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2014.02.11
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まばらな拍手に追い立てられるように漫才師の猿渡犬太は舞台の袖に引き上げて来た。そこで待ち構えていたのはマネージャではなくこの寄席の支配人だった。支配人は苦虫を噛み潰したような顔で猿渡を迎え、ぼそりと言った。

「ちょっと支配人室まで来てくれるか?」

猿渡は支配人の後をとぼとぼ歩いて、煙草の匂いが染みついてむせるような薄汚い支配人室に足を踏み入れた。六畳ほどの部屋には化粧板のはげた染みだらけのテーブルと所々からウレタンがはみ出してすっかりくたびれた小さなソファが置いてあり、読み古した雑誌が散乱していた。

「そこに座ってくれ。」
支配人はそのソファを指さして、自分の机につくとがたつく引出しを無理やりこじ開けて一通の封筒を取り出した。
猿渡は言われるがままにソファに座ろうとすると、先客の支配人の黒猫が猿渡に向かってシャーッと威嚇して来た。猿渡は足の踏み場もない支配人室で立っている事も出来ず、猫に遠慮しながらソファの片隅に腰を下ろした。

支配人は煙草に火をつけしばらく吹かしていたが、やがて上を向いて大きくフーッと煙を吐くとやっと話し始めた。
「猿渡。済まんが今日までで降りてくれ。面白くない。全然面白くないんだ。このままじゃ客足が遠のくばかりだ。お前の社長のたっての頼みでやらせてみたがもうこれ以上は無理だ。もうお前の社長にも頼んで今日で降りてもらう。」
その時舞台からは先程とは打って変わって、客の爆笑の声が聞こえて来た。
支配人は続けた。
「ネタは古いし、もうみんな飽き飽きしている。今舞台でやってる連中は若いが客の受けもいいし、この間も売り込んで来た奴がいて結構面白そうだからな。」
そう言って支配人は再び煙草をくゆらし始めた。

「ネタも何か新しいものを考えますから。おじきにもう一度頼んでみるんでもう少しやらせてくれません・・・・」
最後の「か?」を言う前に支配人は怒鳴った。
「お前のおじさんの社長からの頼みだから雇ったがもうお断りだ。さっきも言ったようにお前の社長には了解を取ってある。だからマネージャも帰らせて、俺がお前に直接話しているんだ。分かんねえのか?」
「俺、ここで雇ってもらえないと寝たきりのお袋を連れてアパートを出なくちゃいけなくなるんです。」

バンッ

支配人は勢いよく立ち上がり、古い机を叩き壊すほど勢いよく両手を叩きつけて言った。
「そんな人情話をして何のつもりだ。お前のお袋のために俺が首を吊れとでもいうのか?」
支配人は猿渡の前までつかつかとやって来て、先ほどの封筒を机の上に叩きつけた。
支配人の猫がその激しい音に驚いて、ソファを飛び出して行った。
「これを持ってとっとと失せろ!」

3万円の入った封筒を覗きながら廊下を歩く猿渡。
切れかけた蛍光灯がネオンサインのように瞬いていた。

彼がふと眼を上げるとスーツ姿の一人の若い男が立っていた。
その男は言った。

「猿渡犬太さん、はじめまして。私はこういう者です。」

彼はそう言って一枚の名刺を差し出した。

悪魔貸します 株式会社
営業部三課

魔鬼田悠

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「雑貨Explorer」

今回のキーワードは「漫才師」で1,165件ヒット。

今や漫才の大御所となったこの両人。


こういう人たちって陰では相当苦労しているんだろうな?


大助・花子の日本昔ばなしなのだそうだ。


もみじまんじゅうが懐かしい。








最終更新日  2014.02.11 20:05:05
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