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カテゴリ:悪魔貸します株式会社
猿渡はその後、噂が噂を呼び、テレビ番組などにも顔を出すようになった。
ただ彼の漫談やトークがバカ受けする人たちと、何がそんなに面白いのか?といった冷ややかな目で見る人たちと真っ二つに分かれるという奇怪な現象が起こったが。 しかし、時勢に乗ったというか、それなりに駄洒落をとばし時にはボケていると適当に受けてなんとかなるものだった。 群集心理であろう。 周りが笑えばそれに釣られて笑いが起こり、笑いが笑いを引き起こして会場を埋め尽くすという事も少なくなかった。 それから間もなくゴールデンタイムのテレビ番組のレギュラーの座を射止める事も出来たし、今の彼はまさに大ブレイクの状態だった。 芸能記者のインタビューやバラエティ番組のプロデューサーとの打ち合わせや、アイドル歌手や大御所お笑いタレントとの対談など、分刻みのスケジュールがマネージャから次々に入れられて、寝る間もないような忙しさとなった。 大ブレークを果たした芸人たちの多くは、お茶の間の慰み者とでもいうのか、真っ盛りの線香花火の様に派手に火花をまき散らし、楽しませるだけ楽しませ、いや楽しくない者も巻き込んで目を奪い、頂点に達した後は次第に勢いが衰え、すっかりお茶の間の興味を失った頃には、しおりの先からくすぶった火の玉がぽたりと地面に落ちてしまうのだ。 よほどの真の才能か所属プロダクションの力がない限り。 収入はかつての30倍近くになり、ぼろアパートから出て超高級マンションに引っ越した。寝たきりの母は完全介護の療養施設に入院させ、もう自ら世話をしなくとも専属スタッフが至れり尽くせりの看護をしてくれる。 最近は月に一度見舞いに行くくらいだが、これでようやく親孝行ができたと彼は満足だった。 「魔鬼田君、今度俺いよいよ自分の番組がもらえそうなんだ。クイズとバラエティを合わせた様な番組で、まだゴールデンタイムとまではいかないけれどスポンサーは自動車会社でも大手の会社だし是非とも成功させたいんだ。」 猿渡はホテルの一室に魔鬼田を呼び出しこう切り出した。 「そこで相談なんだけど、君の会社で悪魔の実に代わるような、もうあんな一人ずつじゃなく日本全国を覆い尽くすような目に見えない霧か何かで、俺のくだらないトークでもみんなが拍手喝采みたいなやつないのかな?」 魔鬼田は相変わらず微笑んでいたが、やや眉を寄せて言った。 「猿渡さん、私もあなたの大出世にお役に立ててとてもうれしいのですが、今おっしゃられたような物としては『デビルウィンド』というものはあります。がしかし・・・・」 「がしかし?」 猿渡は魔鬼田の言葉を継いだ。 魔鬼田はいつもになく険しい顔つきで言った。 「がしかし。これは禁断のアイテムです。これを使えば日本はあなたの意のままになり、それはすなわち最後には破滅へと至ります。」 「日本の破滅?」 猿渡はしかし、どうにかこの『デビルウィンド』を使う方法はないか、いやそれもまたいいのではないかと思いながら、ソファに背中を預けた。 Copyright (C) 2014 plaza.rakuten.co.jp/zakkaexplorer/ All Rights Reserved. 「雑貨Explorer」 今回のキーワードは「大ブレイク」で、29,324件ヒット。 売り文句では打ってつけだけにヒットが多い。 今回は選択せずにヒットした上から順番(使いやすいキャッチフレーズのためバラエティ) バームクーヘンに、
酒燗器に、
リップクリームに、
ソバに、
シャツと来た。
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