マスP文庫

2021/05/06(木)00:00

落語「蝸牛」

その他(5)

え~毎度ばかばかしいお話を一席。カタツムリを漢字で書けますかな?ご聡明な皆様の事、造作もない事とお察ししま・・・?おやお父さん、私と目が合うなり目を逸らす事はございませんでしょ?別にテストで質問したりなんざあしませんよ。でももしや?ひょっとして?まさか?そんな事は?いやいや知らないなんて事はありますまい。これ以上深く追究するのは野暮というものですな。・・・・・・・・・・?どうですお父さんのホッとした顔! それはさておきカタツムリという漢字、実によく出来ておりましてな、虫へんに鍋のつくりの部分を合わせて鍋に入った虫。牛の様な角があるから二つを合わせて蝸牛と書きます。さてこの蝸牛。ご存知の通り、そのスローモーな動きでいつも皆の足手まとい。まあもっとも手も足もないので仕方ないのではありますが。一緒に旅行しようにもいつも電車に乗り遅れる。運動会があれば蝸牛のいる組はいつも負ける。引越をすれば蝸牛がやっと一つ運び終えた頃にはすべて片付く。マラソン大会では、蝸牛が最後にやっとゴールするのが、スタートから二週間後。遊園地で観覧車に乗ろうとしても、観覧車より遅くて乗り込めない。こんな有様で他の虫は蝸牛と旅行もしなければ、運動会やマラソン大会出場はお断り、観覧車は乗車拒否だし、引越でちゃんと働かないからと、もらう部屋は一番小さい部屋となるのが人情いや虫情であります。まあもっとも蝸牛の場合自分専用の部屋を持っておりますから、部屋自体もらう必要がないのでありますが。これで蝸牛の性格が温厚で憎めない性格なら、皆もまだ笑って許してくれるのでしょうが、話し方は意外に早口で、減らず口ばかりで、結構喧嘩早いと来ておりましてな。そんな蝸牛に皆はのろまだ、間抜けだ、お邪魔虫だと非難轟々雨霰。いくら蝸牛が言い訳しようが聞く耳をもたず、人権ならぬ虫権蹂躙だと訴えても裁判所も知らんぷり、泣いて詫びてもどうせまたと取り合わず、居直って怒鳴り散らそうものなら、相手が蝸牛だけに『でんでん無視』。お後がよろしいようで。

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