宙国家に間違いなく入れるさ。ただし、発展レベル7以上であることの他に平和であることが絶対条件だけどね。」

タラが手を差し出すとジョンピーは翼を差し出し握手をした。

「トットさん、地球に戻っても単なるデブのハトで通るからもう安心だよ。」

グーの言葉にトットさんはむくれて言い返した。

「デブのハト、デブのハトってうるせえなあ。」

 

トットさんはまだ何かブツブツ言いながら、デブリンバトが転げまわっている原っぱの中に押し進んで行った。

「こら!どけ!どけ!」

トットさんがデブリンバトを蹴飛ばすと、それが面白い、自分も蹴飛ばして欲しいと後から後から押し寄せて埒が明かなかったが、どうにか最後のデブリンバトを蹴飛ばして、さあワームホールの入り口だと思った途端。

 

「じゃあ地球に帰ろうか・・・あれ?」

 

みんなは一斉に叫んだ。

 

「あれ?あれ?あれ~?ワームホールの入り口がな~い!!」

 







最終更新日  2021.11.21 00:00:18
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2021.11.18
カテゴリ:カテゴリ未分類
辺りは暗く時折通り過ぎるライトの光と足音以外は虫の声とそばを過ぎ去る車の音だけになった深夜の公園で何かが木のほこらで蠢いていた。
その何かはほこらに引っかかる体をむずむずと引き抜くように這い出すと根元にドスンと落ちた。
耳を澄ますと今は静かだった。
彼は巨体をゆすって生垣の隙間をすり抜け遊歩道を横切り、草むらに身を隠しながら超美人の妻と3人の息子とひとり娘が待つ我が家に足を急がせた。
しかし、その巨体はどうしようもなく走っているというより転がっていると言った方が良いくらいだった。
必死に走る彼は向こうに見え始めた我が家の明かりに希望が湧いてついつい我を忘れてしまった。
もうここまでくれば追手も来ないだろうと最後の原っぱを横切り始めた時、急に目の前が明るくなり、その明かりの中心に巨大な影が映っていた。
「おーい!いたぞ!未確認生物だ!」
後ろからけたたましい声が聞こえたくさんの足音が地響きを立てながら近づいてきた。
彼は彼の持てるだけの力を振り絞って家に向かって走り始めた。
ムギュムギュ、ボアボア
体の隅々の贅肉がこすれ合い、波打ちあって奇妙な音を立てた。
あともう少し、あと一歩・・・・
と思ったその時、急に顔に何かが覆いかぶさって来て前のめりになり、自ら捕獲網に絡め取られるように網の中に転がり込んでしまった。
足を蹴り、羽をばたつかせ、首をねじり、声を限りに叫んだがすべては無駄だった。
やがていくつもの手が彼を取り押さえ、もう目を剥いて自分を照らすライトに瞬きするくらいしかできなくなった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
NHK19時のニュース
「昨晩発見された未確認生物が今日16時から世界各国から集まった学者の立会いのもと解剖されました。ではこの生物の解剖を担当した東京大学の大場かな子教授の記者会見の模様です。」
-----
会見の映像が流れ始め、進行役が彼女を紹介した。
「では東京大学農学部教授、オオバカナ、コさんより解剖の結果を発表していただきます。」
進行役は彼女の名前の『かな子』を『かな』と間違えて言ってしまい慌てて『子』をつけて呼んだのだ。しかし逆にこれが悪く、彼女の鋭い非難の視線に動揺してたじろいだ。
そしてようやく会見の映像は終わった。
-----
「全世界を興奮と好奇心の渦に巻き込んだこの生物は、実は単なる太り過ぎのハトだと分かり担当者は一様に落胆の色を隠せない様子で、あっけない結果に終わり一時は大騒ぎしたメディアも一斉に撤収を開始しました。」
NHKのアナウンサーは淡々とニュース原稿を読み上げ、最後に言った。
「次は明日のお天気です。」






最終更新日  2021.11.18 00:00:20
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2021.11.14
カテゴリ:カテゴリ未分類

真っ白に輝く超ミニワームホールの出口を抜けたトットさんたちはしばらく目がくらんで何も見る事が出来なかった。

東京のど真ん中で見つかった未確認生物の一体を解剖して詳細な調査をしようと白羽の矢が当たったトットさんは追っ手を逃れツノムクドリのビッキー・ポーに案内されワームホールを抜けて時空のねじれの隙間にできた町カナイドに向かう途中、見かけぬ黄色いデブリンバトと遭遇し、そのデブリバトがやって来たビリノン星に身を隠すことになり、ここまでやって来たのだ。

付き添って来たトットさんの相棒のジョンピーも何か聞き覚えのある星の名前だとは思いながらも一行についてやって来た。
つのムクドリのビッキーはこのことを伝えに一人カナイドへ帰って行った。

先頭を行く黄色いデブリンバトは何事もなかったようにワームホールの出口を出ると、何事もなかった様に仲間の中に吸い込まれて行った。

ようやく目が慣れて来た一行は次第に目の前に広がる景色に驚きの声を上げた。

なんと見渡す限りデブリンバトがいて、ふざけ合い、じゃれ合い、歓声を上げては転がりまわっていたのだ。

「なんだこれは。デブリンバトだらけじゃないか?カナイドだってこんなにはいないぞ。」

カナイドに住むツノムクドリのビッキーは感嘆の声を上げた。

「トットさんがいっぱい!!」

一緒についてきたカナイドのデブリンバトは嬉しそうに飛び跳ねながら叫んだ。彼らは大昔に超ミニワームホールを通ってカナイドに来て住み着いたため、自分たちの故郷を見るのは初めてだった。

「どこが俺なんだ?おれはドバトのトットさんだ!」

トットさんはもうどっちでも構わない事をがなり立てて大声でどなった。

すると周りにいたデブリンバトはこのトットさんの怒鳴り声が面白いと集まり始め周りを囲み、ついには重なり合い、最後には山の様になってしまった。

「トット、トット、おっとっと~!」

こう言ってデブリバト達はもうなぜここに来たのかも忘れてまたはしゃぎ始め、その山は次第に大きく高くなっていた。

とその時、上の方から何か振動が伝わって来て徐々にデブリンバトが散らばり始め再び青い空が見え始めた。

 

トットさんもジョンピーもホッとため息をついたその時、何かがトットさんに飛びついて来た。

トットさんはそれが犬だと分かり大声で怒鳴った。

「何すんだ、このバカ犬め!!」

犬はトットさんの剣幕に驚いで転げる様に引き返して振り向いて思わぬ事を口走った。

「あれっ?おやつ?あなたもしかして、もしかしてトットさん?」

その時トットさんの後ろからも声が上がった。

「思い出した!そうだ、グーとタラさんとカナイドで会った時に出身星はビリノン星だって言ってたんだ。」

そう叫んだのはジョンピーだった。

「なに、なんだと。ここはあの宇宙人たちの星か?そう言えば何で奴らの星に住むデブリンバトがこんな所にいるんだ?とか言っていたなあ。」

トットさんもようやく思い出して言った。

そんなやり取りをしていると地球犬ジャスティンの後ろから見慣れた顔が次々とやって来た。

グーとタラ。オノ星人のジョンジさん、カシゴマ星人のコナさん、チグマヤ星人のピーマスさん達だ。

「おやおやそう言う事だったのか?デブリンバトたちは超ミニワームホールを抜けてカナイドに行っていたのか?」

タラは言った。

「それにしてもこんな所に超ミニワームホールの入り口があるとは大発見だ。」

グーも同意した。

そして、

「へえ、そんな事があったのか?まあトットさんならデブリンバトと間違えられても仕方がないけど・・・・」

「何を~!?」

ピーマスさんの一言に怒鳴り返そうとしたトットさんはジョンピーに押しとどめられた。

「トットさんここに住むのかい?だったら仲間がいていいじゃないか?」

「言わせておけば~!?」

今度はタラの言葉に切れまくるトットさんをビッキーがなだめた。

「でも地球が故郷なんだから出身星がどこでも帰りたいんじゃないかな?」

コナさんまでこんな発言をする始末で、もうジョンピーとビッキーでトットさんを抑えるのでやっとだった。

「そうだ良い事がある。トットさんを解剖してもらおう。」

グーの言葉にトットさんの目の前は真っ白になり、後ろにひっくり返ってしまった。







最終更新日  2021.11.14 00:00:20
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2021.11.11
通い慣れた道と言えど、ジョンピーとトットさんとデブリンバトたちを連れて、カナイドまで続く超ミニワームホールを案内するツノムクドリのビッキーポーは慎重に歩いていた。
1人でも迷子になれば、その不幸者は永遠に闇をさまようことになりかねないからだ。
しかし、道もそろそろ終わりに近づき遠くにブラックホールの出口が輝いて見え始めた。
光をも飲み込む無限の暗闇のブラックホールは内側から見ると逆に光り輝いているのだ。
ビッキーはトットさんたちにあともう少しだと伝えるために振り返ったとき奇妙なものを見つけた。
なんとデブリンバトの中に黄色いデブリンバトがいるのだ。しかも一羽多い。
彼は不思議に思い声を掛けた。
「君はどこから来たんだい?カナイドでも見かけない色だけど。」
だがそのデブリンバトは訳の分からない言葉でギーギーガーガー言うだけだった。
するとそばにいた別のデブリンバトがこう言った。
「こいつ今朝ビリノン星を出てきたんだと。」
「ビリノン星?」
ジョンピーが聞き返した。
「どこかで聞いた名前だなあ。」
「ところで君はなぜこの言葉がわかるんだい?」
ビッキーが聞くと驚くべき答えが帰ってきた。
なんとそのデブリンバトも5年前にビリノン星からやって来て、結構そういうデブリンバトも多いのだそうだ。
なぜそのことをカナイドに報告しないのかと聞くと、聞かないからだとデブリンバトらしい返事が返って来た。
カナイド1000年の歴史でも初めての発見だった。
その黄色いデブリンバトが言うにはビリノン星に案内するとのことだった。
案外トットさんが隠れるにはいい場所かもしれないし、興味もあり行ってみることになった。
トットさんはほとんどデブリンバトだし・・・・・
「何?俺が、なんだって?えつ?」
トットさんはいつものようにマスPにかみついた。






最終更新日  2021.11.11 00:00:19
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2021.11.07
「トットさん!無事でよかった!」
思わず叫んでネコのマリリンさんはハトのトットさんに飛びついた。別に食べようという訳ではない。第一こんな物食べたくもなければ、食べれば食あたりは免れない。それに脂肪ばかりで美容にも悪いだろうし・・・・・
「なんだとマスP。ここは感動の再会の場面だぞ、感動的に書かなきゃならない時じゃねえか?しかも今度の事はお前が作り出したことだろう?だからお前は作家としては五流なんだ。お蔭でこっちはいい迷惑、危うく解剖されるところだったんだぞ。」
(二流、三流、四流飛び越えて五流ですか?ちょっとそれはあまりにも・・・・・)
「ジョニーさんもマリリンさんも、二人の子供たちもありがとうよ。無事にここまでたどり着けたのもマリリン一家のお蔭だぜ。ネコ牧場一家にも、セキセインコのはなにも何てお礼を言えばいいか分からないぞ。」
トットさんは自分を救い出してくれた仲間たちに感謝してもし切れないくらいの言葉をはち切れんばかりの体にあふれさせた、
「・・・・マスP、分かってるな!」
(あっ、はい、調子に乗るとつい書き過ぎちゃいます。)
マスPは悲しい目をパソコンに向けるとキーボードを打つ手をためらった・・・
「お前の事など書く必要はねえ!!!!」
トットさんはついに切れた。
「トットさ~ん!!」
その時遠くからたった四日ぶりだが妙に懐かしい気もする呼び声が聞こえた。トットさんの無二の相棒ジョンピーがトットさんの子供たちの連絡網からの知らせで駆けつけたのだ。
「トットさん、けがはない?大丈夫?」
「ああジョンピー、この通りピンピンしてるぞ。途中脱走に気付いた職員たちが追いかけて来たけどジョニーさんがうまく囮になって巻いてくれたし、マリリンさんの子供たちが俺を担いで運んでくれたし、本当に感謝している。ところで隊長さん?俺はこれからどこに行けばいいんだ?」
ジョンピーは計画を話した。
「これから総武線の電車の屋根に飛び乗ってトットさんの家まで帰るんだけど、そのままいたんじゃまた捕まってしまう。ここはしばらく姿を消すために公園の超ミニワームホールを抜けてほとぼりが冷めるまでカナイドで暮らしてもらおうと思うんだけどいいかな?」
トットさんは渋い顔をして言った。
「えええ?このデブリンバトの奴らと一緒にカナイドに住むのか?」
そう言って彼はデブリンバトを見たが、生来楽天的なデブリンバトは大喜びだった。
「トットの兄さんと一緒、一緒。ワ~イ、ワ~イ。」
トットさんは仕方がないかとあきらめつつふと不安な事に気付き尋ねた。
「でもあの入り口にどうやって近づくんだ。公園は警戒されてるんだぞ?」
ジョンピーはニコリとして言った。
「そこは大丈夫さ。レオとさくらが監視しながら、通り道を探してくれてるよ。こっそり行けるようにね?」
「何?レオとさくら?あいつらも俺のために来てくれたのか?」
トットさんは柄にもなく涙ぐみそうになった。大体トットさんに涙なんて・・・・・、
「涙なんて何だって言うんだマスP?ほんとにお前ってやつは。ここはしんみり感動的なシーンなんだぞ。下らねえ文章書くんじゃねえ!」
それなら自分で書けばいいじゃないかとマスPは思うのだった。
それはさておきマリリンさんたちに電車の屋根まで担ぎあげられたトットさんはようやく東京の自宅近くの公園までやって来た。そこには彼の超美人の奥さんと息子三人と、娘がやって来ていた。
「あなたどこに行ってたの?また皆さんにご迷惑をかけてまったく。」
超美人の奥さんはいつもの口調でトットさんに言った。
「急いで。捜索隊がやって来たわ。」
上空で監視していたナンキーさんが舞い降りて来て言った。
「俺がしばらくいなくなっても悲しまないでくれよな。」
トットさんは奥さんに言ったが、奥さんはいつもの事なので別段気にもしない様に素っ気なく頷いた。
「トットさんこっち、こっち。」
「私たちが案内するわ。」
「おお、レオとさくらじゃねえか?お前たちもありがとうよ。」
レオとさくらが事前に調べ上げた秘密の経路を通ってどうにかワームホールの入り口までやって来た。
その時近くを捜索隊の投げかける電灯の明かりがかすめて行った。すかさずレオが飛び出して捜索隊員たち股の間を潜ると反対方面の藪に飛び込んで行った。捜索隊員たちがそちらに気を取られている隙に、トットさんとデブリンバトたちは入り口の中に放り込まれるように落ちて行った。
「トットさん無事でよかった。デブリンバト君たちも。」
中で待っていたツノムクドリのビッキーがホッとしたように言った。
「ここからは僕が案内するよ。」
ビッキーに案内された一行はカナイドに向かって進んで行ったが、ビッキーはふとデブリンバトに振り向きおかしな事に気付くのだった。






最終更新日  2021.11.07 00:00:20
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2021.11.04
晩夏の夕暮れもさすがにおさまり辺りが闇に包まれる頃、六つの光る目が一点を見つめていた。その視線の先には薄暗い蛍光灯がちかちかと断末魔の最後の光を裏門に投げかけていた。やがて六つの目は小さな羽ばたく点を見定め、頃合いは今と藪の中から一目散に駆け出した。
「あら時間通りね?さすがだわ。途中危ない事はなかった?」
そう言ったのはまめっちの同居人でトットさん救出作戦の情報収集の役を買って出たセキセインコのはなさんだった。
「全然問題なしさ。うちの活きのいい奴を二人連れて来たから大丈夫うまく行くさ。」
そう言いながらニヤリと笑って後のふたりと頷きあったのはネコ牧場さんのリーダーミッシェルだった。活きのいい奴らとは元祖暴れん坊将軍クロちゃん、暴れん坊将軍跡継ぎのトート君である事は疑いようもない。
「トットさんの危機だものネコ牧場のママに『脱走しちゃダメでしょっ!』って叱られても構わないよ。」
そう言ったのはキジトラ猫のクロちゃん。
「トットさんって会ったことないけど、思う存分暴れられるなんて滅多にないから、来るなって言われても来ちゃうよ僕。」
クロちゃん同様外猫の経験があるトート君は端正な顔に腕白小僧の表情をベッタリ貼り付けて言った。
「三人ともよろしくね。守衛たちはNHKの大河ドラマ「青天を衝け」に見入っているから大丈夫。さ、こっちよ。」
はなさんの案内でほどなく三人はトットさんが捕えられている外来生物保管室の扉までまでやって来た。しかし扉には錠がかかっておりすんなり入れそうもない。困ったミッシェルははなに尋ねた。
「はなさん、お前さんはどこから出て来たんだい?」
はなさんはニコリと笑い上を羽でさした。
扉の上には小窓があり、内側にかたむけて外との換気を取る様になっていた。
「トート、早速お前の出番だぞ。」
ミッシェルは目くばせした。
トート君は早速やって来た大暴れのチャンスと、ネコ牧場家のキャットタワーで鍛えた技の見せどころと目を輝かせた。彼は周りを見回すと3メートル離れた所に良い頃合いの棚が目についた。すぐに10メートルばかり向こうまで走ると振り向き、息を整えおもむろに走りだし一気に加速すると突然ジャンプし、その棚の上に跳びあがり、更にジャンプして見事はなさんが出て来た小窓に飛びつく事に成功した。爪をいっぱいに伸ばし窓枠にしがみつくと後ろ脚でがりがり壁を引っ掻きながら窓枠の隙間に前足をひっかけ頭を突っ込んだかと思うと、二、三度足をばたつかせながら小窓の向こうに姿を消した。
ミッシェルとクロちゃんはこの末弟の離れ業にはさすがに驚きながら目を見合わせたが、まもなくカチャッと内側から錠の開く音を聞き扉に向かった。
「クロ兄ちゃん、僕が中からドアを押すからドアのノブを回してくれないか?」
トート君の言葉に今度は自分にも大暴れのチャンスが巡って来たクロちゃんはニンマリとした。彼は腰を沈めると狙いを定めてドアのノブに飛びつくと、滑るノブに前足をひっかけ、捕まる足場もないドアの上をカシャカシャと後ろ足で引っ掻いて体を支えながらノブを徐々に回して行き、内側からトート君に押されたドアは徐々に開き始めた。
ドアが開くとクロちゃんはノブから飛び降り、すぐさま中に飛び込んで行った。
その後をこの二人の弟たちの離れ業にあきれた様に首を振りながらミッシェルが続いた。
部屋に入った三人と一羽はずらっと並ぶ檻を見渡した。
はなさんは直ぐにカギ掛け用のボードからトットさんの閉じ込められている檻のカギを下に落とした。ミッシェルはすかさず受け取るとクロちゃんに託した。ミッシェルは役目を終えたはなさんに叫んだ。
「はなさん、他のカギも頼む。トットさんが逃げ出した後、他の奴らも逃がしてここを大騒ぎにするんだ。俺たちの逃げる時間が稼げるからな。」
はなさんはセキセインコが豆鉄砲を食らったようなポカンとした表情をしていたが、いたずらっぽい目でニコリと笑い、今年九歳になるミッシェル君の知恵に感心した。
「おおミッシェル久しぶり、この度は助かった。ありがとう。」
そう言ってノシノシ現れたのは太っちょポッポのトットさん。
「おお、すまんすまん。ありがと、ありがと。」
そう言って現れたのはいつも能天気なデブリンバトたちだ。
「トートお前ははなさんといっしょに、トットさんたちを息子3号が待つ連絡地点に行き、マリリンさんのご主人のジョニーさんに駅まで送ってもらうんだ。」
ミッシェルの指示にトート君は頷くとトットさんたちを連れて部屋から抜け出して行った。
「さあクロ、これからもう一仕事だ。」
そう言ってミッシェルはクロと手分けをして他の檻の扉を開き始めた。






最終更新日  2021.11.04 00:00:20
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2021.10.31
デブリンバトとともに人間に捕まったトットさんを救出するために状況確認と情報収集のために、彼が捕らえられている場所を知るテレビ局に忍び込む役を買って出たセキセインコのはなさんは早速まめっちの住む埼玉から飛び立った。
はなさんからの報告はテレビ放送の中で、動物にしかわからない言葉で伝える事になった。
その放送がいつあるかは分からないためフジコとソロたちのCIA(Cat Inteligence Agency)で全局のニュースをモニター監視する事になった。
半日後・・・
そのCIAから録画映像がメールで届いた。
皆さん今からはなさんからの情報をお聞かせします。どうか冷静にお聞きください。
まめっちはそう言ってCIAから送られてきたニュースを再生した。
その内容を聞き進むにつれ全員の表情が険しくなるのが分かった。
*―――――――*
7時のニュースです。
先日東京の公園で発見された今までに知られていなかった生物に関する新たな情報が入りました。現在世界から希少動物に関する専門家を中心に遺伝学、生物学、生理学などの権威が世界中から集まり今後の調査方針について検討されています。
まずはこの東京新生物解明プロジェクトのリーダーの武来見(ぶきみ)さんのお話をお聞きください。
「今回の東京新生物解明プロジェクトでは東京の真ん中で今まで知られていなかった生物が突然発見されたことについて別の場所から連れてこられた可能性が高いという結論に達し、場合によっては宇宙から運ばれた可能性まで念頭に入れて慎重に調査を進める方向です。
CTスキャンによる調査結果では今まで地球では確認されていない生体構造を持つらしいことが分かっています。個体は7体。生理学専門分科会では実際に一体ほど徹底的に解剖してその未知の器官の詳細を確かめようという意見があがり、他の6体は我々の存在にも至って無頓着でじゃれ合っていますが、残ったやたら騒がしい個体がおりそれが候補に挙がっています。それがその候補です。」
*―――――――*
映像は武来見リーダーの顔から新生物の映像に切り替わった。
映像は逃げ出したペットが野生化した外来動物が集めれている保管所の内部が写し出された。カメラは部屋の中を移動し、オオハシやインコなど極彩色の中南米に生息する鳥の入れられたカゴのそばにある問題の生物たちのカゴへと移った。
カゴの真ん前では仁王立ちするその問題のやたらやかましい個体が動物にだけ分かる言葉で叫んでいた。
「おいこら、俺はデブリンバトなんかじゃねえ。ドバトのトットさんだ。いい加減にここから出せと言っているんだ。分からねえのか?」
やたらやかましい個体が誰だか誰もが判っていたが、いざその対象が映し出されると、トットさん救出部隊の全員から動揺のうめき声が漏れた。
「トットさん、どうか静かにしていておくれ。」
マリリンさんは画像に向かって必死に訴えていた。
そのとき映像のなかからこれまた動物にしかわからない言葉で音声が流れた。
「ここは千葉県にある外来生物保管所よ。解剖は2日後の13時からの予定よ、明日のよる8時にここの裏門まで来て頂戴。私が案内するからみんな急いで。」
それは隣のカゴにいるはなさんの声だった。
「案内するったって、はなさんもカゴに捕らわれているんだろう?」
ネコ牧場さんペット会代表のミシェルが言った。
「大丈夫、彼女はカゴ抜けが得意だから。恐らく自分からそのカゴに忍び込んだんだわ。」
まめっちが言った。
「千葉なら、ミシェルさんの仲間に協力してもらえないかしら?私とレオはカナイドへ続く超ミニワームホールの入り口に誰も近寄らない様に見張っているから、トットさんを連れて来たらそこからカナイドに逃げましょう。」
simoさんのペットのさくらが言った。
「うん、それが一番いい逃げ場所だね?」
レオも同意した。
「入り口からカナイドまでは僕が案内するよ。一度通っただけじゃ分かりにくからね。」
ツノムクドリのビッキー・ポーも言った。
「それじゃ私たちは皆さんの連絡係をします。」
トットさんの子供の娘1号が兄たちと目くばせしながら言った。
「私と旦那と子供たちは途中の補給、支援係を担当するわ。」
マリリンさんはトットさんにやっと恩返しができると喜びながら言った。
「わかった、救出は任せろ。ソロとフジコはマイロ長老がCIA幹部の時の元部下だし、何せ内にはトートっていう新入りで生きのいい奴がいるから、クロの奴とうまくやってくれるさ。」
ミシェルは早速千葉へと戻っていた。
いよいよトットさん救出作戦の幕が切って落とされた。
しかし、これが思わぬ展開、思わぬ世界に進む事になるのだった・・・・・・・・






最終更新日  2021.10.31 00:00:21
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2021.10.28
「そう、それ僕なんです。」
そう言ってあらわれたのはカナイドに住む角のあるムクドリのビッキー・ポーだった。
同じくカナイドの住人のデブリンバトと共に人間に捕まったこれまた同じくカナイドの住人トットさん・・・あっ?彼は違いました。彼は単なるデブのハトでした。
とにかく彼を救うために集まった仲間たちはビッキーを見て唖然として。
「ビッキー?どうしてやって来たの?」
救助隊長のジョンピーが尋ねた。
ビッキーは言った。
「どうやらマリリンさん達を超ミニワームホールを通って東京に案内した時、デブリンバト達がこっそり後をついて来たみたいなんだ。おまけにネビ(超ミニブラックホールが作った空間のねじれでネズミとヘビが合体し、人間の世界ではツチノコと呼ばれている)達まで来ちゃったみたいなんだ。」
それで超ミニワームホールの出口の超ミニホワイトホールがあるあの公園を歩いていたトットさんが、デブリンバトと間違えられて一緒に捕まってしまったという事のようだ。
「カナイドから逃げ出したのはデブリンバトとネビだけか?」
それまで黙って聞いていたCIAの敏腕エージェントの黒猫ソロが聞いた。
「うん。あれからすぐに超ミニワームホールの入り口の超ミニブラックホールは監視が見張っているよ。」
ビッキーは頷いて言った。
「グーとタラさんの話じゃデブリンバトは彼らの出身惑星ビリノン星の生き物らしいから、地球外の生物と分かったら世界は大騒動になってしまう。どうにか早くトットさん達を救い出し、人間の手から取り戻す必要があるな。」
ジョンピーはそう言うとみんなを見つめた。
しかし、なかなか名案は浮かばなかった。
その時声がした。
「ちょっとちょっとあなた達。それには現状調査と情報でしょ。私が行って調べて来るわ。」
そう言ったのはなすこの親分さんの所にまめっちはと一緒に住むセキセインコのはなさんだった。






最終更新日  2021.10.28 00:00:21
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