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カテゴリ:悪魔貸します株式会社
猿渡と魔鬼田は喫茶店でコーヒーをすすりながら話していた。
「えっ?これは無料なんですか?」 猿渡は魔鬼田の言葉に驚いてコーヒーカップをテーブルに置くと彼を見つめた。 「でもその代わりに俺の魂をくれとか言うんじゃないでしょうね?」 魔鬼田は猿渡の言葉に微笑んで答えた。 「猿渡さん、この話はオカルト小説ではありません。厳然とした悪魔レンタルビジネスです。そもそも悪魔がお金を欲しがると思いますか?彼らはそんなものより、人の心の奥に潜む悪意や妬み、恨みや怒りの様な否定的な感情を好むのです。それが彼らの活力となるからです。だから・・・・」 「だから?」 猿渡がコーヒーをごくりと飲み干しながら尋ねた。 「だから、そんな感情をあなたから頂ければ悪魔はそれで満足なのです。」 そう言って魔鬼田は右手を差し出した。 「この握手だけで契約は成立です。」 猿渡は一度右手をズボンでこすると差出し、魔鬼田の手を握った。 夜も明ける頃、ようやく猿渡は寝たきりの母が横たわる、2DKの古びたアパートへ帰って来た。母はやせ衰えた体をベッドに横たえ、小さな寝息を立てていた。 猿渡はそんな母の横顔をじっと見下ろし、ポツリと言った。 「俺にも少し運が回って来たみたいだ。」 それが聞こえたのか、偶然なのか母親はうっすらと眼を開けると、息子の存在を確認して安心した様に再び眠りについた。 よく晩、例のチンピラたちのリーダー格の若者から電話がかかり、急遽あるキャバレーの経営者に会う事になり、その社長は自分の前で漫談をやって見せる様に要求した。 社長とチンピラのリーダーの前で猿渡は早速漫談を始めた。 漫談が終わった時、二人の観客はもう抱腹絶倒といった感じで、苦しげに腹を押さえて未だに笑いの余韻に浸っていた。 上機嫌の社長は「猿渡犬太独演会」を企画しようと言いだし、瞬く間に契約書が交わされた。胃腸病に悩む社長に効き目があるとあらかじめ悪魔の実を食べさせていたから、その効果の素晴らしさに猿渡は内心ほくそ笑んでいた。 まあ昔から病は気から、笑う門には福来たるというくらいだから、あながち嘘ではないと自分で勝手に納得した。 それから「猿渡犬太独演会」の3か月のロングランが開催され大評判となった。この時は魔鬼田の会社から悪魔がウェイターとして貸し出され、公演が始まる前に飲み客たちから悪魔の実のオーダーを取らせたので何も問題はなかった。 『それにしても悪魔はどうやって客から悪魔の実のオーダーを取るのだろう。そもそも悪魔の実を食べるとどうして俺の漫談が受けるのだろう?』 猿渡は不思議に思わずにはいられなかった。 Copyright (C) 2014 plaza.rakuten.co.jp/zakkaexplorer/ All Rights Reserved. 「雑貨Explorer」 今回のキーワードは「契約成立」で5,559件ヒット。 まさか悪魔が人脈戦術?誰か一人を陥れて周りを巻き込むのかも?
それとも悪魔界の契約成立教科書があるのか?
やっぱり悪魔はこれの達人だ!
やっぱこれかも?
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なんか、恐ろしく怖いことになりそうな・・・
(2014.03.14 23:30:27)
ネコ牧場819さん
>妬み、恨みは悪魔のご馳走なんでしょうね。 >私も気をつけなくては^^; >努力せずにトントン拍子ってこと無いですよね(--; ----- あにはからんやトントン拍子に進みます。 しかし、やはり最後はドーンですが、どんなドーンか? (2014.03.21 12:45:26) |