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2021.06.17
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「キャーッ!なんて事をするの?」
女性ガイドのけたたましい叫びで、周辺を所在なくウロウロする5人は振り向いた。
そこではガイドの女性が例の『奇跡樹』の根元にしゃがみ込み、その傍にジョンジさんのペット、地球犬のジャスティンが怯えて座り込んでいた。
「ジャスティン、どうしたんだ?」
ジョンジさんがジャスティンに話しかけた。
「さあ?よくわかんないんだけど、ここにマーキングしていたら急にこのお姉さんが叫んで僕を押しのけたんだ。」
ジャスティンは訳が分からないようにポカンと口をあけながら、自動翻訳機の中からつぶやいた。
「どうしたんですか?」
コナさんはその女性ガイドに尋ねた。
「この生き物がここにオシッコをかけたんです。」
と『奇跡樹』の根元を指さした。
『この生き物』、彼女はこの生き物が犬という動物である事を知らないし、犬という生き物がそういう習性を持つ事ももちろん知らないから仕方はないのだが。
「それって普通じゃない?犬ってそういうものでしょ?」
地球暮らしの長かったピーマスさんも言った。
「この『奇跡樹』にもしもの事があれば、この星の世界遺産が一つなくなり、貴重な観光資源が失われてしまうのですよ。」
彼女は語気を強めた。
「それくらいでどうにかなるようにも思えないけど・・・・」
グーも言った。
ガイドのお姉さんはスクッと立ち上がり、ハンディホンを取り出して何やらしばらく話していたが、思いもつかない事を言い出した。
「今、観光省に相談しました。省の責任者から『奇跡樹』に何かあってはいけないから、その時の補償金として500万宇宙通貨を徴収せよとの事です。よろしいですね?」
「えええっ、たったこれだけに500万宇宙通貨?」
皆は驚いた。
500万宇宙通貨と言えばちょっとした宇宙船が買える値段だ。
「そんなもの払えるか!」
タラは憤った。
「いいえ、払っていただきます!この木はこの星の世界遺産なんです。もし枯れてしまったらあなた方を宇宙裁判所に訴える事になりますよ。」
彼女は脅しを込めて言った。
「観光名所って言ったって、砂漠の真ん中にちょこんと小さな木が生えていて、他には何にもないなんて、どこが名所なんだ・・・・」
グーも負けずに言い返したが、彼の肩を押さえてジョンジさんが言った。
「私のジャスティンがした事、私が払いますよ。」
「でもジョンジさん・・・」
グーが言おうとしたがジョンジさんは留めて言った。
「そのくらいのお金はこのツアーの最後で宇宙キャッシュサービスで降ろせばいいんだから。」
さすがお金持ちのジョンジさんは事もなげに言った。
まあ、元々ボチコレオ星とジョンジさんのオノ星ではオノ星の方の個人収入が5000倍高いのもあるが、これで済めばそれはそれでよかったのだが・・・・





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最終更新日  2021.06.17 00:00:20
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