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2020.07.16
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カテゴリ:三猫珍道中
あまりにも正直すぎる渡宵子が強盗犯にべらべらしゃべってしまったためにえらい目にあってしまった雷、千代、連の三猫は、これに懲りず相変わらず益比の言う四百年前に八人の仲間と何かをしようと話したことを思い出す旅を続けていた。
いつになったら、道節と毛野への伝言が果たせるのやら。
結局益比の他に集まった、土鍋焦玖斎(どなべこげくさい)、平来栖(ひらくるす)、渡宵子(わたしよいこ)の三人も思い出せず次なる仲間を訪ねることにした。
次なる人物は世紀の大天才と呼ばれた男なので、これは大いに期待できる。
その男の名は、嵯菅野典斎(さすがのてんさい)といい、三里ばかり歩いたところで孤高の生活をしていた。
朝は朝陽の登る様を見てその日一日の天候を読み取り。
昼は野山に動植物を探し求めて、進化の過程を解き明かし。
夕は沈みゆく夕陽を見ながら、光スペクトルの反射率により生まれる分光効果から生まれる赤から深い紺に変化する夕空に涙しながら、和歌をたしなむ。
真夜中になると、地球から8.6光年の先のおおいぬ座の恒星としてひと際輝くシリウスに思いを馳せる
そんな彼だからきっと・・・・
典斎の所に七人がやって来ると彼は化石発掘の真っ最中で、横から声を掛けてもまるで気が付かない状態だった。
試しに益比が指先でちょんちょんと突いても、彼自身が岩の様に微動だにしない。
この大天才、何かに集中すると一切なにも受け付けなくなるらしい。
仕方なく七人は彼の傍にござを広げて腰掛けて、町で買って来た弁当を食べ、あぶり烏賊を肴にひとしきり歓談しながら待つことにした。
ふた時も経った頃だろうか、やっと典斎が七人に気づき声を掛けてきた。
「おや、お前さんたちそこで何をしていなさる?いつからそこに?声でもかけてくれればいいものを。」
さすがの益比も面食らいながら典斎に事の次第を話した。
「それはさておき、この化石をみてもらえんか?これはハドロサウルス科エドモントサウルス類の第六脊柱骨でな、蝦夷の地で発見されたという知らせは伝え聞いて居るが、ここ武蔵の国でも発見された貴重な化石なのじゃよ。」
「あの~、典斎さん。そんなことより僕たち、益比仙人の四百年前に何かをしようと話したことは何だったのか知りたいんですけど。」
雷が促すと典斎は怪訝な顔をして言った。
「何じゃそんなことか?」
「覚えておられるんですね?さすが大天才!」
千代も感心して喜んだ。
「ちょっと待て、今思い出すから。」
連がしびれを切らして言った。
「典斎さん、早く思い出してよ。僕たちこのために三日間かかっているんだから。早くしないとお天道様が西に沈んでしまうよ。」
それを聞き典斎はさっと顔色を変え声高に言った。
「それは天動説の悪しき考え。天体の動きは我らの住む地球が自転をすることにより、空の星が動いているように見えるのじゃ。地球は太陽を回る公転軸より自転軸が約23.4度傾いており、これが一年の公転の中で様々な四季をもたらすのじゃ。」
「あのそんな訳の分からないことより、益比さんのいう四百年前の私たちの約束がなんだったのか知りたいんだけど。」
なんでもずけずけ言ってしまう宵子が言った。
典斎は目を白黒させようやくつぶやいた。
「待て、そうだなあ。あれ?わし今日昼めし何を食ったのじゃろうか?いやそもそも昼めし食ったかのう?」
どうやら庶民の暮らしの中では、典斎は大天災のようだ。





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最終更新日  2020.07.16 07:09:40
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