|
カテゴリ:我が良き虫の世かな
電車のベンチシートのど真ん中に一匹のスズメガがどっかりと座っていた。その両脇には男女が座り、女性は無視して携帯を見つめ、男性は珍しそうに携帯で写真を撮っていた。私も乗った時蛾に気付き向かいの席に座り観察していた。 ドアが開き乗客が乗り込み、座ろうとして立ちすくみ、別の席へと移る。 気持ち悪いのか怖いのか、誰も追い払おうとはしない。余程捕まえ車外に放そうかと思いながら面白さからしばらく見守った。何人の人がギョッとしながら立ち去ったであろう。 幾駅も幾駅もこのおそらく無賃乗車客は体長4センチ足らずの小さな体で人ひとり分の席を図々しくも占領していた。 やがて一人の男性が乗り込んで来てこの蛾に気付きながらも隣の空いた席に座り、無造作にこの不届き者を手で払った。 蛾は床に落ち、這うように飛び、開いたドアから飛び出して行った。 もしやこの蛾、酔っ払いおやじの様に眠りこけていたのではあるまいか? いずれにしろ、ここ東京の都会のひとコマではあった。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[我が良き虫の世かな] カテゴリの最新記事
|